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第一話 【これチートじゃないんですか!?】

「……これ強くね?」


 時間操作ってよくあるチート能力だよな? そんなのもらっちゃっていいのか。


『そんな都合のいい話があるわけないでしょうに』


 !? どこからともなく声が聞こえるんだが。 さっきの衝撃で幻聴が聞こえているとでも言うのか。

 というか落ちる前に聞いたぞ、この声。

 あの女神様まさか付いて来てるんじゃ……


『当たらずとも遠からず、と言ったところでしょうかね?』


 本当にいるのかよ!? というか思考読むじゃねえ!


『聞こえるものは仕方ないではありませんか! こっちだって聞きたくないものも聞こえるんですからできればやめたいです! そ・ん・な・こ・と・よ・り! 能力の話をさせてください!』


 急に怒った!? 神様ってもっと落ち着いたものなんじゃないのか!?

 というかさっきの恥ずかしい詠唱みたいなの聞いてたってことだよなそれ!? 誰か聞いてたら恥ずかしいとは思ったが本当に聞いてるのは予想外だぞ!?


『ふう…… じゃあ、まずはどんな能力なのか説明させてもらいます』


 ……まあ、聞かなくても大体わかるけどな。 というか身体ないのに深呼吸って意味あるのか?


『うるさい! こういうのは気持ちが大事なんです! ──どんな能力かは言わなくても理解できるのはそうですけど、()()の話はしないとわからないでしょう』


 制約なんてあるのか。 でもどうせ大したものじゃないんだろ。 このチート能力を打ち消すほどの制約なんてそうそうないだろしな。


『とにかくですね、お察しの通りこの能力は時間を操作できます。 でも()()に操れるのは同時に2()()までです。 そして、大事なのが()()()()()()()の時間が止まっている間は()()()()()()()()()()()()()()()()()()できません』

「……ウッソ!?」


 驚きすぎて声が出た。 なんということだ。 普通の人間の俺がどうにかできるものじゃないだろ。 それは。

 いや、でもちょっと待て、時間停止中に敵に直接攻撃できなくても、ナイフ投げたりとかそういうことはできるんだよな?


『残念ですが、投げた物の時間も()()()()()()なので、投げても時間を動かせばその場に落ちるだけです』

「ウソだろ!? それもできないのかよ!? じゃあどうやって戦うんだ!?」

『自分の頭で考えてどうにかするしかないですね』

「まともに戦闘に使えないじゃねぇか!!! 現実は甘くないって言うが、これはちょっと……辛口すぎるぞ!!?」

『ちょっと落ち着いてください! 物は試し、その辺の動物相手に使ってみれば本当に使えないのかわかるじゃないですか』


 そうだ。 落ち着け、まだ使ってもないじゃないか。 焦るんじゃない。


 辺りを見渡すと草原だから中型動物でもはっきり見える。 ヤギみたいなやつばっかりいるな。 角が曲がって前方に突き出ててかなり危険そうだ。下手に刺激すると痛いじゃすまなくなりそうだな。

 まあいいや、とにかくやってみるか。 いや、そういえばどうやるか知らないじゃん。 教えてくれ。


『すっかり忘れてました。 感覚で使うものなのでイメージすればできると思いますよ』


 詠唱とかは?


『いりません』


 じゃあやってみるか。 時間を止めるイメージ……ってなんだ?

 正直よく分からないから時間が止まっているイメージにするか。


『止まったみたいですよ』


 本当に止まるんだな。 あれ、でも全部止まってるな。

 そういえば、正確に操作がどうとか言ってたけど、どうやるんだ?


『手のひらを上に向けるか、目標に向かって伸ばして、それでイメージすれば多分できます』


 多分って、まあやったことないんだろうから仕方ないか。

 で、腕を伸ばしてさっきと同じようにやると。

 ──うおっ!? 手からなんか出てきた!? これが魔法陣ってやつか。 思ってたより複雑な構造はしてなさそうだけど他もそうなんだろうか。


『狙った通りの目標の時間が止まったようですね。 次は加速させましょう』


 加速って時間を加速させるんだよな。

 ゆっくり時間を進めて、加速させてみよう。 ヤギがスローで動くのを見ると面白いな。


 さて、ここからは加速していくはずだ。

 徐々に加速してるのを見るとなんかゲームみたいだな。 当のヤギからはどう見えてんのかね。


『一応、自分にも適用できるはずですけど、この世界に来たばかりですしオススメはしませんよ』


 下手なことして怪我したら人のいる場所に着く前に死ぬかもしれないしな。 安心安全な行動を心がけよう。 始まる前から終わったら笑えないしな。 そうなったら笑うこともできないんだけど。


 ……そうだ、本当に時間停止中に動かせないか試してみるか。


『やるならお好きにしてください。 あ、でももし動かせたとしてもエッチなことには使わないでくださいよ』


 いや酷いな。 というかそういうもののことも知ってるのかよ。


『ほら、やるなら早くしてください。 時間を()()()()()()()()()()()んですから』


 そうさせてもらうか。

 ……ん? 今サラッと重要なこと言ったよな。 時間の巻き戻しもできないの?


