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僕らの仮面生活  作者: あるあーる
第一章
12/38

仮面の旅~事件発生?~

ちょっぴり早めに更新できたど(*^^*)

第12話です。

 やはり夏と言えば、野外でバーベキュー!そんな風潮がある気がする。まあ別に否定しないし、屋外で食べる料理はまたひと味違った気がするのも事実だからいいんだけど。


 なんとなく、そしてひっそりとそんなことを思いつつ俺はいい具合に焼けた肉を口に運ぶ。周りを見れば、皆それぞれ談笑しながらバーベキューを楽しんでるように見えた。


「やっぱり夏はバーベキューだよね!!」


「こうやってみんなと外で食べると美味しいよね~」

 俺が心の中でひっそりと思ったことを、そっくりそのまま坂上 一と優香里が口に出す。心を読まれたのかと思ってしまう。


「よんでるぞ」


「えっ!!??」

 南島にいきなり声をかけられ思わず大きな声を出してしまう。


「うわっ! 何だよデカイ声だして……」


「よ、読んでるって…」


「いや、だからはじめちゃんがお前のこと呼んでるぞって」


「あ、ああ…」

 『呼んでる』ね…。本当に心を読まれてるのかと勘違いした。びっくりさせんなよオカマめ!


 心の中で南島に悪態をつきながら、坂上 一の元へと歩み寄る。


「やあやあ! 雷斗君、楽しんでるかい?」

 近くまで行くと、坂上は笑顔で俺に訊ねてくる。しかし、見れば見るほどに幼い。さすがに小学生とまでは言わないが、中学生ぐらいに見えても仕方のないぐらいだ。身長と発育が遅れているのが、幼さの原因だろうか。


「なんだか失礼な事を考えてないかい?」


「いや? そんなことはないぞ?」

 最近はほんとに心の中が他人に見えてしまうようになったのかも知れない。坂上にジト目で睨まれてしまった。


「まあ良いや♪ それより雷斗君は幽霊を信じちゃう派かな?」


「は? なんでいきなり…」

 坂上の唐突な質問に、唖然としていると隣の優香里が話に参加してきた。


「さっきはじめちゃんと話してたんだ。噂だとこの付近にオバケが出るんだって」

 優香里と坂上が言うには、この付近では昔戦争があり、そこで亡くなった兵士たちが未だに自分達の敗北を信じられずに夜な夜な歩き回っているらしい。


「夏と言えば海!! バーベキュー!! そして極めつけは肝試し!! この夏をより一層楽しむために、我々は肝試しで一夏のアバンチュールを堪能するべきだと思わないかい!?」

 坂上が大袈裟なアクションとともに、俺達を煽る。


 幽霊。どういう経緯で人々に知れわたり恐れられるようになったか詳しくは分からないが、俺自身はあんまり信じてなかったりする。あまり乗り気ではないというのが顔に出ていたのか、優香里が俺に話し掛けてくる。


「雷斗も一緒に行こうよ!! 拒否は認められません」


「退路がねえじゃねえか…」

 俺はがくりと肩を落とす。こうなった優香里が頑固なことは俺がよく知っている。仕方ないな…。


「分かった。行こうか」


「わっほーい!!」

 坂上がものすごく嬉しそうに飛び跳ねる。優香里や西条も乗り気な表情を見せている。ただ南島だけが、微妙な表情で立ち尽くしていた。


「どうかしたのか?」


「へっ? いやいや、何でもないぞ!?」

 俺が声をかけると、南島はしどろもどろとしだした。もしかして


「怖いのか?」


「はぁ!? な、なな何いってんだよ!! 怖いわけないだろ!」

 怖いんだな。まあ別にどうでもいいけど。



 暫くすると辺りは暗くなり、先程まで爽やかな印象をしていた山々は、不気味な雰囲気へと様変わりしていた。


「そんじゃ、いざ出発ー!」

 ちょうどバーベキューを終えた俺達は、坂上の掛け声で不気味な雰囲気の山へと歩みを進め出す。坂上が言うには山の中腹にカードのようなものを準備しており、それを持ち帰るのが目的だそうだ。こんな準備までしているとは、楽しむために色々とやる人間なんだな。


