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第4話 そして妻に



 一段落ついて、私は部屋に戻りました。


 私の部屋の中で、黒髪のクロガネ君が、なにやら一心不乱に、壁に向かって一人で芝居しています。


 部屋まで私についてきてくれた特級メイドさんが、にこやかな顔で、退出しました。



「俺と一緒に……なんか、違うな」


「フラン侯爵令嬢、僕と結婚していただけませんか……ストレートすぎるか」


「王族とか、貴族とか関係なく、俺はフランが好きだ……恥ずかしいな」


「俺の名誉にかけて、生涯、フラン嬢を思い続けることを、ここに誓います……これは結婚式か」


 彼は、片膝をつき、壁に向かって、手を差し出しています。


 どうも、プロポーズの練習をしているようです。



「私、フランは、クロガネ様と婚約出来て、幸せです」


 彼の後ろから、私のほうから、答えを返します。


「え?」

 驚いたクロガネ君が振り向き、立ち上がります。


「まだ、俺は求婚の言葉を決めていないのだが……」

 狼狽する彼も、カッコいいです。


「私は手のかかる義妹ちゃんですから」

 私は、ニヤリと笑います。


「違うな、フランは、今日から俺の妻だ」


 これが、彼のプロポーズの言葉になりました。


 彼の艶やかで黒い瞳の奥に、嬉しい気持ちがあふれています。



「まだ婚約者ですから」

「でも、俺の妻の部屋に住んでいるだろ」


「え?」


 彼は、驚いた私を、壁際に追い詰めます。


「もしかして、私たちの寝室は、つながっているのですか?」


 クロガネ君が、壁に片手をつき、私の逃げ道をふさぎました。


「もちろんだ」



 第二王子の義姉だった私は、今から、彼と結ばれ、妻になります。




 ━━ Fin ━━



お読みいただきありがとうございました。

サービスショットがあるため、R15にさせていただきました。


よろしければ、下にある☆☆☆☆☆から、作品を評価して頂ければ幸いです。


面白かったら星5つ、もう少し頑張れでしたら星1つなど、正直に感じた気持ちを聞かせて頂ければ、とても嬉しいです。


いつも、感想、レビュー、誤字報告を頂き、感謝しております。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

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