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ミミズ討伐の準備だ!

「おりゃああああああああ!」


 俺はワームの頭をガントレットで受け止めた。重いぞこいつ。でも、どうにかできないレベルじゃない!


「このミミズがああああああ!」


 ワームの頭を左腕で抱え込んで、その頭に右の拳を叩き込んだ。なんかぬるっと滑って、クリーンヒットとはいかなかった。


 俺はそのままワームに持ち上げられて空に放り投げられた。俺はなんとかガントレットで着地の衝撃を和らげた。


 顔を上げると、ワームは地面に潜っていっていた。逃げられたのか、追い払ったのか、どっちだろうな。


「ヨーイチさん、大丈夫ですか!?」


 エニスが駆け寄ってきた。俺はガントレットを消してその場に座り込んだ。


「ああ、大丈夫」

「駄目ですよ、怪我してるじゃないですか」


 確かにガントレットが覆ってなかった上腕のところが切れて血が流れてる。エニスは持ってたカバンから何かの瓶を2つと布切れを取り出した。


「動かないでくださいね」


 エニスはまず1つの瓶の中身で俺の傷を洗ってから、もう1つを布に染み込ませて、傷にあてた。


 そのままその布の上から、さらに布をあてて動かないようにしばった。


「はい、これで大丈夫ですよ」

「ああ、ありがとう」


 俺が立ち上がると、そこにザグとイザリルがやってきた。


「まさかワームがこんな町中に現われるとは思ってなかったよ」

「ほんと、驚いた」


 俺がそう答えると、イザリルはワームの襲撃で散らかった市場を見回した。


「これはこちらも急がないといけないね」


 確かに。こんなことが続いたら町は滅茶苦茶になるな。


「ひょっとして、うまくできる方法があるかもしれません」


 エニスが何か思いついたらしかった。


「あれがただの大きいワームなら、それの忌避剤を作れます」

「なるほど。それをうまく使えればワームをこちらの思う通りに誘導できるかもしれないね」


 イザリルがそう言うと、ザグもうなずいた。


「すぐにとりかかったほうがよさそうだね。エニス、その薬はすぐに作れるかな」

「設備さえあれば明日には作れるはずだけど」

「それなら僕がすぐに用意する。すぐに案内するよ」


 ザグはエニスを連れてどっかに歩いていった。残った俺とイザリルはなんとなくギルドに向かった。


 それから俺達はソファーに向かい合って座った。


「さて、ヨウイチ君はあのワームと戦ってみてどう思った?」

「強いな。土に潜るし、面倒くさそうだ」

「まあ、土に潜るのはエニス君の薬が効けば解決できる。そこをヨウイチ君が食い止めてくれれば、ザグ君が弱点を探ってくれるだろうね」

「ということは、ザグはまだ弱点を見つけてないのか」

「今まではそれだけの余裕がなかったんだよ」


 そこでイザリルはにやりと笑った。


「だが、エニス君とヨウイチ君のおかげでなんとかなりそうだよ」


 期待されてるな。イザリルはそれからソファーにゆったりともたれた。


「しかし、エニス君は成長したな。君の傷の手当ても的確だし、あんなことを思いつくとは、もう一人前だ」

「エニスのことを昔から知ってるんだな」

「まあ、私は昔あの町にいたからね」

「へえ、そうなんだ」

「ま、それはいずれ話すかもね。今日はもうゆっくりと休むといいよ。君の部屋は上の階の一番最初の部屋だ」


 そうさせてもらおう。


 俺は2階に行って部屋のドアを開けた。けっこう広いな。


 とりあえず参考書を出して勉強を始めた。勉強はなにがあっても毎日やらないとな。積み重ね積み重ね。


 で、翌日。下に降りて行くとテーブルの上にはパンと野菜、卵が用意されていた。


「やあ、おはよう」


 ソファーに座ったイザリルが挨拶をしてきた。


「おはよう」


 俺は挨拶を返してソファーに座った。


「とりあえず食べてくれ。話はそれからだ」


 そういうわけで、俺は朝食をかきこんだ。


「さて、ワーム用の忌避剤は昨日の夜に完成して、ザグ君が町には散布した」

「じゃあ、ワームがこの町に入ってくることはないのか」

「その通り。これから追い込みに入るわけだけど、それにはタスさんに協力してもらうことにしてるんだ。あの人は地理には詳しいからね」


 なるほどね。


「それじゃあ、すぐに始めようか」


 イザリルは立ち上がって扉に向かった。俺もその後についていった。


 そして、町のはずれでザグ、エニス、タスさんと合流した。


「さあみんな、これからワームを追い込む地点を説明するぞ!」


 タスさんは気合が入っていた。


 俺達はそのタスさんが言う、追い込む地点というのにタスさんの指示に従って忌避剤をばら撒きながら向かった。


「さあ、ここが決戦場だ」


 タスさんが指定したのは、まわりに何もない小高い丘だった。


「この丘はかなり硬い地層なんだ。ここにワームを誘い込めれば簡単に地面に潜って逃げることはできないはずだ」


 さすが専門家。


「つまりこの丘にワームを引きずり上げないといけない。そういうわけですか」


 ザグは難しい顔でそう言って俺を見た。だが、イザリルが横槍を入れた。


「いや、それは私がやれるかな」

「ああ、イザリルならできるね」


 イザリルってなにができるんだろうな?

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