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わたくしに隠し事なんて通用しませんわ!!!

作者: 月乃 寝々

「一体なんなんですのーーーっ!!!!!」



おっと、冒頭から失礼いたしました。

わたくしはリアーナ・フローミアと申します。爵位は伯爵、それなりに良家です。


19歳の現在、ナーサミア・ローリアという婚約して5年目のお付き合いをしている方がいます。


彼は儚げな灰色の髪に赤い瞳を持つ、超絶イケメン。

垣間見える重い愛情がとっても素敵な幼なじみであり婚約者です……。



うふふ、彼は本当にかっこよくて素敵ですわ……じゃなくて!!!!




現在わたくし、怒っておりますの!!

とーっても怒っておりますのよ!!



なんでかって…???


そんなの、彼が最近浮気しているかもしれないからですわ!!!


前までは週に何回も会いに来て下さったり、休日のお茶会やデートもありましたのに、最近の彼ったらわたくしと会う頻度がとーーっても少なくなっていますのよ!!!!!



浮気はしていなくとも、少なくともわたくしに隠し事をしているのですわ!!!


わたくし達の『ラブラブ♡婚約ルール♡』の第15条に、"隠し事をしない♡"というものがありましてよ!!!


なのに、彼ったら最近会う頻度が減ったのではないかと聞いたところ、あからさまに話を逸らしやがりましたのよ!!!!

なんなんですの!?本当に!!!!


おっと、いけないいけない…わたくしとしたことが、失礼いたしましたわ…。



という訳で、今からわたくし、彼に尾行しようと思いますわ!!!!


思い立ったら即、行動!!ですわよね!




◇ ◇ ◇




まずは形から!という事で、探偵さんらしくチェック柄の服を着て参りましたわ。もちろんベレー帽に眼鏡(伊達)も忘れていませんわ!



さっそく街へ行った彼を見つけましたわ!

あぁ…なんと麗し…ゴホンゴホン…。


って…な、なんということですの…!?

彼が…美人な女性と待ち合わせをしていたみたいですわっ…!


そ、それに…ぼ、ぼぼぼ、ぼんきゅっぼんではないですの!

「わ、わたくしだって…。」

ちらっ、下を向いてみた。ない。何がとは言わないがない。皆無に等しい。


く、くそぅ…!でも今は尾行に集中ですわっ!



◇ ◇ ◇



彼を尾行し始めてからどのくらい経ったかしら…。


あれから彼は、あのぼんきゅっぼんな女性と可愛らしいお店を何店もまわっていましてよ…。


しかも、なんだか彼と距離が近いのですわ!


わたくしから尾行なんてしておいて、わたくしが悪いのは百も承知ですが…。

わたくし、もうメンタルがズタボロですの…。


やっぱり、殿方は素直に甘えられる、愛嬌のあってぼんきゅっぼんで美人な女性が好きなのですわね…。


もう、彼が浮気している証拠は掴めたことだし、帰ろうかしら…。


明日、彼と会う予定があるからその時に婚約破棄したいと伝えよう…。

明日はせっかくわたくしの誕生日でしたのに…。はぁ。



◇ ◇ ◇



「リアーナ!!」

わたくしの姿を見るなり笑顔で駆け寄ってきたナーサミア様。


「お久しぶりですわ。ナーサミア様。」

頬が引き攣りそうになるのを必死に隠して、なんとかいつも通りの笑顔で出迎える。


「リアーナ、なんだか今日は元気がない…?」

わたくしの顔色をのぞくナーサミア様に、思わず色々な意味でドキッとしてしまう。


「お、オホホ。なんでもありませんことよ?それよりほら、お茶にしましょう?」


「…やっぱりリアーナ、俺に隠し事してる?リアーナは嘘が下手だからね。」


ドキッ…!!え、なんでバレていますの!?わたくしの完璧なポーカーフェイスが!!


「オホホ、なんのことでしょう?お茶にしま…」


「図星だ。ほら、その髪を触るクセ、リアーナが嘘をつく時にいつもしてるよ?」

だらだらだら。全身から汗が吹き出ている感覚が…。


「なに…もしかして俺に飽きた?他の男がいいの?ねえ、リアーナ、全部俺に言って?」

ナーサミア様の声色が低くなる。


…って、あれ?何故わたくしが婚約破棄をしたいと伝えようとしているのをバレないか怯えているのかしら。


というか、浮気したのはナーサミア様ですわよね…?


__この瞬間、わたくしの中の何かがプツンと切れた。



「…っ!ナーサミア様のおバカっ!ナーサミア様の方こそ他の女性に目移りしてるくせにっ、浮気してるくせにっ!!う、うわぁん。」

わたくしはこんなにも愛しているのに、ナーサミア様に浮気をされている。

なんだかもう、全てが馬鹿らしくなって涙が止まらない。


「え?り、リアーナ?あぁっ、泣かないでっ…。それに今言ってたことは全く身に覚えが…」


「うぅっ…!触らないでくださいませっ!所詮わたくしは遊びだったのでしょう!気付けなかったわたくしが恥ずかしいですわっ!