『正確に言えばできないことはないですが、これも大きな制約があるのでやらない方がいいです。 詳しいことは長くなるので今はやめておきます』


 ま、まあ今はいいか。 それよりヤギ相手に試さないとだ。

 時間を止めて、近付く。 近くで見るとかなり鋭い角だな。 こんなものを突き刺されたら大変なことになるぞ。

 で、こいつを押してみるが、まあ動かんわな。 次はタックルだ。

 ──痛ってえ!? 音すら出てないけどまるで壁だな……


『時間が止まってますから、ヤギの毛もクッションになりませんし、凄く硬く感じますよ』


 本当に全部が止まってるんだな。 これはエロいことには使えないな。


『やっぱり考えてたんですか』


 冗談だ。 冗談。 本当にそんなこと考えるわけないだろ。 まあ、最近創作世界ならそういうことするのが最近増えてきてはいるが……

 いやそんなことはどうでもいいんだ。 直接戦闘には使えないことが分かったから、使い慣れるまでは戦闘を避けないと。


『あなたが死んだら私も一緒に死んでしまうので、そうしてくれると助かります』


 本当にあんた俺の頭の中にいるのかよ。 頭の中に女神が住んでるってどういう状況だ?


 そろそろ移動してどこか人がいそうなところを探さないと野垂れ死んでしまうな。

 といってもアテなんかある訳ないからな。 こういう時は川沿いを進むしかない。

 まずは川を探すところからだ。 もし集落が見つからなくても川沿いなら野宿しやすいしな。 食料だってどうにかなるだろ。

 そういや、女神様。 この辺の地形とかって分かるのか?


『トンネルの中からは見えてましたが、あまり覚えてないですし、大体、現在地が分かりませんから道案内はできませんよ』


 つくづくついてないな。 こういうのは現代人にはキツいぜ。

 ないもんは仕方ないから進むしかないな。 ヤギの皮でも剥れば色々便利になりそうだけど、こいつらどのくらい強いかわからんから眺めてることしか今はできないな。 気性が荒かったらヤバい。

 家畜化されてはなさそうだから下手に刺激したら角で串刺しとか有り得るのが恐ろしい。 さっき止めたやつは俺が近くにいた状態で解除しても怒らなかったからその辺を歩いてるだけじゃ多分敵対はされないだろうが……


 それにしてもこうして歩きながら思う。 辺り一面草原で凄い気持ちがいい。

 唐突に異世界に飛ばされてるっていう出来事がなければ最高の環境だな。 元の世界はこういう草原は海外にでも行かないと見れないから新鮮だ。

 正直、ここで日向ぼっこしてるだけでかなり癒されそうだ。 そんな余裕はないんだが。


 ……そうだ、その辺に生えてる草の枝を取っておこう。 多分役に立つ。

 枝さえあれば大抵の事はできるからな。 あとは石器の元になる石があればいいんだが…… まあこんな大草原には中々ないよな。


『サバイバルの知識なんてあるんですね』


 興味があって昔ちょっと調べてただけだ。 あくまで最低限だし、こんな急に使う必要が出るとは全く思ってなかったけどな。

 下手したらしばらくサバイバルしないといけないし、この世界何がいるのか全くわからないから備えないと二度目の異世界転生する羽目になりそうだから必要になりそうなものは集めておきたい。

 本音を言うと実はこういうこと一度してみたかったからワクワクしてる。 異世界ですることになるとは思わなかったが、これもいい経験になるだろ。 元の世界に戻れるかは知らないが。


 しばらく歩いたが草原が広すぎて川が見つからんな。 今のところ木と草と山とヤギもどきしか見てない。

 ゲームなら拠点作りに好条件なんだが、俺はそういう技術持ってないし、第一水がない。 仮に作ることができても水源は確保しておかないとな。 喉も乾いてきたし。

 というかここまで視界が良いと誰か遠くにいたらすぐ分かるな。 誰か見つけてくれないかな。


 ん? 何か遠くから人影が複数……

 もしかしてようやく不幸の連鎖から抜け出せたか!?

 異空間に飲み込まれたり女神に無理矢理異世界転生みたいなことさせられた1日で一番ツイてるぜ!


『無理矢理って酷いですね…… 私にも事情があるんですから──』


 そんなものは知らん! 俺からすれば強制なんだ!!

 とりあえず呼びかけよう!


「おーーーーい!!!!!」

『……遠いですから多分聞こえてないですよ。 こっちに来てますし、待った方がいいと思いますけど』


 それもそうだな。 あと喉乾いて大声出すのが辛い。

 あ、そうだ。 その辺の大きめな石を投げて空中で時間を止めて目立つようにしておこう。 嫌でも目に入るはずだ。

 いい感じの石は…… これがいいか。 大きいとは言えないけど十分だろ。

 これを、投げるッ! そして時間を止める!

 ……一応できたな。 これ、腕使わないで維持できないのか? 結構疲れそうなんだが。


『無理です。 この世界では正確な魔法、能力のコントロールには腕が重要ですから』


 不便な世界だな。


『あなたは維持にも発動にもエネルギーを消費しないんですからマシです。 他の人間はエネルギーを消費してるから長時間の維持は難しいんですよ』


 そこは優遇されてるのか。 正直それでもいいから攻撃に使えればよかったんだけど。


 かなり近付いたな。 これだけ近ければ声は余裕で届く、が大声出したくないから俺は出さない。

 ……何か言ってるのが聞こえるな。


「おい! トンネルから出てきたのはお前さんか!」

制約モリモリな英治さん。これからどうなるんでしょうね?

ちなみに制約は女神様が言ってないのもあるのでこれより実際は多いです。強敵と戦ったらどうなっちゃうんでしょうか。

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