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最終章 あの日見た虹 橙1

【橙色 キョウカ】


『犯人はこの中にいます』

 おぉ、そっか。末期の胃ガンになった院長が犯人だったのか。あっ!ベッドの横の花瓶にカーネーション。うぉぉぉ黒幕は誰なんだぁ。

 カレンに聞いても教えてくれない。でもネタバレされたくない気持ちもある。

 まぁ来週を楽しみにしよう。

 さて今夜もガンプラ配信。今日はネオジオングの続き。確か三回目。キットがデカ過ぎて何回で終わるか全然分からない。

 トゥルルル……

 家の電話がなるのは珍しい。誰からだろう。ママやパパなら携帯にかけてくるはずだし。

「もしもし」

 和宏が出た。

「はい」

「杏花姉」

 ん?

「はい、お電話代わりました」

「私、〇〇警察署交通課の渡辺と申します。安達春花さんのご家族でしょうか」

「はい、娘です」

「お母様が事故に合われました」

「えっ!」

…………

「美花ー」

「なあに?」

「ママが自転車とぶつかって病院にいるみたい。ちょっと行ってくるから、おうちお願い」

「ええ?ママ大丈夫なの?」

「うん、無事だって。ただ腰が痛くて立てないみたい。パパが帰ってきたら伝えておいて」

「うん、分かった」

『今日の配信はお休みします』とツイートして、病院へ向かった。

 病室へ入ると、ママはベッドで寝ていて、お巡りさんと母子がいる。子供は泣いている。

 お巡りさんによると、ママは子供が運転していた自転車とぶつかって、腰をうって、救急車でここに運ばれたらしい。あまりに痛がるから筋肉注射を打って、ママは寝てしまったらしい。

 説明を終えてお巡りさんは帰っていった。泣いている子供に

「うちのママは大丈夫だから心配しなくていいよ」と言うと

「ごめんなさい」と謝ったので

「うん、ちゃんと謝れるのはえらいね」

「本当に申し訳ありませんでした」

「あ、本当に大丈夫です」

「治療費や慰謝料はきちんとお支払いしますから」

 そんなにかからないと思うから、連絡先を交換して帰ってもらった。

 看護師さんに「明日の朝また来ます」と伝えて帰宅した。

 帰るとパパが帰ってきていた。

「ママはどうだった?」

「うん、心配いらないと思う。明日、私が迎えに行ってくるね」

「分かった、頼むな」

「寝るね、おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」

 翌朝、早めに起きて病院へ向かった。ママはベッドを起こして朝ごはんを食べた後だった。色々と検査をするとのことだったので、ママを車椅子に乗せてあちこち検査室をまわった。検査結果が出るまで時間がかかるみたい。

「ママ、何か飲む?」

「冷たいお茶がいいかな」

「うん、待ってて」

 自販機でママのお茶と私のミルクティーを買って戻った。病院はすごく混んでいる。いつもこんなに混んでるのかな。

「ママ、まだ痛いの?」

「うん」

 骨折はないと思うから、打撲かな。

「安達さん。安達春花さん」

 やっと呼ばれた。生年月日で本人確認して、診察室へ。

「内科部長の榊です」

 内科?外科じゃないの?

「腰椎のレントゲンを撮りましたが、骨には異常ありません」

 やっぱり。

「念の為、尿検査と血液検査をしました。こちらがその結果です。蛋白尿が出ています。あと血液に若干の異常が見られましたので、腰部のエコー撮影をしました。こちらがその画像です」

 今はレントゲンもエコーもパソコンの画面に表示される。

「ここに影ができています」

 えっ!

「同じ病院の泌尿器科を紹介しますので、診てもらってください」

 榊先生は紹介状に

『renal carcinomaの疑い』と書いた。

 あっ!それってカレンのドラマの。

 ママを泌尿器科に連れて行って

「これ紹介状です、よろしくお願いします」

「ママ、私トイレ行ってくるね」

 あの単語は間違いない。問題は『renal』それと段階。

 トイレでスマホの画面に『renal carcinoma』と入力して、検索をゆっくり押した。

 腎臓。神様……。

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