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毒薬とハイパーダイナマイトありがとう7

舞台の下からでも、お客さんがたくさんいるのが分かる。完売だから3000人はいるかな。ステージ背面に大きなスクリーンがあって、その映像は舞台下からでもモニタリングできるようになっている。今は私たちのMVが流れている。

≪夢のレールが続いていく≫

≪ファイナルアタックとどめの一撃≫

≪さあ走り出そう 君となら≫

≪火と火がぶつかりあって≫

≪Say Hello Say Hello≫

次々と曲が変わっていき、徐々に切り替えのタイミングが速くなっていく。パッ!パッ!パッ!パッ!パパパパパパパパ……プシューン。

電源が落ちたように、白い十字が小さくなってやがて真っ暗になった。会場から歓声が上がる。

さあ、最初は私。台に乗るとスタッフが二人がかりでハンドルを回してリフトアップする手筈になっている。意外にアナログだね。

スクリーン右側に証明写真のような私のアー写のアップ、左側はワイヤーフレームの人体のCGがゆっくり横回転している。いくよ!

『レッド!カレンナカガーワ!』

銃を構えて狙い撃つようなポーズで、私リフトアップ。そこから階段を駆け下りて、所定の位置まで走って移動する。

次はキョウカの画面。

『オレンジ!キョウカアダーチ!』

キョウカリフトアップ。両方の手でギャルピース。

『イエロー!ユキオリハーラ!』

ユキリフトアップ。顔の横でダブルルダハート。

『グリーン!リナイイダー!』

リナチーリフトアップ。後ろを向いて振り返るポーズ。

『ライトブルー!ミオアマーノ!』

ミオタンリフトアップ。ガッツポーズ。 『ブルー!アオイテラシーマ!』

アオイ様リフトアップ。右拳を高く掲げるポーズ。

『パープル!ユリカヅーキ!』

ユリポンリフトアップ。フュージョンポーズ。

ユリポンが所定の位置について、全員で再びポーズ。

『ウィーアー!二・ジ・イ・ロ・ドリーミンッ!』

『わああああああああ!』大歓声。

銃声なような音とともに暗転。決められたフォーメーションをとる。

ギターソロのイントロ、そう最初は……。

アオイ様があおる。

「おまえら全員今日ここで死ねえー!」

『ウーハイ!ウーハイ!ウーハイ!ウーハイ!あーーーーさあいくぞ!タイガー!ファイヤー!サイバー!ファイバー!ダイバー!バイバー!ジャージャー!』

MIXの声で、会場全体が大きく震えている。

≪蒼穹の下 広がる地平 邪魔をするものなどは何もない≫

『リナチーーーー!』

≪WOW WOW 走り出せ 今がその時 持ち物は一つだけ アツい魂≫

『キョウカーーー!』

≪悲しみも思い出も全てかなぐり捨てて この大地を大空を突き抜ける≫

≪火と火がぶつかりあって炎となる 灰一つ残さずに燃やし尽くせ≫

≪燃やせこの命 叫べその魂 駆け抜けろ 駆け抜けろ 昨日を振り払え≫

≪きらめくこの心 目指せその未来 駆け抜けろ 駆け抜けろ≫

≪響け ソウルスクリーム≫

スクリーンには群馬の採石場で撮った、爆発の中を全力で走る七人の姿が流れている。キョウカが「こんなのできないよぉ」って泣いてたっけ。

アオイ様は殻を破ったというか、本当の自分に目覚めたんじゃないかって気がする。すごく力強くて明るくてそれでいてかわいい女の子。その成長に尊敬してしまう。ほんと『様付け』が似合ってる。

『虎!火!人造!繊維!海女!振動!化繊!』

≪光の粒が視界をふさぐ 見えなくて進めないそんな時≫

『ユキちゃーーむ!』

≪この魂がそう羅針盤 感じ取るそのままにただひた走れ≫

『カレンーーーー!』

≪憎しみも憤慨も私のエネルギー その熱が人々を震わせる≫

≪天と地がぶつかり合って世界となる 目に見える全ての物をぶち壊せ≫

≪燃やせこの命 叫べその魂 駆け抜けろ 駆け抜けろ 昨日を振り払え≫

≪きらめくこの心 目指せその未来 駆け抜けろ 駆け抜けろ≫

≪響け ソウルスクリーム≫

≪魂がぶつかり合ってライブとなる 私たちの全力と共鳴しろ≫

アオイ様のあおり。

『魂MIXやれんのかあ!あああああさあいくぞ!』

『燃やし尽くすぞこの命!叫べ轟けその魂!きらめけ光れこの心!目指して進めその未来!過去も昨日もぶち壊せ!未来へ明日へ突き進め!カレン!キョウカ!ユキちゃむ!リナチー!ミオタン!アオイ!ユリポン!』

