第四十五話 二度
自創作【エンジェルアトリエR】のストーリー小説です。
近未来の日本にて人々を守る天使。滅ぼそうとする堕天使。勝敗の軍配はいかに。
ストライクと一対一で戦うフォーエバーの背後に何者かの影が現れ、大きな羽を握り締め襲いかかる。
《水クセェぞ二番隊隊長!》
その声の主は、居住区防衛線で戦っていたはずのクラッシュだった。
《クラッシュお前!居住区は!》
《とっくに殲滅したさ!!人形供の援護のおかげでな!とっととボコすぞ!》
クラッシュとの二体一になってからは優勢となっていきフォーエバーが次第に防戦一方となっていく。そこに、フューエルから通信が入る。
《チャージ完了!二人共!数秒でいい!そいつの動きを止めてくれ!》
《任せな!!ストライク!あいつの体を水で濡らせ!》
《呼び捨てすんなっつーの!!!》
ストライクがガントレットをひとまとめにしフォーエバーに浴びせる。それとほぼ同時に、クラッシュの羽が電気を帯びていく。
《スタン・ナックル!!》
約五秒間に及び数百発ものラッシュを叩き込み、空へと吹き飛ばす。溜め込まれた電気が一気に解放されフォーエバーの体が空に固定されるように痙攣して止まる。
《隊長!今だ!!》
クラッシュのその言葉と共に二人がフォーエバーから離れる。
《再びお前に撃つ事になるとはな…。だが容赦はしない!》
フューエルに装備されたヴァルキリーのキャノン砲の赤い光が強くなっていく。それに合わせるようにヴァルキリーも赤熱化し、白いフォルムが赤くなっていく。
《デストロイキャノン!!》
もう夕方にも差し掛かろうとしている空が、まるで昼間と錯覚するような強い光に包まれていく。辺り一体の戦闘や天使達の声をかき消すように、刹那の静寂が訪れる。数秒後、とてつもない爆風と共に強烈な音が鳴り響く。数十秒かけて次第にレーザーが途切れていき、再び天界に橙色の空が戻る。フォーエバーがいた場所には、もう何も残っていなかった。それを皮切りに、堕天使の残党が次々と引いていった。
《フューエル!》
着地したフューエルの元にストライクが駆け寄ってくる。
《恐らく…あいつが今回のリーダーだったんだろう…。》
ヴァルキリーの放熱が終わっていない為か、まだ機体が赤く赤熱化している。
《だから前にあれほど……まぁいい。またお前に手柄取られちまったなぁ。》
《言ってる場合か?》
《隊長方!》
スティッキーがフューエル達の元に走ってくる。
《堕天使達が出てきた渦が消え、残党供も引いていきました。これで今回の戦争は終わりだと思われます!》
《そうか…それは良かった…。》
フューエルがストライクの肩を借りながらゆっくりと立ち上がる。その時、エデンからの全体通信が鳴る。
《一先ず皆お疲れ様。犠牲は多少あったようだけど、それでも被害は最小限に抑えられました。堕天使の追加出現も認められない為、今回の戦争は終結です。皆は今日明日と、ゆっくり休んで。居住区の皆には私から伝えておきます。》
エデンからの通信が切れた後、フューエル達は本部内の寮に戻っていく。
【……さて、彼はこれでどう出るか…。早いとこ出てきて欲しいものですがねぇ…。にしても、随分と対策していましたね…。さては協力者が…ふふ…。】
再び姿を表さなかったその堕天使は、地上の集中した雨雲を見つめそう呟いた。
四十五話です。何を企んでるやら。




