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第四話 もし人形に選択肢が用意されていたのなら

 そのあと、僕たちは森まできていた。僕はなおみの症状を親身に聞いた。彼女の症状は、能力の使い過ぎによるものだと伝えた。実際は何もわからない。だが、こっちのほうが僕にとっては都合がいい。

 あかりの情報はまったくもって役には立たなかった。とはいえ、僕はもともと彼女の情報なんて聞く必要なんてない。彼女をここに連れてきたのには、別の理由があったからだ。


「それじゃあ私はこれで」


そういって、直美は立ち上がりその場を去っていった。


「私もこれで失礼するわ。早くかえって好きなことをしたいもの」

「待ってくれるかい」


帰ろうとする彼女を、僕は引き留めた。


「なによ」


怪訝な顔つきで彼女が見てくる。彼女からすれば、なおみの連れとしてきたから、僕たちには興味なんてなかったのだろう。

 だからこそ、僕は言った。


「少し、この先の崖で話さないかい?」

「いいわよ」


一瞬顔が曇ったが、しばらく考えたのち、彼女は僕についてきた。






この学園の近辺には、海辺がある。そしてその近くには崖があり、僕たちは、すこし古びた柵に身を寄せて話し始めた。


「君は彼女を友達だと思っているのかい?」

「ええ。もちろん」

「じゃあ、どうして扱いが雑なの?」

「どういうことよ」


彼女の言葉に、僕はほんのすこしではあるが、彼女がとってきた行動をみて気づいたことを言っていくことにした。


「君は僕が二人で森に来てくれっていったとき、めんどくさがったじゃないか。友達なら普通は何も言わずについていく。なのに君は誘いを拒否しようとした。それはどうしてだい?」


彼女は僕のほうを見て、目を閉じて笑った。


「私ね、直美とは長い付き合いなの。子供のころから一緒だった。なおみってば、私がいないと何もできないのよ。何をするにも私と一緒。そんな彼女を、私は自立させたいと思っているのよ。だから、この学園ではわざと突き放すようなことを言ってたってわけ」

「...あかりさんは優しいんですね」


彼女のやさしさに触れた僕は、何も考えることなく自然と言葉が漏れていた。

 きっと、そういう人を何度も見てきたからかもしれない。転生前の、りゅうとやちひろとか。


「そういえば、あなたの能力って何です?」

「いうわけないでしょ。こうやって話して、能力を教えてもらおうと思ったんでしょうけど、そうはいけないけど」

「僕の能力は瞬間移動です」

「ちょっと!?何を急に言ってるの!?自ら能力を晒しにいくなんて...」

「僕の能力を聞いたからには、あなたの能力も教えてくださいよ」


無理やりだったが、いけるか?と、彼女のほうを見ると、彼女は唖然とした顔でこちらを見ていた。

 しばらくの沈黙が流れたのち、彼女は、はぁ。とため息をついて答えた。


「攻撃力を上げるだけの能力よ」


 攻撃力という単語を聞いて、僕はるりから言った情報を思い出した。

 攻撃力というのは、相手にダメージを与えるためのステータスの中で一番優先度が高い。それを強化できる能力は、単純な戦闘では大いに役立つだろう。と。だが、まだ続きがある。だけど...。


「この場では無意味なんですよねぇ」


その瞬間、僕は能力を発動した。

 彼女の視界から僕が消え、もともと隙だらけだった彼女には、どう対処の使用もなかった。

 僕の能力は『消去』。今僕が消去した対象は、相手に見える自身の姿。つまり、今の僕は実質透明人間である。

 僕は柵から視界がそれたあかりを見ながら、柵を破壊する。それを認知したあかりは、思わず柵のほうへ視線を飛ばしたが、その時には僕はすでに彼女の背後へ回っていた。

 そして、崖から彼女を突き落とした。

 宙に浮いた彼女は、それでも死ぬまいと、彼女は崖の先端をなんとか片手でつかんでいた。


「どうして....っ」


涙目になり、彼女は苦しそうな顔を浮かべていた。

 ズキリと、胸が痛む。


「............これも命令なので」


そういって、僕は彼女の命綱である身後の四本指をけり、ようやく彼女を崖から突き落とすことに成功した。

 直後、ドボンと何かが海に落ちる音が聞こえた。

 能力で体は見えなかったが、恐怖で体が動かなかった。そう。僕は今人を殺したのだ。いくら主従関係だからと言っても、人殺しは人殺しだ。

 鼓動が早くなる。視界も定まらない。足がすくんで立ち上がれない。

 それからしばらくしたのち、あかりはどうなったのだろうと思い、下を覗いてみた。そこには、うつろな目でこちらを見ているあかりの姿があった。

 思わず目を見開いて口に手を当てた。反射のようなものだった。

 次第に彼女は深い海の底に沈んでいき、姿と影は見えなくなった。

 この日。日が沈むまで、僕は能力を発動したままその場を離れることができなかった。





『よくぞやってくれた』


その日の夜。気を紛らわそうとテレビをつけ、何とか吐き気を抑えて僕はるりと通信をとっていた。


『あまりいい気持ちはしませんでしたけどね』


そういいながら、僕は自身の掌を開いたり閉じたりした。なんとなくだが、少し力が強まって気がする。おそらく気のせいだろう。


『とはいえ、Eクラスの女子生徒を一人殺したのはでかい。引き続き頼んだぞ』

『...........はい』


るりは満足そうに言って通信を遮断したが、僕の気持ちは晴れやかものではなかった。

 きっと、明日は大騒ぎなのだろうか。なんて思いながら、僕はゆっくりと目を閉じた。

 それにしても。と、目を知事た状況下で、僕は少し考え事をしていた。

 るりの目的。それはこの世界の支配だと言っていた。それはおそらく正しい。だいたいはうそをつけば必ず体のどこかで異常が起きる。しかし、彼女と話したとき、彼女には何の以上も見られなかった。

 だが、どこか突っかかるのだ。なにかこう、あっているようで何かが違うのだ。僕の感がささやいている。

 彼女の目的は、支配するという目的になった根底にあるのではないかと。

久しぶりの小説なので、少し違和感を感じることがあるかもしれませんが、温かい目で見てくれると幸いです。




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