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とんでもない助っ人

 トカゲの襲撃は突然始まった。できれば来てほしくなかったんだけどな。俺は斧を右手、剣を左手に持ってから叫んだ。


「次元の鉄槌よ! その姿を現し我が手におさまれ!」


 鉄槌が頭上に現われてからさらに一声。


「フォーム! アーマー!」


 鉄槌が変化して、この間試着してみたプレートメイル的なものが俺の体を包んだ。もちろんフルフェイスのヘルメット付なので、これならあのトカゲの攻撃くらいはなんともないだろ。


 そう思っているうちに、トカゲ達が近づいてきた。でかいな。


 跳びかかってきたのにあわせて、できるだけかるく斧を横に振った。手ごたえあり。


 両断というわけにはいかなかったけど、血を流しながらトカゲは吹っ飛んでいった。


 これならいける。さらに連続で跳びかかってきたトカゲに、今度は剣を袈裟切りに振った。


 剣はトカゲの体をサクッと切り裂いた。斧みたいに吹っ飛ばすことはできないけど、確かに切れ味はいい。


 そんな調子でトカゲをどんどん片付けていったけど、全然減る気配がない。むしろ増えてないか?


「ヨウイチさん! 下がって!」


 後ろからケインの声がした。


 俺は斧と剣をかまえながらじりじりと下がった。


 ケインが後ろから結界とやらを張ったらしく、あるところからトカゲはこちらに近づいてこなくなった。


「どうするんだよ、ケイン」

「ここまで数が多いとは思っていませんでした。このままでは結界が持ちません」

「それじゃあ、こっちから出て行かないと駄目か」

「そうです。とにかくあいつらをここから引き離す必要があります。オーラさんのほうは閉じてませんから」

「ああ、急ごう」


 俺とケインがオーラさんの所に着いてみると、まあかなりすごいことになってた。


 オーラさんがあのでかい剣を振るたびに、トカゲ達は派手に血しぶきをあげながらバラバラになっていった。


「二人とも、どうしました?」


 オーラさんはこっちを振り返りもせずに、剣を振りながらいつもの調子で話しかけてきた。むしろこの人が化物に見える。


 ケインは特にその様子に驚くこともなく、口を開いた。


「なんとかこいつらを別の場所に誘導しないことには、数が多すぎて結界が持ちそうにありません」

「そうですか」


 そこでオーラさんはまた剣を振った。


「では、三人で突っ込みましょうか」


 そう言ってオーラさんはやっと俺たちのほうに顔を向けた。


「おや、ヨウイチさんのその鎧なら、あのトカゲの攻撃は効きそうにありませんね」


 なんか嫌な予感。


「では、先頭をお願いしますよ」


 こうなるわけね。


 仕方なく俺は二人の前に立った。


「で、どうするんですか?」

「とにかく、まずはこの集落の周囲をまわりましょうか」

「了解」


 俺がそう言って走り出そうとした時、いきなり目の前のトカゲ達が銃声らしきものと同時にミンチになった。


 慌ててまわりを見回すと、右手のほうに全長四メートルくらいの、なんというかその、ロボットみたいなのがいた。左手のマシンガンらしきものから煙が立ち上っている。


 あれは、明らかにこの世界のものじゃないよな。


「そこの君、宮崎要一君でしょ!」


 いきなりロボットに呼びかけられた。声からすると若い女の人かな。


「知り合いですか?」


 オーラさんに聞かれたがもちろん首は横に振る。


「あれはやっと見つけた君以外の適格者だ」


 いきなり俺の頭の中にじいさんの声がした。


「詳しいことは本人から聞いてくれ」


 それだけ? まあ、今は助っ人がきたことを喜ぼうか。


「とにかくここは私に任せて!」


 その声と共にマシンガンが火を吹いて、トカゲ達をあっという間に掃射していった。


 とんでもないパワーだな、あれ。


「これはなかなか大したものですね」


 この光景を見ても動じないオーラさんって本当に何者なんだろう?


 それからはそんな調子で集落の周囲のトカゲを掃討していった。


 トカゲ達をほとんど全滅させるのにはそんなに時間はかからなかった。俺達三人だけじゃこんなに早くには終わらなかっただろうな。


 そこはあのじいさんに感謝してもいいのかもしれない。でも、この助っ人さんには不幸だな。


 トカゲの死体が散乱するすごい状況の中、ロボットは俺たちのほうに向かって歩いてきた。


 そして、膝をついて姿勢を低くしてから、胴体の前面ががばっと開いた。


 中にいたのは、シャツにジーンズというラフな格好をした、まあスリムな宇宙服のヘルメットみたいのをかぶった人だった。


「初めまして」


 その人はそう言いながらヘルメットを取った。


 中身は、肩くらいまであるまっすぐな髪の毛をもった、なんか凛々しい感じの美人さんだな。


「私は赤坂まもる。この世界を救うために選ばれて、召喚された!」


 力強い宣言。あ、中身はアレな人?


 まもるさんはコックピットから飛び降りて、俺達に近づいてきた。


 あ、そういえば鎧つけっぱなしだった。というわけで解除。


「要一君、これからよろしく」


 俺は差し出された手を握り返した。


「よろしくお願いします」


 どうなることやら。

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