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21 可憐な

水の中に油を入れるかのように絶対に混じらない関係。

それは、人間も同じだ。

絶対に混じらず、相性の悪い相手もいる。


きっと海よりも深い心の持ち主ならば、そんな相手は存在しないのかもしれない。

だが、私はあいにくと普通のしがない大学生。

だから、苦手な物は苦手なんですって。


「ほんと花がなさ過ぎ。何、そのダサイ服。その上、ただ一本に結っただけの髪。

それに、それってスッピン?酷すぎじゃん」

そう私の神経を逆なでする台詞を口にしたのは、白いフリルのついた日傘をさした絶世の美少女。

私と同じように異世界から来たはずなのに、髪色は桜色だ。


これは、魔王の魔術により変えて貰ったと誰かに聞いた気がする。

年はたしか、召喚時が十五歳だから今は十七歳だっけか。


「こんな女が私の代わりにあのディアスの婚約者なんてありえないー。

私が居なくなってしまって、ディアスってば気でも狂った?」

その美少女は、シャンプーのCMかよ!!と思わず突っ込みたくなるぐらい輝いている髪を靡かせ、

こちらへと歩いてきた。

前髪を作らず、ふんわりとしているが艶のあるウェーブパーマのかかった髪。

それは、胸下まで伸びている。


――さすが、魔王の隣に居ても負けない人。


顔はかなり可愛い。性格は残念だけど。

もう可愛いと思うパーツを組み合わせて作ったみたい。


ちょっと丸みを帯びた幼げな輪郭、それからぱっちりとした目。

もちろん、まつ毛は下向きではなく上向き。

マシュマロ肌に、触るとぷるんと弾力ありそうな唇。

もちろん、これも口角が上向き。


何、この女子力と駆り立てられる保護力。


やっぱ私と違うわ。もうスキルが全然違うもん。

こういう人が異世界召喚の女神様なんだねー。

こりゃあ、逆ハーコース来るわ。


彼女が身に纏っているものすら、全て美しさを引き立たせる道具のよう。

たとえば、彼女が着用しているパフスリーブタイプのワンピース。

胸元は綺麗な鎖骨が見えるようになっているし、胸下で切り替えという構造は、

胸とウエストの細さを強調。

それから、スカート丈も膝上十五センチで美脚アピール。

色も水色で、スカートと裾の部分それから胸元には白いレースの装飾ありで女の子らしさアップ。

足元はリボンのつけられた、バレエパンプスみたいなものだし。


「もしかして、可憐さんですか?」

「そう。私が可憐。日野可憐。名前通りでしょ?」

「え……」

突然何を言うんだと戸惑う私とは違い、美少女――可憐さんはにっこりとほほ笑んだ。

もう、それは雑誌の表紙を飾るぐらい可愛いものだと思う。

この笑顔なら、絶対部数伸びるね。


「貴方が美咲よね。美咲って、漢字で書くと美しく咲く?」

「そうだけど」

「なんか、名前負けで可愛そう~」

口元に手を当て、可憐さんはクスクスと笑いをかみ殺している。


もう、空いた口が塞がらなかった。いや、だって初対面だし!!


はっきりきっぱり言うのは、魔族と一緒。

でも、一つだけ違うのはこの人はそれが傷つける行為だという事を知っていることだ。


私、ほんと苦手なんだよね。こういうタイプ。

あーあ。たぶん、全部話終わるとどっと疲れが襲ってくるんだろうなぁ……


深いため息を吐き出し、早く時が過ぎてくれるようにと祈っていると、

私と可憐さんの間に陰が差した。

何かと思いふと顔を上げると、ラムセとシリウスの背が見える。

二人は私を隠すように、可憐さんの前に立っていた。


あれ……?もしかして、珍しく庇ってくれているの?


