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雨のように降る札束を受け取るんだ!

作者: 健野屋文乃
掲載日:2026/08/30



僕は野良の式神、裏山阿吽弐号。


読み方は【うらやま あうん にごう】だ。


我が兄貴である裏山阿吽壱号を、探す旅をしている。



僕の名が裏山なだけに、裏金のありかを見つけるのに長けているんだ。



誰だって裏金を手放したくないだろ?


だからなのか、その時、僕に浴びせられた銃弾の数は100発を超えていた。


でも、野良の式神の裏山阿吽弐号にとって、それはとってもゆっくりと飛んでいるように見えるんだ。


それはボーリングのボールのように。


そんなゆっくりとした世界で生きている人間を愚かに見えたりした。



【でも、それは生き物の違いであって、優劣でない】


と時々自戒している。



「僕は野良の式神だからね、誰かにおもねったりしないんだ」


そして、僕はゆっくりと動く人間を、1人1人倒していった。



そうやって手に入れた大金を、僕はビルの屋上にまでもっていって、地上にばらまくんだ。



それが何に意味があると思うかい?


それはね、空から雨が降る事や、太陽の光が降る事と同じことなんだ。


雨や太陽の側に属する野良の式神は、そうする事に快楽を感じるんだ。



さあゆっくり動く人間よ。雨のように降る札束を受け取るんだ!


さて早速、我が兄貴の裏山阿吽壱号を探す旅を再開しよう。



୨୧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧



あたしは、自称幸薄系美少女。


そして陰陽道を少しだけかじっただけの少女。


まあ、才能溢れる天才陰陽師と言っても過言ではない。



あたしは降ってくる札束を見上げた。


まるで紙切れの様だが、間違いなく札束だ。



空から降ってくる札束を拾いまくった。


25万はいったかな?



色々お金が足りなかったあたしは、ビルを見上げた。


うん、良くできた式神だ。



裏山阿吽弐号は自分を野良の式神だと思っている。


故に、陰陽師に捉えられても、あたしと繋がる事はない。



そして、あたしはこうやって安全に金を受け取る。


全部、わたしのシナリオだ。



さて今日は、幸薄美少女友達を誘って、りんご飴とパフェとクレープ巡りをするとしよう。



あっ裏山阿吽弐号がビルから出てきた。


晴れ晴れとした気持ちで、裏山阿吽壱号を探しの旅に出るのだろう。



あたしはすれ違いざま、小声で囁いた。


「ありがと」



ちなみに【裏山阿吽壱号】なんて、存在しない。


裏山阿吽弐号の気持ちが、主であるあたしに向かわないための、ある種の術式だ。



存在しないとしても、何かを追うと言う物語は、あたしがあたし自身の利益のために、裏山阿吽弐号に与えた物語だ。



会う事のない【裏山阿吽壱号】


それはハッピーエンドを迎える事のない物語。



それにしても裏山阿吽弐号は、清々しい顔をしている。


まるで物語の主人公のように。







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