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僕らの仮面生活  作者: あるあーる
第二章
17/38

仮面の異変

お待たせしました。第17話更新です!

第二章に突入です(*^^*)

 坂上が仮面生活者だったと分かったあの出来事からしばらく。俺達は、特に前と変わらない日常を過ごしていた。


「明日は終業式ですね~」

 いつも通り屋上で昼飯を食べているとき、ふと西条が呟く。そう、ここでの学園生活において、二回目の夏休みが明後日から始ろうとしているのだ。


 思えば去年は喧嘩三昧だった。夕方以降から目ぼしい場所に行って、喧嘩をふっかけてもらって。お陰で去年、この近辺を彷徨(うろつ)いてた奴等は、みんな別の街に行っちまったんだよなぁ。去年いた不良達ってのは、結構真っ直ぐなやつが多かったのに…。


 不良が不良を嘆くなんて変な話だが、最近の不良は卑劣なやつが多い気がする。全くもって嘆かわしい事だ。


「そう言えば、東川さんは夏休みにご予定はおありですか?」

 俺が感傷に浸っていると、西条がおもむろに訊ねてきた。


「あー……まあ特にないな。うん」

 俺は無難に返事をする。喧嘩するために街を徘徊するなんて、あまり人に言いふらすものではないしな。



「伶以子ちゃんは何かあるの?」

 俺達の会話に、優香里が割って入る。


「私も特にないんです」

 西条はてへっと舌を出して微笑む。こういう流れはやや不味い。きっとこの後、優香里が何かしら提案をしてくる流れだ。


「じゃあさ!みんなでまたどこか行こうよ」


「良いですね♪ 賛成です!」

 ほらな。案の定、西条の方もノリノリだ。ここで俺が断ろうとすると…


「あー…俺はちょっと……」


「ちょっと…何?」


「東川さんも一緒に…ダメですか?」

 やっぱな…。優香里の脅しにも近い視線と、西条の捨てられた子犬のような目に囲まれ俺はうなだれる。


「はぁ…。分かった。行こう」


「「やった!!」」

 女子二人は同様に声をあげて喜ぶ。断ったら何されるか分からないし、ここは従っとくのが得だろう。



「南島君も一緒に行こうよ♪ね?」

 優香里が嬉々として、南島に話し掛ける。まあ南島もどうせノリノリだろうな。


「いや、俺はちょっとパス」

 俺の予想に反して、意外な返事が返ってきた。いつもの南島なら「ステキーー!」とか言いながら、すぐに参加を表明しそうなものなのに。今日の南島は確かに変だ。いつもの騒がしさが微塵も感じられない。


「そんなこと言わずにさ!!またはじめちゃんも含めて、みんなで…」


「いいっつってんだろ!!」

 優香里がもう一度声をかけると、南島が声を荒げる。ここで女子二人も南島の異変を感じ取ったようだった。


「どうかしたんですか?南島さん」

 西条は南島に率直な疑問を投げかける。


「…悪い。俺の事はほっといてくれ」


「でも…」


「うるせえんだよ!しつけえな!」


「…んだと?」

 南島の突き放すような言い方に、俺も少し腹を立てる。優香里も西条も、南島を思ってかけた言葉だ。それをそんな風に言うなんて、いくらなんでも酷いのではないか。


 俺と南島は、そのまま一触即発という状態で睨み合う。優香里も西条も戸惑うしかなかった。そんなとき屋上のドアが勢いよく開く。



「やっほーい♪ 皆さんお揃いだね!お昼の放送を終えたはじめちゃんの登場だよーん!………あれれ?」

 出てきて早々ハイテンションの坂上も、俺達の空気に首を傾げる。


 坂上の登場を合図に、南島は俺達に背を向けて屋上を去っていってしまった。


「おや?私なんか悪いことした?」


「ううん。はじめちゃんが来てくれてよかったよ」


「?? 何かわかんないけど良かったぁ!」

 本当に何か分かっていない坂上をよそに、俺達はそのまま昼休みを終えたのだった。




その後、南島とも話をする機会もなく放課後となった。俺は帰る準備をしていると西条が小声で話しかけてきた。


「東川さん。今日一緒に帰りませんか?」


「別に構わないぞ」


「じゃあ私、下で待ってますね」

 そう言って西条は教室を出ていった。他の生徒に怪しまれないように、しばらく間をあけて俺も教室を出た。


 玄関を少し出たとこに、ちょうど西条はいた。


「東川さん」


「おう」

 俺は周りを確認してから、西条に近づく。


「じゃあ行きましょうか」


「ああ」

 そう言えば、何でいきなり二人で帰るなんて言い出したんだ?もしかしてこれ第三者から見れば、デートに見えたりするんじゃ。改めてそう考え、西条の方を見る。夕焼けに照らされて、ほんのり赤みがかった西条の顔に思わずドキリとしてしまう。そんなことを思っていると、西条と目が合った。


「どうしました?」


「ひぃや!? 何でもないぞ?」

 自分でもビックリするほど変な声が出てしまった。西条は疑問に思いながらも、納得してくれたようだ。


「そう言えば南島さん、どうしちゃったんでしょうね?」

 思い出したように西条が呟いた。それにつられて思い出したように俺は考え込む。


 今日の昼、あいつはいつもより大人しかった。何があったのかは知らないが、声を荒げるほどストレスを感じていたのは目に見えて明らかだ。だが、昨日まではいつも通りやかましいオカマだった。つまり昨日学校を終えてから、今日学校に来るまでに何かあったと考えるのが妥当だ。まあいくら推理したとこで、考える材料が少なすぎる。


「行ってみませんか?」

 そんな考えを察したのか、西条が提案をしてくる。


「行くって、どこに?」


「南島さんのお家です!」


「いや、俺詳しく場所知らねえし…」


「私が知ってます!前に一度教えてもらいました。さぁ!」

 そう言って西条は、俺の腕を掴んで走り出す。何でこんなアクティブなんだよ?!


 なすがままに引きずられる俺。こうして夏休み直前に、俺達はまた『仮面』特有の事件に巻き込まれていくのだった。




如何でしたか? ちょっと会話文が多くなってしまったかもしれません(-_-;)

南島君はいったいどうしたのか!?次回もお楽しみに♪


ご感想やお気に入り登録など、お気軽にお願いいたします(*^^*)

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