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ドラゴンってやつ?

 セローアの言った通り、三日後のパトロール中に大物がやってきた。いや、これは一年後のラスボスどうこうって話じゃないよな。


「なんなんだよあれは!」


 俺は空中を飛ぶものに向かって文句を言っていた。


「見ての通り、ドラゴンよ」


 セローアは当たり前のようにそう言った。まあ確かに、あれはファンタジー風のドラゴンだよ。だからって目の前に出てきてはいそうですかってわけにもいかないよな。


 あれは全長十五メートルくらいはあるぞ。しかも飛んでるし。


「それより、あれはどうすればいいんだ」

「このまま通りすぎてくれればいいんですけどね」


 ケインはそう言ったけど、どうもそうはいきそうにない。ドラゴンはこっちに向かって降下してきた。


「あれって、やっぱり火とか吐くの?」

「吐くわよ、あー来た。ケイン、よろしく」

「わかりました」


 ケインは剣を抜いて自分の腕に当てた。そして、それを一気に引いた。


 うわー、血がだらだら流れ始めた。


「我が血をもって、我が願いをかなえよ」


 そうすると、俺たちの前に半透明の膜のようなものが現われた。間髪いれずに、そこにドラゴンが吐いた炎が直撃した。


 びっくりしたことに、炎はその薄そうな膜に完璧に遮られた。


「すごいな、これが魔法ってやつか」

「そう、ブラッドマジックっていうやつで、使い手は少ないのよ」


 なぜかセローアが平らな胸を張って答えた。まあ、そんなことより、今はあのドラゴンをなんとかしないとな。


「次元の鉄槌よ! その姿を現し我が手におさまれ!」


 俺の手に鉄槌がおさまった。でも相手は上空。俺は頭をフル回転させて、それに使える物を考えて、すぐに思いついた。


「これしかないな! フォーム! チェーン!」


 鉄槌が光り、先端に重りがついたとんでもなく長い鎖になった。


 俺はふりかぶって、それをドラゴンに向けて投げた。


「よし!」


 鎖はうまいことドラゴンの体に巻きついた。鎖はなかなかすごい力で引っ張られ始めたけど、俺がなんとかできない力じゃない。


「空飛ぶトカゲが、なめんなよおおおおおおおおお!」


 俺は無理矢理ドラゴンを振り回し始めた。最初は抵抗されたが、俺の馬鹿力はすぐにそれをねじ伏せた。


「おらあああああああああああ!」


 俺はそのまま自分の体を回転させてドラゴンを振り回してから、それを地面に叩きつけた。


 すごい音と地響きがして、ちょっと先のほうにドラゴンは墜落した。


「ほんと、あきれた馬鹿力ね」


 セローアはそう言ったが、俺は無視してチェーンを鉄槌に戻して肩にかついだ。


「よし、ドラゴンの様子を見に行こうか」

「そうですね。また飛ばれると厄介ですから、急ぎましょう」


 ケインはうなずいて、俺達は走りだした。で、ドラゴンの落下地点まで到着してみると。


「これは見事にひっくり返ってるわね」


 セローアの言う通り、ドラゴンはひっくり返ってピクピクしていた。たぶん打ちどころが悪かったんだな。


「これ、どうするんだ? タローみたいに調教なんかできたりするのかな」

「さすがにドラゴンを飼いならしたという話は聞いたことがありませんね」


 ケインは腕を組んで難しい顔をした。でも、セローアはそうでもないらしかった。


「どうかしら。ドラゴンっていうのは結構高い知能があるっていう話しだし、うまくすれば飼いならせるかも」


 それからセローアは俺のほうに顔を向けた。


「ヨウイチ、さっきのあれでこいつを縛ってくれない?」

「ああ、わかった」


 俺は鉄槌をチェーンに変化させて、ケインと一緒にドラゴンを縛り上げた。さらにケインは自分の指を切った血でドラゴンの口に封印をした。


「これで炎は吐けません。さて、どうするんですか? セローア」


 ケインと俺はセローアを見た。セローアはドラゴンをじっと見ていた。


 それから、セローアはドラゴンの額に手を当てた。なんだ、心を通わせるとかそういう話かな?


「聞こえる!? このトカゲ!」


 あー、全然違う。でもドラゴンはそれに反応して、うなり声を出して目を開けた。


「ドラゴンが知能が高いっていうなら、私の言ってることはわかるわよね。今、あんたを生かすも殺すも私の意思一つなの」


 ドラゴンはかすかに首を縦に動かした。わかってるのか、こいつ。


「いい子ね。私の言うことを聞けば、命は助けてあげてもいいけど、どう?」


 そう言いながらもセローアがドラゴンの額に置いている手には、なにかやばい力が集まっているのがわかった。


 ドラゴンはまた首を縦に動かした。


「よしよし、いい子ね」


 セローアは手を放した。


「あとの調教はオーラさんに任せればいいわね」


 いや、オーラさんて何者なんだよ、本当に。


「じゃあ、私はオーラさんを呼んでくるから、二人ともよろしくね」


 セローアは手を振って町のほうに走っていった。俺はその背中を見ながら、ケインにつぶやいた。


「なあ、オーラさんって何者なんだ?」

「そう言われると困るんですが、ヨウイチさんと同じで規格外の人なのは間違いありませんよ」

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