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3 女神補欠の定位置

「魔王様、なんと御労しい姿……出来るなら、あの女神補欠がかれればいいのに」

おいっ、そこは自分が代れればいいのにでしょうが。

耳に届いてきたその声に、思わず突っ込んでしまう。


まったく。こいつは本当に……

私はタオルを洗面器に浸しながら、半分呆れ返ってその声の主を見つめる。

そいつはベットの傍に立ち膝になり、眠っている魔王を屈んで見つめ居ているような格好をしていた。

いつも私の前では偉そうな顔をしているのに、今は心配しているからか、眉を下げ悲壮感漂わせた表情。

しかも目元はうっすらと涙を浮かべている。


たぶんこいつは私に何かあってもこんな風にはならないだろう。

ラムセがこうするのは、崇拝する魔王様だから。

きっと私が風邪ダウンしても、「お前弱すぎ。魔王様に迷惑かけてんじゃねぇよ」と熱で苦しむ私の枕元でグダグタと小言を言うはずだ。


「……ラムセ、美咲が風邪をひいたら可哀想じゃ。この苦しみは余だけでよい」

「なんと慈悲深いお方なんですか、貴方様は」

熱のため息も絶え絶え魔王が告げた言葉に、ラムセ目頭を押さえ始めた。


おい、まさか感極まって泣いてんじゃないでしょうね?

たまになぜここまで魔王に対して崇拝出来るのか理解出来なくなる時がある。

そりゃあ、私だって魔王がすごい人だってわかるよ?

魔力桁違いらしいし。

でもこれっていきすぎじゃない?

なんかラムセの反応に「なんだ、この猿芝居は」とでも言いたくなってくるもん。


「ご安心下さい、魔王様。女神補欠は風邪なんて引きません。ウイルスすらも逃げいきます」

「私は一体何者だっ!!」

風邪はめったに引かないけど、それは引きにくいってだけだっうの。

私だって引く時は引くさ。


「お前それより、シリウス達待ってんじゃねぇのか?」

「あ、うん」

急に話ががらりとかわってしまい、戸惑いながらもうなづく。


私はこれから自分の世界にスポーツ飲料と栄養ドリンク、それから冷却シートなんかを買いに行く所だったのだ。

タオル変えてから行こうって思ってた所に、ちょうどラムセが来たからそのまま居座ってしまった。


普段あっちの世界とこっちの魔界を魔王に貰った鍵で行ったり来たりする私だけど、今回は魔王の魔力が不安定なため、数人のサポートを受けなければ行き来出来ないんだって。

なんでも魔王の魔力が不安定なため、それを安定させてもらわなきゃならないみたい。

だから私があっちの世界に買いものに行くために、城で力のある者数人をシリウスが集めてくれている。


「じゃあ、私ちょっと行って来るから、ラムセ魔王の事頼むね」

財布片手に行こうとしたら、ラムセに腕を掴まれ止められてしまった。


「ちょっと待て。何一人で行こうとしてんだよ。俺は魔王様にお前の護衛を任されてるんだぞ」

「え、いいよ別に。だってシリウスの所に行くだけだもん。それに特に危ない事ってないし」

「いいわけないだろ。今、代わりの者呼ぶから」

魔王を一人にはしておけないので、誰か代わりを呼ばなければならない。

呼び鈴を鳴らそうとするラムセを制す。


「良いってば。それより魔王についててよ。男手が必要な時あるかもしれないし」

この魔界はいたって平和そのもの。

後宮争いとかないし、私が命狙われる事なんてないもん。


「美咲、ラムセを――」

「平気、平気」

私は魔王の言葉を遮り、「行って来るね」と手を振り、扉を開けて廊下へと出た。




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