≪燃やせこの命 叫べその魂 駆け抜けろ 駆け抜けろ 昨日を振り払え≫

≪きらめくこの心 目指せその未来 駆け抜けろ 駆け抜けろ 明日へ突き進め≫

≪羽ばたけあの空へ 友よ共に行く 駆け抜けろ 駆け抜けろ≫

≪響けソウルスクリーム≫

≪ソウルスクリーーーーーーーーーーーーーーーーム≫

間髪入れず再びギターソロ。そう、連続ソウルスクリーム。

「おまえらの本気はそんなもんか!もっとだ、もっと来い!」

『ウーハイ!!ウーハイ!!ウーハイ!!ウーハイ!!あああああさあいくぞ!!タイガア!ファイヤア!サイバア!ファイバア!ダイバア!バイバア!ジャアジャー!』

♪♪.•♬⋆♪̊̈♪̆̈∗︎.•♬♪♪

≪ソウルスクリーーーーーーーーーーーーーーーーム≫

更にもう一回。最前のドリーマーなんか目がキマってきたかも。

「死ぬ気で叫べ!かかって来おい!」

ダイバーシティの空間が熱と音でゆがんできた。

アオイ様が何か呟いた。アヤカ?

≪ひーぴーけー!ソウルスクリーーーーーーーーム≫

メンバー全員で。

≪ソウルスクリーーーーーーーーーーーーーーーーム≫

「さぁ、ここからもノンストップでいくよぉ!」

≪さあ走り出そう 君となら行けるさ 虹の彼方へ≫

『ウーハイ!ウーハイ!ウーハイ!ウーハイ!あああああまだ行かない!ウーハイ!ウーハイ!ウーハイ!ウーハイ!あああああまだまだ行かない!ウーハイ!ウーハイ!ウーハイ!ウーハイ!あああああさあいくぞ!タイガア!フィイヤア!サイバア!ファイバア!ダイバア!バイバア!ジャアジャー!』≪こんなに遠くへ来てしまった 隣にいつも君の姿≫

『ユキちゃーーーむ!』

ユキもなんだか変わった。デビューの頃は歌とダンスで手一杯って感じだったけど、最近キラキラしたアイドルオーラを出し始めた。ものすごく光り輝いてる。ほんとのお姫様みたい。

「みんな歌ってーー!」

≪Get the journy ready 一歩歩く Show us the way きっと見える 高い(高い) 高い(高い) あの空を目指して≫

≪Take us higher もっと高く Fly up with us 連れていって 遠い(遠い) 遠い(遠い) 見たことない国へ≫

≪さあ走り出そう 君となら行けるさ 虹の彼方へ≫

『チャペッ!アペッ!カラッ!キナッ!ララッ!ウィスペッ!ミョーホントゥスケッ!』

「みんなでタオルをぶん回せー!」

≪さあ来たぞ夢のステージ そうこれが見たかった景色≫

私たちは今こんなに多くの人に愛されている。でも私は欲張りだからまだ満足してない。もっと、もっと上へ。

そして全てを出し尽くしたら……その時は……尚さん、あなたの元へ行きます。あなたの気持ちはそれまでに変わってしまうかもしれない。それでもいい。私は絶対あなたに会いに行きます。

「スーパー!」

「ハイパー!」

「ウルトラ!」

「ミラクル!」

「スベシャル!」

「ダイナマイッ!」

「デラックス!」

≪サーンークース!!イエーイ ダイバーシティ スゴーイ ダイバーシティ≫

≪まだまだ(まだまだ?) まだまだ(まだまだ!)私たちは止ーまーらーなーい≫

私が毒薬を飲むのはまだ先のお話。それまで私たちは止まらない。


第三章完

次回より最終章『あの日見た虹』

お陰様で、アメブロでの連載が『にほんブログ村』のオリジナル小説部門で1位になれました。

拙作を読んでくださっている方には、感謝しかありません。本当にありがとうございます。最終章はメンバー七人それぞれのその後が描かれて最終地点へと収束していきます。お楽しみに。

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