VS謎の魔獣
俺はなんとか謎生物を森の外まで誘い出した。
まずはとりあえず空に向かって全力で叫ぶ。
「オーラさーん! 謎の生物が二体も現われましたー!」
これで聞こえてることを願って、俺はこいつらの相手を本格的に始めるか。
二体の芋虫的生物は、まあたぶん全長は十メートルくらい。攻撃は体から生えてる無数の触手。
こいつを倒すには今の斧と剣じゃ不足だな。俺は剣と斧を手放した。
「フォーム! 次元の鉄槌!」
触手の攻撃は避けられないほどじゃないし、まずは一体潰さないとな。俺は鉄槌を構えた。
狙うのは俺に近い左の芋虫だ。俺は鉄槌を振るって、迫る触手を遠ざけながらそいつに近づいた。
そのまま俺は鉄槌で一撃を加えようとしたが、芋虫は予想外のスピードで後ろに跳び退いた。こいつは思ったよりも難敵じゃないか?
俺は鉄槌を構えなおした。
そこに上空からの炎が芋虫を包み、オーラさんが俺の横に降り立った。ジローから飛び降りたのかよこの人。
「これは見たことがない魔獣ですね」
あ、見たことないんだ。じゃあこいつらは本当に正体不明か。ちなみにジローのブレスを浴びたのにピンピンしてるな。
「けっこう厄介な奴ですよ。狼はこいつらにやられたみたいです」
「ええ、ドラゴンのブレスに耐えるというだけで、それはわかります」
オーラさんはそう言って剣を構えた。
「援護します。ヨウイチさんはあれを潰すのに集中してください」
「はい」
俺は左の芋虫に向かって走った。オーラさんなら触手の攻撃は全部防いでくれるだろ。狙い通り、触手は全てオーラさんの剣に阻まれた。
「おらああああああああ!」
俺は芋虫の胴体に横殴りに鉄槌を叩きつけた。手ごたえは十分だ。
だが、芋虫は吹っ飛びながらも地面に潜ろうとした。
俺はそいつを逃すまいと地面を蹴って、鉄槌を振り下ろした。
なんというかブチッっていう感触があって、芋虫の体の真ん中が俺の鉄槌で潰れた。
真っ二つになった芋虫は、それでもばたばた動きながら体液と中身を撒き散らした。
だが、それはすぐに動くのをやめた。これで一匹片付いたな。と思う間もなく、森のほうから低い音が響いてきた。
おいおい、冗談じゃないよ。あの芋虫が二十体はいるぞ。
オーラさんのほうを見ると、すでに目の前の一体は片付けていた。
俺はオーラさんに近づいて口を開いた。
「あの数はまずいんじゃないですか?」
「いいえ、なんとかなりますよ。ヨウイチさん、あなたの頑張り次第ではね」
えー、そういう話ですか。
「ジローに乗って戦ってみてください」
そうきたか。
「ジロー!」
俺が呼ぶとジローが降下してきた。
「頼みましたよ」
「了解」
俺は返事をしてからジローに合図を出して空に飛び上がった。
この芋虫連中は火に耐性があるから、とにかく鉄槌で片っ端から潰していくしかないんだよな。
旋回して横から突っ込むコースに入り、俺は鉄槌を肩にかつぐようにして構えた。
そして芋虫の中を突っ切りながら、鉄槌を振った。三体くらいはしとめられたか?
伸ばされる触手を振り切ってもう一度上昇して下を確認する。
手ごたえ通り、三体は地面に転がってもがいている。他にも一体はオーラさんの剣で両断されていた。
あと残り十六体。
「頼むぞジロー!」
俺は今度はジローを正面から芋虫の集団に降下させた。そこに、四体の芋虫が俺めがけて跳び上がってきた。
「どりゃああああああ!」
俺は全力でその四体に向かって鉄槌を振った。
思わずガッツポーズをしたくなるくらいの感触で、四体の芋虫をジャストミートした。
そこから急上昇してターンすると、まともに動いている残りは十一体。
よし、ここからは一気に決めるぞ!
俺はジローを芋虫の中心に急降下させた。
「ブレスだ!」
ジローが火を吐いて芋虫達の動きが止まった。
そして、上昇のためにブレーキがかかった瞬間に俺はジローから飛び降りた。
そのまま芋虫の中心に降り立って、自分の体を軸に鉄槌を振り回して周囲を薙ぎ払った。三体は手ごたえありだ。
「ヨウイチさん! 前に走りなさい!」
オーラさんの声が聞こえたので、俺はそれにしたがって前に走った。
走り抜けてから振り返ると、俺は見事に芋虫を突っ切って後ろをとっていた。挟撃の体勢だな。
見たところ残り六体。あと一息だ。
「おおおおおおおお!」
俺は気合を入れて芋虫達に向かって走り出した。
伸ばしてきた触手は鉄槌で振り払って、一番近くの芋虫を鉄槌で殴りとばした。
あと五体!
俺は鉄槌を構えなおして地面を蹴って跳び上がると、次に近くの芋虫に鉄槌を振り下ろした。オーラさんも一体しとめているのが見えた。
これであと三体!
俺の視界の隅に芋虫がのしかかってこようとしているのが見えた。
俺はそれに向けて全力で鉄槌を振り上げて吹っ飛ばした。オーラさんも一体を切り捨てた。
あと一体!
そこにもう一度上から芋虫がのしかかろうとしてきた。これは鉄槌を振るのが間に合わない。
俺は鉄槌を突き出してそれを止めた。こうして受け止めてみると重い。
と思っていたら、芋虫は縦に真っ二つになった。
「これで全部片付きましたね」
剣を振り下ろしたオーラさんはさわやかな笑顔だった。




