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Thùndï-Æthàltâ  作者: 篠崎彩人
第三解「命取りゲーム」

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第六環「灼熱の行軍」

「ね、言ったでしょ。ちゃんとした、カハ、心構えが要るって」

 今のは勿論槍がそれを受け付けない彼女を通過したから生じたえずきでは無かったが彼女の苦しさを思うとそれ位のイメージでも丁度いいのかも知れない。はっきり言って太陽の光球も程近いと言っていい。だがこの仕掛けからすると見た目程近いとは言えないのだろうな、と思いながら私は始まったばかりの新しい舞台にやきもきさせられていた。光球までの距離が近いだけあって槍の頻度も過多と言っていい程有る。どうにか最終到達点の太陽の光球には辿り着かせまいと言う強い意志をひしひしと感じる。ザク、ザク、ザク、と事象の上では体の各部位を悪臭に苦しみながら貫かれている彼女を見続けるのはいい気がしなかったし、その彼女無しではとても渡り歩いて行けない自分がもどかしくも有った。

 彼女の歩幅はとてもストライドが大きいと言う質の物では無かったが、それでも足取りは確かだ。余裕は無くとも進んでいる過程のすぐ先に光球が有る、と言う事実は功を奏しては居る様だった。何処か他人行儀にそんな事を考えつつもしっかり距離は取りつつ彼女の背中を追う。とそこで、

「はい、ここで限界休憩ー。ニノも限界じゃないだろうけど休憩ー」

 と彼女の方からヘルプサインだ。彼女は有無を言わさず座り込み、私は断る理由も無いのでそれに応じ同様に座る。

「よくやってくれた。後は任せてくれ、とは言えないのがもどかしいが」

「いいんだよ、私達二人の事なんだから。それより、次ィに立った以降が不安だね。これ、光球に近付くにつれ私の嗅覚もどんどん追い込まれてる」

「匂いがきつくなってるのか? 俺の方も体感としてはある程度増しているな、とは思えるが」

「多分だけど、匂いの発生源はあの光球そのものだね。しかも聖域ィとしての見えざる防護服の無い私が最初に辿り着かないと無理そうだし。アメリョッカの時の絶叫ニノじゃないけど私が今度はその役回りをする事になるかも。上手く行けば、だけどね、正直辿り着く事自体自信無いよ」

「そ、そうなのか」

「ただ自信持って、多分どうにかなる。ニノの作った会場だってこっち同様相応にエグいんだ。あっちのタイムアップに期待を寄せながら、こっちもこっちでやれるだけの事はやっておくだけ」

 そう捲し立てると休憩で私の方に比較的寄った位置取りで匂いを軽減しつつ座っていたスゥはお尻をパンパンと払うと、立ち上がり槍点検の続きを開始した。私の作ったデスゲーム会場に言及すると言う事は、フラニシュ側の根気が折れる事の神頼みか。もう我々には余力が無いのだろうな、と悲しさと悔しさが()い交ぜになる。近くて遠い灼熱の太陽光に晒されながら、私達のゴールと言う当て所に辿り着けるのか不明の行軍は続く。

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