仮面の旅
やっとだ。。。一先ず更新(*^^*)
夏だ! 海だ!! 別荘だーー!!!
…ゴホン。ちなみにこのフレーズは俺のものじゃない。別荘を目の前にした優香里、南島、西条の三人の顔色から俺が勝手にモノローグした(結局俺のか?)ものだ。かくいう俺も目の前の光景にはただただ感心していた。
俺達は坂上 一の別荘に招待された。優香里が放送部の部長で、この別荘の持ち主である坂上 一と仲が良いらしく、俺達も一緒に来ても良いと言うことでお邪魔させてもらった次第である。電車に揺られること一時間弱、そこから徒歩で二十分ほどで到着した。
土日の二日間を利用して、一泊二日をこの別荘と、周りを取り囲む海、山にて過ごすということらしい。今は、俺達を招待した本人である坂上 一の到着を待っている段階であった。数分前に、優香里のケータイに坂上 一から「少し遅れる」といった内容のメールが届いていたのだ。しかし、周りを見渡せば見渡すほどに立派なものだと小さく感動を覚える。
海の砂浜は白々と輝き、海の青色とのコントラストが夏をより強く感じさせる。
辺りの山々は緑が生い茂り、それでいて爽やかな風を生み出している。
そしてその真ん中の別荘は、木材をふんだんに使用しており、別荘と呼ぶには勿体無いと思えるほど大きさと広さであった。
こんな立地条件にこれ程の別荘とは、全く金はあるところにはあるもんなんだな…。そんなことを思っていると、少し遠くの方から声が聞こえてきた。
「おぉーーーい!!」
「あ、はじめちゃん!!」
優香里が声のした方へ向き直り、手を振る。その方向を見ると、高校生とはお世辞にも思えないほど幼い顔立ちで、長めの髪を両サイドでくくったツインテールの女の子が走りながら手を振り返していた。
「やー、メンゴメンゴ!! 準備とか色々手間取っちゃった♪ 執事が私も途中までとかうるさくてねぇ」
俺達の前にようやくたどり着いたその少女は、頭をかきながら申し訳なさそうな笑顔で弁明をする。執事とかもいるのか。筋金入りの金持ちだな。
目の前の少女は、コホンと咳払いをして口を開いた。
「改めまして、どうもどうも♪ 坂上 一です! 気軽にはじめちゃんって呼んでね~」
坂上 一が簡潔に自己紹介をすると、今度は優香里が俺達の間を取り持って嬉しそうに紹介をしていく。
「えっと、こちらから南島 十夜君、西条 伶以子さん、東川 雷斗君です。みんな私の友達なんだ」
「そっかー! よろしく!」
優香里が紹介をし終えると、それぞれによろしくと言い合う。それから俺達は荷物を置くため、別荘の中へと入っていった。
別荘の中は、外から見たときとはまた違った雰囲気だった。木々で出来たコテージ風のその別荘は、吹き抜ける風をさらに清涼なものにして、自然の良さを教えてくれるような別荘だった。
大きなリビングを通って、部屋の方へと向かう。部屋割りは一人に一部屋と、贅沢な割り当てだ。まあ俺はわりと静かな方がゆっくり出来るので、この部屋割りはとてもありがたい。
全員で取り決めて、部屋で着替えた後にリビングに集合という形になった。俺は部屋に入り一息つく。眼鏡を外し、水着を鞄から取りだし側に置く。にしても、凄い別荘だと改めて思う。窓からも海が見れるし、潮風が入ってきて心地よい。
「おーい!! 雷斗、早くいこうぜ~」
人が心地よい風を感じてるときに、無粋なオカマ(南島)が声をかけてきた。
「…へいへい」
俺は適当に返事をして、着替えるために服を脱ぐ。上半身を脱ぎ終え、下半身の方へと手を伸ばし脱ぎだしたとき
「おーい!! まだかかってんのか!?」
「キャッ!?」
南島の声に続き、小さな悲鳴が聞こえた事に違和感を覚えた俺はドアの方を振り返る。すると、南島がドアを開けており、側には水着に着替え終えた西条がいた。
ちなみに俺の今の格好はパンツを脱いでいる最中なわけで、つまりあられもない姿が露になっているわけで、そんな状態の俺の姿を異性の西条はしっかり見ているわけで……。
