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僕らの仮面生活  作者: あるあーる
第一章
14/38

仮面の旅~終焉~

14話更新ですー(*^^*)

 坂上を背負って、なんとか皆の所まで戻ってくることが出来た。


「雷斗!はじめちゃん!」

「お嬢様!」

 俺達の到着をよほど待っていたのか、三人ともすぐに駆け寄ってきた。声には出していないが、西条もすこく心配そうな顔をしている。


「やっほー♪ みんな心配かけてごめんね」

 坂上は、すっかりいつもの調子で謝罪する。みんなも坂上の様子をみて、ようやくホッとしたようだった。


「ありがとうございました。東川様」

 坂上をおろした所で、サチさんがお礼をしながら歩み寄ってきた。


「いえいえ。これぐらい当然ですよ」

 あまり深々と頭を下げられ続けても困るので、俺は軽い感じでサチさんに言った。


 サチさんも坂上が帰ってきて緊張が解けたのか、優しい笑みを浮かべてもう一度頭を下げてきた。この人はきっと、坂上のことを凄く大事にしてるんだろうな。


 とにもかくにも、無事にみんなが揃うことが出来て良かった。なにか忘れてる気がするが………


 そう思っていると、草陰から物音がした。皆にいっせいに緊張が走る。


「もおだめ~」

 そう言いながら俺達の前に倒れてきたのは、一匹の中型犬に顔を舐められていた南島 十夜だった。


 どうやらこの付近に生息していた野犬とはこの犬の事らしい。南島がなぜこんなにも懐かれてるのか分からないが、まあこいつも無事で良かった。







ーー翌日。


 俺達はもう一度、海で遊んでいた。俺は正直すぐに帰りたかったが、西条を含む女性陣がどうしてもと嘆願してきたのだ。


 まあ俺としても、女性たちの水着姿が拝めるのはありがたいとは思うが。


「東川様」

 俺がブルーシートで休んでいると、サチさんが声をかけてきた。


「なんですか?」


「この度はお嬢様の件、誠にありがとうございました」

 そう言って改まってお礼をされる。


「良いですって。気にしないでください」

 堅苦しいのはあまり得意ではない。俺はサチさんを諭すように言う。


「分かりました。ところで東川様にお願いがあるのですが……」


「お願い?」

 サチさんの突然の申し出に、俺は首をかしげる。



「はい。昨日すでにお嬢様から伺ったと思いますが、お嬢様は今まで無理をなさってました…」

 サチさんは、昨日俺が坂上から打ち明けられたトラウマについて話してきた。


 昨日からの反応を見る限り、サチさんはよほど坂上のことが心配らしい。きっと坂上の寂しさの唯一の理解者だったのだろう。サチさんと坂上の事を見てるとお互いにとても信頼しあってるのが分かる。まるで実の姉妹のようだ。


「……これからもお嬢様と仲良くしていただけませんでしょうか?わたくしの願いはこれに尽きます」


「………もちろんですよ。俺だけじゃなく他の奴らも仲良くしたいと思ってるでしょうから」

 俺は正直にサチさんに気持ちを伝えた。きっと他の三人も同じ想いだと思う。


「……ありがとうございます!!」

 サチさんは俺の手を取り、普段の大人らしい顔からは想像出来ないほどの無邪気な笑みを浮かべながら言った。ってか顔が近い……。


 サチさんの行動に思わず赤面してしまう。年上ってのも良いなぁ。


「………二人ともなにやってんの?」

 その声に振り返ると、いつの間にか海から引き上げていた女性たちが物凄い殺伐とした目線を俺に向けている。


「雷斗!何デレデレしてるの!?」

「雷斗君!! うちの執事までたらしこむ気!?」

「東川さん……」

 待て、落ち着け。俺はなにもしてない。そんな俺の主張も虚しく、三人の女性から正義の鉄槌を食らった。なんで……。



 やがて日も落ちそうになり、俺達は帰る準備をする。帰りは途中までサチさんが車で送ってくれるそうだ。


 今のうちに用を足しておこうと思い、俺は公衆トイレへと向かった。


 トイレに着き、用を足す。すると個室の方から声が聞こえた。


「おーい!誰かいるか!?」

 何かあったのだろうか。俺は、声の主に返事をする。


「どうかしたんですかー?」


「おっ!?良かった~。悪いが紙をとってきてくれないか?」

 俺の声を聞くと、声の主はそう主張した。なるほど、トイレットペーパーがないらしい。


 俺は隣の個室からトイレットペーパーを取り、声の主のいる個室へ投げ入れた。


「取れましたかー?」


「っし。おう!サンキュー♪」

 どうやらちゃんと受け取ってくれたらしい。しばらくして水を流す音ともに声の主が姿を現した。


 Tシャツに半パンにサンダルと、いかにも海付近で過ごす若者といった格好だ。ただし見た目は、髭が目立つからだろうか。二十八、九歳あたりに見える。


「やぁー、すまんかったな少年!! 急いでたもんで」


「いえ…」

 その人物は豪快に笑いながら礼を述べる。そのまま、手を洗いながら訪ねてきた。


「ところで少年は、どこの高校の子だ?」


「あ、紫鳳学園です」


「ほほー。あそこか!! 懐かしいね~。俺もそこ出身なんだよ」


「そうなんですか…」

 馴れ馴れしすぎるやつだな。俺は心のなかでそう思っていた。


「まあ俺も家がそっち方面なんだ!どっかで会うことがあったらよろしくな!!」


「はぁ…」

 その陽気な中年はそれだけ言うと、さっさと行ってしまった。一体何だったんだ。




「遅いぞ雷斗」


「すまん。変なやつがいてな」

 トイレから戻ると、すでに他の皆は帰宅準備万端だった。


「東川様、変な人物とは?」


「あぁいえ…、あ、あそこで手を振ってる人です」

 何て言うか迷っていると、さっきの中年がちょうど視界に入ってきた。ってか何やってんだあのおっさん。


「……そうですか。あまり遅くならないうちに行きましょうか」

 そう言うと、サチさんは中年の方に頭を少し下げて、俺達に車に乗るように促す。一瞬、あの中年を見るときのサチさんが苦い顔をしていたように見えたが。


「どうしました?東川様」

 そう言って、俺に向き直ったサチさんの顔はいつも通りの笑顔だった。


「あ、いやなんでも…」

 そう言って俺は目をそらす。


「随分と仲良くなったねぇ…」

 坂上が面白くないといった感じで、口を尖らせながら俺に言う。


「いや、そんなんじゃないって…」


「ツーン」

 とりつく島もない。


「なぁ優香里は分かってくれるよな?」


「ツーンだっ!」

 優香里も。


「……西条は…」


「ツーン…です」

 なんでこうなるの…。



そんなこんなで俺達の一泊二日の旅は、新たな出逢いとともに幕を閉じたのだった。





と言うわけで今回で第一章終わりです♪

思ったより長くなりました(-_-;)

最後ちょっと雑ですが(苦笑)


謎の人物がこれからどう関わってくるのか!!


作者も楽しみです(えっ)


ご感想や評価、心よりお待ちしております♪

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