番外編 たとえ相手がラムセでも
「はぁ!?なんでお前なんかに負けんだよ!?射撃は得意なのに!!」
「うるさいなー。それからお前なんかとはなんだ。あと悪いけど、キャリアが違うのよ。キャリアが。
それに射撃じゃなくこれは射的」
そう言って手の平サイズのクマのヌイグルミを、シリウスの腕の中にいるルルに渡しながら隣に居る奴を鼻で笑った。
そいつは紺色の浴衣を来た水色の髪の男。
眉間に皺を寄せながら悪態を吠えてるけど、私にとってそれは痛くも痒くもない。
だって、所詮は負け犬の遠吠え。
勝者は私だ。
私と魔王、それにラムセとシリウスそしてルルは私の世界の花火大会に来ていた。
花火大会と言う事で、今宵は皆浴衣姿。
外国人が着物に憧れるように、魔王達が浴衣を着たかったらしい。
なのでそこは魔王がお金を出してくれて全員分購入。
みんな初めての人間界の花火大会と浴衣にテンションが上がり、花火の打ち上げまで屋台を散策すること
にしたの。
それでついさっきまで遊んでいたのが、私達の後方にある射的の出店。
そこでなんかわからないけど、ラムセと射的バトルを繰り広げてしまったのだ。
その結果がこれ。
景品を取れた私と、取れなかったラムセ。
つまりは、この勝負私の完全勝利。
「くそっ。お前なんかに負けるなんて!!」
ラムセが忌々しそうに私を睨むけど、何てことはない。
実は最初から勝てる自信あったのよね~。
なぜなら私は射的が超得意だから。
形抜きは難しくて無理だし、金魚すくいもすぐ破けちゃうけどこれだけは得意なんだ。
「いくら銃が使えるからって、射的が上手いわけじゃないでしょ?っうわけで、この勝負私の勝ちね」
「ふざけんじゃねぇ!!俺は認めない。お前みたいなその辺にいるやつに負けるなんて!!」
……その辺にいるってお前な。いや、いるけどさ。
毎度思うけどこの人ごみではぐれればこいつらと違い見つからない自信はある。
魔族の連中は相変わらず目立つからね。
しかも今回は全員浴衣着用中。
ただでさえ目立つのに、もっと目立つようになってしまっているためいつもより視線が二倍増し。
特に男の人の視線が。
もちろん私に対してではない。彼らの視線が注ぐのは、シリウス。
浴衣のせいで妖艶姉さんの色気が半端ない。
もうね、フェロモンがヤバい。大量放出中。
私とシリウスは色違いの同じ浴衣なんだけど、なぜこうまで違うのかってぐらい差があるのが悲しい。
おそろいにするつもりじゃなく、お互い気に入ったのが同じ牡丹柄。
シリウスは紺色の地で私は白地。
色か?差は色なのか?
「このままじゃ終わらせられねぇ」
「終わらせろって」
「今度はあれだ!!」
「はぁ?」
突然ラムセがそう言って指差したのは、型抜きの屋台。
やべっ。あれ無理。無理。割れるっうの。
その型を抜いたらお金貰えるからって昔から挑戦してんだけど、元が取れないのよ。
「ねぇ。あれ以外にしない?金魚すくいとか。ほら、魔界で飼えるじゃん」
「お前、怖気づいたのか?」
「怖気づいてなんかいないわよ!!いいわ、じゃ――」
私の言葉はそこで途絶えてしまう。
それは私の左腕に何かがしがみついてきたかと思うと、私をひっぱってしまったせいだ。
なんだ……?
視線をそこに移すと、それは魔王だった。
身長差があるので、違和感しかない。
180センチを余裕で越える魔王が、お化け屋敷で怖がる女子の如く腕にしがみ付いてくるなんて。
「どうしたの?具合でも悪くなっちゃった?」
「美咲はさっきからラムセばかりかまっておる。余もおるのだぞ?余とも遊んで欲しい。
美咲は余よりもラムセの方が好きなのか……?」
「それは絶対ない」
よりによって、ラムセかよっ!!
このラムセと私の状態を見て、なんでそう思うのかなぁ?
でも、まぁ相手がラムセでも魔王が焼きもち焼いてくれるなら悪くないか。
腕と足に鳥肌が立って体全体で拒絶反応しているけど。