「おい、お前。俺達の前に二度と現れるなって言ったよな?」

「ずうずうしい子ね。私達の前に顔を出すなんて」

「久しぶりね、ラムセにシリウス」

おそらくこの笑みで王子達は蕩けきったのだろう。

そんな笑顔で可憐さんは、ラムセ達を見つめた。

たいていの男なら初対面で落とせそうな勢いだが、こいつらには通用しない。


「俺の名前を気安く呼ぶな。鳥肌立つ」

「あら?気安く呼んでも構わないはずよ。だって、私は選ばれて魔界に召還された女神だから。

むしろ貴方達魔王の臣下如きが、私にそんな口を聞いてもいいと思っているの?」

「ほんと変わってないわね、相変わらずだわ。自分にメリットのない相手には、その性格なんて。

騙されている人ってば、どうして気付かないのかしら?」

「本当だな。そいつらの神経疑うぜ。あと、お前はいつまで女神のつもりなんだよ。

もう魔界の女神じゃねぇし。加護が消えてるのがわかんねぇのかよ。女神を名乗っていいのは、こいつ。

こいつが現女神(補欠)。お前とは違ってちゃんと魔王様に認められ、妃の間に部屋を構えている」

ガシッとラムセ両肩を掴まれ、私はラムセ達の前に立たされてしまう。


すみません。可憐さんという風から庇ってくれたんじゃないんですか?

しかも、こいつって……


「妃の間ですって?」

ぴくりと可憐さんの右の目元が痙攣を起こしたかのように、ぴくっと動く。


妃の間って私が使わせて貰っている部屋だよね?

あれってそんなに重要なものだったの?

何気なく使っているんだけど。


「あぁ、そうだ。お前が入れなかったあの部屋は、こいつの自室になってる」

「ありえないわ。こんな女が次期妃?顔も体もたいしたことないじゃない。

こんなんでディアスが満足するはずないじゃないの」

女神様は鼻で笑うと、私の顔をじっと見つめた。

それから何か納得したのか、「あぁ」という呟き次の言葉を放った。


「もしかしてディアスってば、B専?」

しかもなんでこうもテンプレ通りの事聞かれるのか。

どうせテンプレなら、逆ハーでちやほやコースがいいんですけど。


どうして、私はこれ?

あーあ。なぜか理由もなく神様に愛されて、突如異世界召喚・逆ハーチート生活を送りたいなぁ~。

それか輪廻転生・逆ハーチート版。

とりあえず、もうね、愛されたい。鞭、鞭、鞭って、私に対して鞭が多すぎるって。


いつもはたいしてそんな事思わないけど、今は結構深刻に思う。

やっぱ、飴の魔王が居ないせいだ。

あいつ、ヘタレで空気読めないけど私の事思ってくれる気持ちは伝わるからさ。

……まぁ、ほんと稀にですが。


「なら、納得。だから、ディアスってば私に触れなかったのね。私のあの笑顔にも反応無かったし。

美的感覚が欠如してて、可愛そう~」

「――気安く余の名を呼ぶな。余の名を呼んでよいのは、お前ではない」

突然倉庫内に木霊した低い声。



うそ……来たの……?


この声を聞かなくなって、どのくらい過ぎただろう。

2週間ぐらいだっただろうか。

だが、これはいつものあのぼけっとした声じゃない。

傍に居るものを服従させるぐらい、凛々しく言葉に命令を持たせている。


「魔王……?」

そう疑問形ながら呼ぶと、ふわりと体を後ろから抱きしめられた。

布越しで伝わる、魔王の感触と温もりは体が覚えている。

これはたしかにあいつだ。


魔王が傍にいる。たったそれだけの事なのに、胸が締め付けられるのはなぜだろう。

もしかして、私は以外にも自分が思っている以上に魔王の事が好きなのかもしれない。

そんな乙女チックで自分らしくない事を思ったからなのか、自然と笑いが込み上げて来てしまう。


「――遅れてすまぬ」

私はその声の主を見るために、振り返った。











やっと後半部分になって魔王の登場です。

ヒーローなのに出番が…


最後の台詞は、魔王の登場を待っていて下さった方達に

魔王からのメッセージです(*^_^*)


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