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Thùndï-Æthàltâ  作者: 篠崎彩人
第一解「電気魂分解」
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第光環「絶対者の元サンディ」

 絶対神とサンディと言う比較には思う所がある。人類の超大量殺人犯としての絶対者の元サンディと、今行動を共にしている現サンディについてだ。現サンディには殺戮の自覚は無いそうだ、人の塩漬けと言う悪魔染みた所業の全てが終わってから今の人格が芽生えたらしい。それは多分各国に散らばって行ったサンディ別個体達もそうなのだろう、そうで無ければ罪悪感だけで圧し潰されてしまう、普通の感覚で考えればだが。それを加味しても随分とあっけらかんとしているので、多分大本の元サンディ自体自身が人間だったと言う意識が希薄な人類の中のサイコパス的異質者だったのだと推測する。だからと言ってその大罪が消える訳では無いが、はっきり言って起こってしまった地球上でのビッグバンと言っていいこの人類消滅劇を責めても始まらないし、自分は正義の執行者でも何でもない。原子力発電所を放置していて大丈夫なのかとか、腐敗臭は飲食品からも出るのでは無いかとか色々人類が文明放棄してしまう事での諸々が気にならない訳では無いが、デスゲーム、これが実施される人類の歴史から言って瞬きの様な期間はそれでもこの外界と隔絶された鳥かごの生活の中で成立し得ると言う事か。そもそも私が考え付く程度の文明停止での危険因子は何らかの形でフォローが入っていそうな物だが、流石にそこまでの事はサンディも(あずか)り知る範疇では無いそうだ。しかしあらかた人類が消滅してしまうと言うカタストロフィ作品は私の頭にも入っているにせよまさか自分がその後の世界の生存者として躍動する日が来るなどと夢にも思った事は無かった。

 ゴロゴロと雷が鳴り出している。ここの所(とみ)に鳴っている様な気がする。庭とは言え全てガラス張りで空調も整備されているのでその外界の様子はあまり私には関係無いのだが、それでも見ていて気分が優れる訳でも無いので庭での散歩もめっきり減少傾向である。慰みの石ころを蹴るのも程々に、私は施設へと足を踏み入れた。

「ただいま」

 私達は頭で共存しているが、施設内であっても発声し話し掛ける形でしか私側はコミュニケーションが取れない。或る意味当然の縛りだ、私の思考がサンディに対し全て開けっ広げと言うのでは辛いし、それは向こうも同じ事だろう。

<おかえり、早かったね。雷にお臍を取られるのが怖くなったみたいで>

 向こうはこうして脳に直接言葉を響かせて来ると言う違いこそあるが、プライベートな一線はお互い守られているとまあこの私の物だけでは無い金属製の身体はこう言う設計になっている。

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