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5th:色欲の章

 彼女が目覚めると、そこには本を読む白髪の女性がいた。


「あの…ここは?」


「お目覚めですか?キムラさん。」


「え?どうしてボクの名前を?」


「ごめんなさい。お先に読ませて頂いているので…」


 机の上を見ると、1冊の本とメモ。メモを読むと、大きなため息をつく。


「ボクはこのメモの主が誰かってのがだいたい分かるから信じるけど…キミは良く信じたね?罠かもしれないのに…」


「えぇ。根拠はありませんが、まっすぐだと感じたので。」


「自分のことじゃないけど…友達が褒められるってのも、やっぱり嬉しいね。ありがと。」


 そう言いながら、彼女は本を手に取る。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「お疲れ様。」


「まさか、そちらの方が先に読み終わるなんて…」


「まぁ、本を読むのは慣れてるからね。」


「その点、私は本を読む機会はあまりありませんね…」


「それも一つの違いかも、なんてね?」


 からかうような笑みを浮かべる舞。そんな様子を見て、つられて彼女も優しい笑みを浮かべる。


「似ている点のお話もしましょうか。恋愛に関する感覚は、似ているかもしれませんね。」


「それに、彼女が嘘つきっていうのも似ているんじゃないかな。」


「それも、優しさをごまかす為に嘘をつく。私達よりあの2人の方が似ているかもしれませんね。」


「違いないや。じゃあ次は違うところの話をしようか。ボクは彼女の為だけに動く。でも、キミはみんなの為に動ける。」


「最初はただの罪滅ぼしとしてではありましたが、そんな私を好きだと言ってくださったので。」


 二つの扉が現れる。目的達成を表すその現象。本来であれば喜ぶべきではあるが、どこか寂しさを感じてしまう。


「もうちょっと、しっかりとした恋バナしたかったなぁ。」


「それは、また会えたらということにしておきましょう。」


 扉に手をかける。軽く笑い合い、扉の向こうへ足を踏み入れる。

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