「っーーー!! 早く閉めろーーーー!」
誰が得するのか分からないラッキースケベ(被害者は俺)を経験し、一先ず全員が水着姿でリビングに揃った。
「全員揃ったねー♪ ほんじゃ……あれ? 東川君に西条さん、どったの?」
「い、いや、何でもない…」
陽気な坂上とは裏腹に、西条がうつ向きながら答える。ほんとにうつ向きたいのはこっちだバカ野郎。
「いやいや、まあ若さゆえのなんとやらってやつさ。それより海いこうぜ!!」
「そだね!! 何かよく分かんないけど、テンションあげてこう♪」
俺達の反応をよそに南島が皆を海に促し、坂上がそれに同意する。くそっ!元はと言えばこのオカマ野郎のせいなのに…。
別荘からすぐのプライベートビーチに着いた俺達は、それぞれに海を楽しんでいた。優香里と坂上 一、西条はビーチボールを。南島は浮き輪で海に浮かんでいる。俺はブルーシートでくつろいでいた。
しかし西条も、俺と出会った当初は女の友達が出来ずに嘆いていた頃に比べると今は楽しそうにしている。これも優香里のお陰なのかもしれないな。そんなことを考えて一人黄昏ていると、西条がこちらにやって来た。
「東川さんは海に入らないんですか?」
「髪が濡れると、変装したときみたいになっちまうからな」
西条は、なるほどと言った顔で俺の方をまじまじと見つめる。そんな中、不意に西条は俺に言ってきた。
「ありがとうございます。東川さん」
「…何が?」
俺は何のことか分からずに西条に問い返す。
「こうして優香里さんやはじめさんと仲良くなれたのも、東川さんのお陰です!」
「俺はなんもしてないけどな」
「そんなことないですよ! 東川さんが私の事を気にかけてくれていたからです」
そういって照れたように顔を赤らめる西条。純白の水着が、綺麗な黒髪を引き立てており、それがまた太陽の光に映えている。改めて見ると俺は西条の全てに目を奪われていた。
「あの…私変なこと言いましたか?」
「へっ? ああ、いや何でもないぞ!? まあ良かったな!! ははは…」
「……はい!」
力強く返事をして、満面の笑みを浮かべる西条。ちくしょう…やっぱ可愛いな。
「おーい!! お二人さんも一緒にビーチボールやろう~」
坂上 一の声にて我に帰る。
「行きましょうか? 東川さん!」
「お、おお」
西条に促され、俺達は海へ向かう。それから俺達はビーチボールや、泳ぎの勝負やらと目一杯海を満喫したのだった。
一通り海を満喫した俺達は、夕食のために一度別荘に戻ろうとしていた。
「やー♪ 遊んだ遊んだ!!」
「はじめちゃん、ありがとうね」
「良いってことよ!! それに他の子とも遊べてよかったしね~」
坂上と優香里のやり取りを聞きながら、ふと西条の方を見る。西条も少し微笑んでいるように見えた。俺もつられて微笑む。
「おや、雷斗。ニヤついてどうしたんだよ?」
「別にニヤついてねえよ」
南島に一喝をして、別荘の中へと入る。ちなみに夕食は表でバーベキューだそうだ。
「なあ! 絶対ニヤついてたろ!? なんなんだよー!!」
叫ぶ南島を横目に、俺は心の中でこいつらの事を思っていた。最初は鬱陶しいなんて思っていた。けど、こいつらと出会ってケンカ以外での刺激的な日常を送ることが出来たように思う。同じ『仮面生活』をしているもの同士だったからこそ、こうして一緒にいることが出来るのかもしれないな。まあ、優香里や坂上は違うけど。
そんな風に思えたことに、俺は少しばかり感謝していた。本人たちには絶対言わないけどな。
「なあ!? さっきからなんでニヤついてんだよ!?」
「だから、ニヤついてねえって」
このときの俺は呑気な気持ちで、本当の事件はこれから起こるなんて事は考えるよしもなかった。
俺達『仮面』の旅の夜は、まだまだこれからだ。
遅くなりました。第11話更新です(*^^*)
遅くなった言い訳は活動報告にてさせていただいております(-_-;)
とりあえず、ヒロイン回的な感じで頑張りました。ご感想やアドバイスお待ちしております♪