もういい、婚約破棄をしてくださいませ。」

なんとか溢れ出る涙を堪え、一息で言いきった。


やっと、やっと言えた…。婚約破棄をするのは悲しいけど、わたくしのことを大切にしない男なんて、こちらから御免よ!と思った瞬間…。


「は?今、なんていった?婚約破棄?俺の聞き間違えだよね?ねえ、なんでそんな事言うの?俺の事だけ好きなんじゃないの?それに、俺が浮気してるってなに?」

一気に声色が低くなる。なんだか魔王様みたいな顔に…。でも、わたくしは怯まないっ!


「わたくし、この前見てしまったのですわ!ぼんきゅっぼんな美女とデートをしている所を!その、尾行したのは申し訳ないと思ってますけれども…。」


「は?ぼんきゅっぼん?美女?デート?なんのこと?それに俺は胸の大きさとか気にしてなくて…。」

まぁ、ナーサミア様はぺったんこでも気にしないのね!なんだか本当に何も知らないような顔と話ぶり…って、騙されては行けませんわ。


「き、昨日、沢山の可愛らしいお店にその美女と入っていったでしょう…!全部見ていましてよ!」


「昨日…?あぁ、確かに昨日は街へ行ったよ。()()()と。」

…ん?今、わたくしの聞き間違えでなければ、ナーサミア様は姉さんと言ったかしら。


だらだらだら。またもやわたくしの全身から汗が吹き出る感覚。


ナーサミア様のお姉様が美人だということは知っていましたが、確かにわたくしはナーサミア様のお姉様を見たことがなかったですわ…!


「その、本当に昨日の女性はお姉様ですの?」


「あぁ、見て、ほら。この手帳。」

そう言って、ナーサミア様は有力貴族の名前と顔のイラストがのった手帳の一ページをわたくしに見せる。


あぁっ…!!なんということ!昨日ナーサミア様と街を歩いていた女性は本当にお姉様では無いですの!


「リアーナに辛い思いをさせてしまって、本当にごめんね。最近会う頻度が少なくなったのは、仕事をたくさんいれて、リアーナにプレゼントをしたい物を買うためだったんだ。それに、昨日姉さんと街へ出掛けていたのも、リアーナへのプレゼントに女性からの意見を聞こうと思って。ほら、俺、リアーナ以外の女性と関わりがないから…。」


「ももも、申し訳ございませんでしたっ!てっきり、ナーサミア様が浮気していると勘違いをっ!あわわ、婚約破棄したいと言ってしまいましたわ、どどど、どうすればっ!」


「リアーナ、落ち着いて?俺の方こそごめんね。それに、俺、婚約破棄なんて聞こえなかったよ?」

最後の一行だけ、声色が低くなったような…。


「リアーナ、誕生日おめでとう。これ、誕生日プレゼント。それと、結婚指輪。こんな俺だけど、絶対にリアーナを幸せにするし、守り抜くと誓うよ。大好きなリアーナ、俺と結婚してください。」

顔、いや、全身が熱くなっていくのを感じる。


「っ…!ナーサミア様っ…!よろこんでっ!

わたくしにも、ナーサミア様を幸せにさせてくれませんか?」


「リアーナっ!!」

うぉっ、ナーサミア様が過去一の強さで抱きついてきますわ。わたくし、とっても幸せっ…。ってうぐっ、ハグの強さが強くなってますわよ…。でも、そんな所も可愛いっ、うぐぐ、苦しい苦しい。


「ナーサミア様、わたくしのこと、幸せにしてくれないと許しませんわよ!」


「あはは、可愛いお願いだ。もちろん、幸せにする。可愛い俺のリアーナ、すぐにでも結婚式を挙げようね。」


「はいっ!」


「ちゅっ…ちゅぅ…。」


「な、ナーサミア様っ!もうっ!」


「はは、ごめんねリアーナ。あまりにも俺の奥さんが可愛くって。」


「うふふ、結婚式、楽しみにしていますね。」




◇ ◇ ◇




__あれから数年。2人は結婚式を挙げ、子宝にも恵まれた。

ナーサミアの溺愛、嫉妬深さ、2人の仲の良さは、帝国内では誰もが知る事実となった。


リアーナの周りに男性が居ない理由は、リアーナだけが知らない。



「可愛い俺のリア。愛しているよ。俺だけを見ていてね。」

「大好きなわたくしのナーサ。わたくしも愛していますわ。」

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

2人は、今も愛を囁きあっているとか…♪

誤字脱字報告、とっても助かります!

改めて、呼んでくださった方、ありがとうございました!

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