 ある程度歩を進めると、より不気味な雰囲気が増してくる。なるほど、確かにお化けの一つや二つ出てもおかしくはないかもしれないな。女性陣も怖々と歩いているのがよくわかる。中でも南島は、俺の袖を掴みながら体勢を低くしながら歩いている。


「いや、気持ち悪いから離してくれないか?」


「無理!!」

 やれやれだ。


 そんなやり取りをしながら歩いていると、突然草木の間からガサガサという音と共に、何かが飛び出してきた。


「うおっ!?」

 俺もさすがに少し声をあげる。女性陣も悲鳴を漏らす。飛び出してきたその『何か』は、ゆっくりと立ち上がりこちらを振り返る。そして、地の底から聞こえてくるような声で


『みぃ~たぁ~なぁ~~!!』


「「キャーーーーー!!」」

 西条や優香里、そして南島は口々に悲鳴を発して驚く。南島に至っては、「どんだけーー!!」と言い残し何処かへ走り去ってしまった。


 ただ一人だけ、俺達の様子をみて笑いを堪えている人物がいた。坂上である。俺達が坂上の方に向きなおすと坂上は笑いをこぼしながら言った。


「クックク。大成功だね♪ クスクス」

 俺達が坂上の言った言葉に首を傾げていると


「やぁー、ゴメンちゃい!! そこの人はあたしん家の執事だよ」

 そう言って、先ほど俺達を恐怖の底へと落とした『何か』を指差した。


 俺達が『何か』の方へ改めて向き直ると、被り物を脱ぎ捨てた執事が立っていた。整った顔立ちに、整った鼻筋。日本人のような黒髪に、日本人らしからぬ碧眼の女性であった。


「お嬢様、少々お遊びが過ぎるかと」


「ごめんね♪ えへへ」

 遠慮がちに注意を促す執事と、全く悪びれてない様子の坂上。まあ優香里や西条も、気にしてない様子なので良いか。


「みんな! 紹介するね。執事のサチです」


「サチ・ロレット・デリー・佐藤です。お気軽にサチとお呼びください」

 坂上が笑顔で執事の紹介をする。紹介を受けた執事の女性は、深々と頭を下げながら名乗った。サチ・ロレット……えーっと、うん。サチさんだ。


 そんな感じで俺達は終始和やか雰囲気になっていた。何か忘れている気がするけど…。そう思っているとサチさんが坂上に話し掛けた。


「ところでお嬢様。お友達の一人がお見えになりませんが…」


「あ、そうだ!! 南島君何処行ったんだろう!?」

 坂上達が発した言葉で、優香里や西条も思い出したかのように慌てだした。そういやそうだ。まああいつのことだからそこまで心配することもないと思うが。呑気に構えていると、サチさんが続けて話す。


「この辺りはこの時間帯、野犬などの出没もあります。お友達が襲われてなければ良いのですが…」

 マジですか…。でも、あいつの場合なら大丈夫な気がするのが不思議だ。しかし、サチさんが言い終わる前に坂上が暗闇に向けて走り出してしまった。


「お嬢様!?」

「はじめちゃん!?」

 こうなっては、呑気に構えてられない。


 俺はサチさんに西条と優香里をお願いしますとだけ伝えた。サチさんはコクりと頷き、「お嬢様の事をよろしくお願いいたします」と頭を下げてきた。


「東川さん…」


「すぐに二人を連れて戻るから待ってろ」

 西条たちが心配そうに見つめる中、俺はそう言って暗闇に消えた坂上の方へ向きを変える。



 ほんとに世話のかかる連中だ。俺はため息を一つこぼしつつ、不気味な山の暗闇めがけて走ったのだった。




思ったより長くなってしまった。。

多分次回かその次ぐらいで第一章が終わる予定です♪


ご感想や評価お待ちしております!!


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