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第四十九話 紅煩

自創作【エンジェルアトリエR】のストーリー小説です。

近未来の日本にて人々を守る天使。滅ぼそうとする堕天使。勝敗の軍配はいかに。

「ほー、ついに奴さんに取り込まれる前に捕まえられたんか」

《あぁ、この事は警備団の上層部しかまだ知らないが、お前には伝えてもいいと許可が降りたからな。》

「そかそか、まぁ教えられてもウチにする事はないけどな。めでたい事やなぁ。これで主導権はこっちのもんやな。」

《今のところはな。私たちにとっての進歩でもあるから、役立ててみせるよ。》

「あいよ〜、応援しとくで。お、そろそろけいb…用事の時間やから切るで、ほなな〜。」

紅煩はそう言ってフューエルからの電話を切る。そのままテレビを付け、競馬の番組にチャンネルを回す。

「その調子やその調子…!!振り切ってまえ行けーー!!行けあぁぁぁぁぁ……。」

店の中に紅煩の哀愁漂う叫びが響く。猫又は不満気な顔で店の掃除をしている。

「ご主人ー、競馬もいいけど、たまには掃除も手伝って欲しいにゃ…。」

「んえー…こんなに傷心中のウチに掃除しろ言うんか〜…?」

「いつもそればっかで全く手伝わないじゃん!もういいにゃ、ご主人の部屋のアレも片付けてやるにゃ。」

「うぉああああそれだけが堪忍してや!!ウチが悪かったから!!」

「もう手遅れにゃ〜。」

「そんなぁ〜……」と、崩れ落ちる紅煩を背にダンボールを二階へと運んでいく。その途中、入り口のドアをノックする音が聞こえた。妖炎屋は紅煩が許可、または気分で公開している時しか一般人は見ることすら出来ないはずなのに。そして今は非公開のはず。猫又はダンボールを置き、音も無く二階へと避難する。紅煩は右手でいつでも攻撃できるように構えつつドアへと向かう。勇気を出して開けるも、そこには一つの異様な気配のする手紙が落ちているだけで誰もいなかった。紅煩は手紙を回収しすぐに店内へ戻る。

「猫又、出てきてええで〜。誰もおらんかったわ。」

その声を聞いて猫の姿で猫又が降りてくる。

「不思議なこともあるもんだにゃ。妖怪ならうちが察知出来るはずにゃ。」

「せやなぁ…。」

「ご主人、それは…?」

「んー…ただの手紙やと思うけど…何か変な気が…。まぁ開けてみよか。」

紅煩はいつもの椅子に座ると、手紙を取り出し読み始める。そこには拙い字でこう記されていた。

【片手が使えない故、少々読みにくくなってしまった事、謝罪申し上げます。さて、本題です。内容は当日伝えますので、下記に記載の日時に一人で私に会いにきてくださると幸いです。】

その字の下には、ルシファーの名前と七月二十四日、午後二十一時と指定の場所だけが簡素に記されていた。

「…念の為、知らせとこか。」

紅煩は再び、フューエルに電話をかけた。

四十九話。まさかの接触。さぞ怖かったでしょうに。

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