プロローグ.次元の管理人
俺は花の浪人生、宮崎要一。今はなんというかアレだけど、近いうちに大物になる、予定。で、いつものように勉強を終えてベッドに入ると、電気を消したはずなのに天井で何かが光っていた。
体を起こして手を伸ばしてみると、その光が急に降りてきて俺の手に納まった。そして、光が一気に輝きを増し、思わず目をつぶった。
「で、なんだよここ!」
俺が目を開けてみると、なんか白いふわふわしたものが一面にある場所に立っていた。あっちを見てもこっちをみてもしろいふわふわ。気が変になりそうだった。
「おーい、もしもーし、誰かいないのかー」
声だけ響いて反応は無し、かと思ったら目の前になにか人影みたい形の光が現われた。
俺がそれに近づいて手を伸ばしてみるといきなり衝撃を感じた。
「うわ!」
俺は後ろに数メートル飛ばされてしりもちをついていた。そのまま顔を上げると、人影みたいな光ははっきりとした人間になっていた。
白髪、角刈り、見たところ長身のじいさん。とりあえず俺は立ち上がってそのじいさんに声をかけてみることにした。
「あのー、単刀直入に聞きますけど、ここはどこであなたはどちらさま?」
「ここは次元の狭間で、私は次元の管理者だ」
「次元の狭間? 管理者?」
俺の頭は著しく混乱していた。どうもじいさんはそれがわかったらしかった。
「まあ神、みたいなものだ」
神? なに言ってるのこのじいさん? と言葉に出さなくてもそのじいさんにはわかるらしかった。
「理解できないのはわかる。だがまあ、今は私の話を聞きなさい」
「はあ」
「君にはこれから違う世界にいってもらう。少々やっかないことになった世界があるのでね」
ちょっと待った。
「もちろん問題の解決にあたってはこちらからも力を貸すから心配ない。しっかり解決してきてくれ」
「ちょっと待った! 俺はまだ何もオーケーなんか…」
「決定したことだから何も聞かないぞ」
「いやいやいやいやいやいや」
俺は鞭打ちになりそうな勢いで首を振ったが、じいさんには届かなかった。
「それじゃ、頼んだぞ」
じいさんの手が振られると俺の意識は遠くなっていった。