13 謎の貧乳仲間登場?
また長めです(-_-;)
自分で言うのもなんだが、似合いすぎるって思う。
この着こなしは、絶対にあの魔王には出来ない。
私だから出来ると言っても過言ではないはずだ。
そう自分で自負しながらさっそうと風を切り歩き人をかき分けていく。
……とまぁカッコよく言ってみたが、別に私はモデルさんのように最新のモードの洋服に身を包んでいるわけではないよ。
実際の私はというと、町中を歩いていてもどよめきもおきなければ、浴びるような視線も受けていないし。
つまり、至って普通の服を着ている。
「やっぱ美咲様はドレスなんかより、そういう平民服がすごくお似合いですね~」
「ほんとほんと。最初ディオ王子に貴族令嬢が着るような服をだされた時、これ町で絶対浮くなって思ったけど。良かったですね、この格好なら溶け込めてますよ~」
「そうそう。町人Aとしても違和感ゼロですね、美咲様」
「……。」
後ろで口ぐちに勝手にほざいているキース達の軽口に、私はこめかみが引くつくのが抑えられない。
そんな私を隣りにいるセーラさんが、顔を真っ青にしておろおろしながら私を見つめていた。
セーラさん、ごめんね。こんなチームでさ~。
「ま、魔王様の婚約者様になんと、無礼な……」って言葉も体も震えないで。
悲しい事に、魔界では日常。
なんかこっちの世界でも日常と化してしまってるけど。
……まぁ、私だってそう思ったよ?
この平民服を着こなしているって。
世界が違えど、庶民の私は平民服が似合う似合う。
それは自分でも理解している。
たまにある魔界のパーティーでドレス着るけど、違和感ありまくりだし。
でも、自分以外に言われたくないっうの。
私達は結局あれから第二王子を捜索するはめになった。
私の恰好はこの世界では浮く。
だって、この世界にないような服だし。
着替えも同じようなものようなものを作ってもらったやつ。
だから平民の服を希望したら、ディオ王子に「美咲様にそのような格好はさせれません!!」と言われ、貴族令嬢が着るような服を最初差し出された。
それには「おいおい、待て」とさすがに止めた。
だって、さすがにそれを着て街中探せないじゃん。
かなり目立つし。しかも私に似あわないし。
なので、最初の希望通り、平民の服借り着用して今現在城下町を捜索している。
やっぱ、貴族令嬢のドレスより、こっちの方がしっくりくるわ。
「しかし、さすが大国。予想以上の人の数です」
「だよな~。これ見つかるのか?」
「ディオ王子が兵を動かして探してくれているし、とりあえず人に聞きまくって私たちも探すしかないわよ。ぼけっと城で待ってらんないし」
とは言ってみたものの、城下町のメインストリートの大通りは、多くの馬車や人でにぎわっている。
この中から探すのって、砂粒の中から砂金探すのぐらい大変。
携帯とかあれば便利なんだけどなぁ~。
「どうやって探します?やみくもに探しても無理ですよ。変装しているかもしれませんし」
「変装してても、髪変えたり髭付けたりとかのレベルでしょ?魔法使えないから、顔変えるなんて出来ないと思うし」
「そうですけど、俺達その肝心の顔を知らないんですよ?特徴しか聞いてませんから」
「そうなんだよな~。せめて、肖像画でも見てくるべきだった……」
キース達がため息混じりに愚痴をこぼし始める中、私は何か策がないか考えていた。
まず、ディオ王子に聞いていたのは三つ。
一つめ、目が深いダークエメラルドグリーン。
二つめ、身長が175センチぐらい。
三つめ、名前がライズ。
どれも、これだ!!っていう決めての特徴が薄い。
いや、ノーヒントって言ってもいいぐらいだ。
もう少し詳しく聞きたかったけど、なんせ緊急事態。
みんな慌てまくりで、「急いで探し出せ!!」だったからなぁ……
「とりあえず、目の色がダークエメラルドグリーンで身長が175センチぐらいのイケメンってことは確実だよね」
「はっ?イケメン!?」
「えっ。だって、王子と言えばイケメンが多いじゃん。あぁ、イケメンがわかんないか。まぁ、つまりかっこいい男とか容姿が良い男って意味」
「……そう言われてみれば、王子って容姿がいい方多いよな」
「でしょ?だから適当に探すなら、その条件にあてはまるイケメンをしらみつぶしに探していけばたどり着くんじゃない?
だって、魔界と違ってこっちの世界でイケメンって結構注目浴びるじゃんか。聞いて探していけば、知っている人がいる可能性大かもよ?
ただ、王子がイケメンだっていう保証はないけどさ」
「さすが、美咲様。ご自分が平凡だからこそ、お考えになられるアイディアですね!!じゃあ、さっそく聞きこみ開始しましょう!!」
おい、キース。なんか別に言わなくても良いフレーズ言わなかったか?
なんかどんどん失礼さが魔族化してるぞ、お前ら。
立ち止まっている私をよそに、意気揚々と歩き始めたキース達の背中を見つめながらなんとも言えない気分になった。
「セーラさん。そういうわけで……――って、ええっ!?」
隣にセーラさんがいなくなってたので、とっさに後方を振り返る。
するとセーラさんと、黒いドレス女性が地面に尻もちをつくような形で倒れていた。
もしかして、ぶつかったのかもしれない。
「大丈夫ですか!?」
慌てて二人にかけより、手をかそうと手を差し伸べようと右腕を伸ばしたが、思わず動きが止まってしまった。
――え?なぜ長袖……?
セーラさんと共に倒れていた女性は、長袖のドレスを着用している。
なぜ?半そででちょうどいいぐらいなのに。
それに、首元にはスカーフがマフラーのように巻かれているし。
他には、黒い帽子を被り、顔がわからないように黒いベールをかけていた。
一瞬疑問が湧いて出て来たけど、きっと事情があるのだろう。
肌を露出させれないとか……
あまり干渉するのは良くない。そう思い、すぐに頭を切り替えた。
「大丈夫?セーラさん」
「あ、はいっ!!」
彼女は立ち上がると、その黒いベールをかぶった女性にふかぶかと頭を下げ謝罪をした。
「申し訳まりません!!ぼうっとしていたせいで!!」
彼女はセーラさんの言葉に首を振った後、立ち上がろうと右足で地面を踏ん張り、立ち上がろうとした瞬間、足でも痛めたのか彼女の体がぐらっと揺れた。
「危ない!!」と思いとっさに彼女の体を支えようと抱きとめるが、思いのほかの重さに抱き止め切れずに彼女と一緒に崩れ落ちてしまう。
抱きとめようとして倒れたため、私の腕は彼女の体に巻きついた状態で地面に仰向けになり、彼女の下敷き状態。
「あれ……?」
彼女を抱きしめている感触に、酷い違和感を覚えた。
貧乳仲間かって思ったけど、これって――
そして仮説が頭の中に浮かんだ時に、野太い男の声と駆け寄ってくる強い足音が耳に届いてきて、その仮説が頭から一旦削除されてしまった。
「――おい、イズっ!大丈夫か!?」