表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

3rd:強欲の章

 パンッと、手を鳴らす音が響いた。その甲高く響く音で、「彼女」は目覚める。


「久々の目覚めだよ…それで、君は?」


「私は谷川美波。」


「谷川美波…もしかして君、日本人?」


「ってことは、あなたは日本人じゃないの?」


「まぁ、ね。」


 そう言いながら、彼女は机の上を見る。二冊の本と、「本を読んで。二人の共通点と違う点を言い合って。」と書かれたメモ用紙。


「これは美波が書いたの?」


「いーや?私じゃないよ?多分うちの眠れる女神様がやったことだろうねぇ…」


 それを聞いた彼女は、考え込むようにメモ帳を見る。そして、メモ帳を置くと次は本を手に取る。


「…ってか、分厚さ違いすぎない?こっちの辞書みたいな分厚さなんだけど…」


「当然だよ。こう見えて長生きしてるからね。多少飛ばし飛ばしで読んでも良いんじゃないかな。」


「出来るだけしっかり読みたいけど…」


 そう言いながら、二人は1ページ目を開いた。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「あぁ…疲れた…」


「お疲れ様。大変だったね。」


 目頭を軽く押さえながら上を見る美波。そんな美波を見ながら、彼女は楽しげに微笑む。


「あなたが動けなかった2000年ぐらいの話はだいぶ端折ってくれてたから良かったものの…長過ぎるよ…‼︎」


「見た目と年齢が離れていることについては言及しないんだね?」


「あー、それはさっきあなたが言ってたから覚悟してたよ。あと、もう可愛い可愛い銀髪美少女でもう慣れっこだから。」


「言われてみれば、そっか。」


 手に持った本を弄りながら、どこかからかうような視線を向ける。


「じゃあ、本題に移ろうか。僕らの共通点と、違う点。違う点の方が思いつくよね。君は大切なものを永遠にしようとしたりはしない。ミハクと永遠を過ごそうとした僕とは大違いだ。」


「永遠で苦しんでる相手と戦ってきたからね。自然とそーいうのが怖くなって…」


「それも当然と言えば当然か。」


「で、次は似てるところかぁ…ある?」


「タイトルが強欲の章ってなってるし、他人への執着が似てるって話じゃないかな?」


「むぅ…認めるけど…シスコンは認めるけど…そんなに私強欲かなぁ⁉︎」


 天井を見上げ、この空間を作ったであろう誰かに向けて抗議する。そんな美波の姿を見て呆れたのか、彼女はいつの間にか現れていた緑の扉へと向かう。


「って‼︎ジェルゴさん⁉︎いつの間に‼︎」


「僕はここいらで失礼するよ。」


「ちょっと‼︎」


 美波の抗議の声を無視して、彼女は…ジェルゴは扉の先に消えていった。


「みのり〜ん‼︎あとでじっくり聞くからね〜‼︎」


 美波は、大きな足音を立てながら赤い扉へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