第二話
だいぶ更新が遅れてしまいました…まだ執筆するのが習慣化してないからですかね…正直内容は薄いですが読んでいただけるとありがたいです。
第二話
扉を開けたら、そこには見たことのない景色が広がっていました__なんてことはなく、何の変哲もない和室が待ち構えていた。ちゃぶ台にテレビ、壁にはご丁寧に掛け軸まで飾られている。いや、この建物にこんな部屋があるのは違和感しかないのだが…
「え、何この部屋…ここの空間だけ昭和なの…?」
「失礼な。テレビは4K内蔵の液晶だぞ。」
「!?」
有紗と美咲の二人が驚くのも無理はない。いや、私もびっくりしたんだけど…声が、聞こえるのだ。奥の押し入れから。まあ、自然に考えると、この部屋の主といったところか。なんで押し入れにいるのかは皆目見当もつかないが。そんなことを考えていると美咲がどこから持ってきたのかわからない巨大な角材を押し入れの扉につっかえ棒代わりにはめ込んでいた。
「美咲!ちょっと、何してるの!?ていうかその棒どこから持ってきた!?」
「廊下にあった。」
「そうじゃなくて!閉じ込めちゃダメでしょ!」
「何言ってるの。さっきの怪しいメールのこと忘れたのかい?この押し入れに
引きこもっている輩もどんなことをしてくるかわからない。ならばどうするか。先手必勝に決まってるじゃないか。」
いや、確かにそうだけれども、中々えげつのないことをするな…美咲は普段は穏やかな奴だが、なかなかに肝がすわっているので時折思い切った行動をすることがある。それよりも、
「ね、ねえ、さっきから反応ないよ…?」
「それはそれで怖いよね…」
「二人とも下がってて、油断禁物だよ。」
お、おう。なんかさっきから美咲のイケメン力高いな…。私と有紗は女の中でもか弱い部類だからかな…身長や体格は三人とも大して変わらないのだが、強さで競ったらたぶん美咲、有紗、私の順になる。おそらく私がぶっちぎりで弱い。私たちは頼りないからこういうことは美咲が率先してやらざるを得ないのだろう。そんなことを思っていたら、
「…助けてくれー」
押し入れから懇願が聞こえた。どうやら先ほどまで感じていた私たちの不安は杞憂に終わったようだ。だが、正直結構怖かったのは事実。とりあえず三人とも部屋の主に復讐してやろうということで意見が一致し、私は押し入れの扉を揺らし、有紗は幽霊(?)の真似をしようとしたのか、可愛らしい声で「うぅうー…」とうめき声を出し始め、美咲はそこら辺にあった棒で押し入れの扉をつついて穴を開けていたので、それはさすがに止めた。
「やめてー!変な声聞こえる!扉ガタガタするの怖いよう!穴!穴開いちゃってる!」
とまあ部屋の主の情けない悲鳴を聞いて、ようやく私たちはいたずらを止めてつっかえ棒を抜いた。抜いたら、押し入れの扉ごと倒れて部屋の主が畳に転がり落ちてきた。部屋の主は意外にも大人の女性で、学生ではなさそうだ。でもなんでそんな人がサークル棟だった廃墟に?と思っていたら、
「綾乃さん!?」
「え!?美咲この人のこと知ってるの?」
「…この人は私の従姉だよ。そしてこの大学の教授。」
「だ、大学の教授を押し入れに閉じ込めて乱暴しちゃったってこと…?」
「夏帆、別にそこは気にしなくていいよ。もともとはこの人から押し入れに入ってたんだし。」
「おい…。お前たち、とくに美咲、やけに失礼な態度をとるじゃないか…。大人は敬うものだぞ!」
「まともな大人は押し入れに籠ったりしないと思うんだけどー?」
「むむむ…。」
まだ会って一分も経っていないが、敬う気持ちが一ミリも湧いてこないのはまあわかる。
「それよりも綾乃さん、何でこんなことをしたのか包み隠さず話してもらおうか。」
「あ、あぁ、わかったよ。でももう12時だからな。腹が減ってしまって、昼飯食べながらでいいか?お前たちにもご馳走するぞ。」
「相変わらずマイペースですね…」
「おお、照れるなあ。」
「褒めてないです!」
千歳教授のペースに毒気を抜かれてしまって正直調子が狂うが、それなりに空腹だったので助かる。変な人だけど、悪い人ではなさそう。そう思いながら私たちは厚意に甘えて昼食をいただくことにした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。次回は頑張って早めに更新します。内容の質も上げておきます。