第四十四話 永久
自創作【エンジェルアトリエR】のストーリー小説です。
近未来の日本にて人々を守る天使。滅ぼそうとする堕天使。勝敗の軍配はいかに。
攻め入るという宣言がされた数日後、天界の入り口の警備がより強くなっている中で、居住区に近い空間に巨大な黒い渦が突然出現した。それを感知した瞬間、とてつもない音量でサイレンが鳴り響き、天界全体に堕天使の出現を天使達に知らせる。それは地上にいる隊員達にも即座に知らされ、全ての天使が天界に集う事となる。
《総員!一人も死ぬな!居住区及び天界全体を死守せよ!!》
エデンの全体通信が鳴る。フューエル達隊員含む団全員が戦闘を開始する。堕天使は低級が多いものの、以前よりも中級や上級クラスが圧倒的に多くなっていた。
《…宣言通り、潰しに来てるな。》
フューエルとストライクといった隊長クラスが警備団本部の屋上に集合している。
《んじゃ、始めるか。》
《もう始まってる。行くぞ!》
フューエルの合図と共に一斉に飛び立ち、一斉に戦い始める。フューエルはライトニングコアを使い短期決戦で次々殲滅していく。順調に倒していく中、突然体が強張り、強い衝撃がフューエルを襲う。そこにはかつてフォーエバーの出現の直前に戦った二体の堕天使、Dead_IZとLet_Downがいた。近くで戦っていたストライクがすぐに駆けつけ、一旦建物裏に避難する。
《あいつらは二体揃ってると厄介だ、俺は腕が棍棒みたいになってる方をやる!お前は目玉野郎を頼む!》
そう言った直後にストライクが飛び出してLet_Downに戦闘をしかける。ほぼ同時にフューエルがライトニングコアの出力を上げ、デスマーチを追い詰めた時並の速度でDead_IZに襲いかかる。Dead_IZの能力は目で見られる事というのは分かっていた為、コアによる光を一点に集めフラッシュバンの様にゼロ距離で光らせる。IZはそれで目が眩んだのか飛行速度が極端に落ち、その性能まで一気に低下した。そこに畳み掛ける様に斬りまくる。パワーがないとはいえ上級の為、ある程度は耐えていたがかなり削られたせいか抵抗が無くなりバラバラになって消えていった。それとほぼ同時にLet_Downが両断され、最後まで抵抗の意思を見せるもドロドロになって消滅した。ライトニングコアはクールダウンの為に解除され、アクティブコアに戻り間髪入れずに再び飛び立つ。ストライクとの作戦行動の為に別行動に移ろうとした瞬間、何者かがストライクを襲い叩き落とす。
《ストライク!》
即座にフューエルも航路を変えストライクの援護に回る。
《俺はいい!!!お前は隊員達の援護!!》
ストライクの叫び声にフューエルは動きを止める。
《やばくなったらすぐに呼べ!!》
そう言い残しフューエルは居住区に飛んでいく。
《…よぉ、随分小さくなったなお前。》
ストライクが水龍の力を宿した短剣を作り出し、肉弾戦の戦闘態勢をとる。その相手は、かつてフューエルが吹き飛ばしたフォーエバーの姿そのものだった。
《(フューエルのあのレーザーを喰らって消し飛んだはずなのに…どうやって生きてたんだ…?)》
一言も発さないフォーエバーも構えをとり動き出す。ストライクは回し蹴りや剣撃で応戦していく。しかし、互いに実力はほぼ互角。それどころか、フォーエバーの方がストライクよりも機動力が少し高いせいで次第にストライクが押されていってしまう。軽く吹き飛ばされ、フォーエバーがストライクの方向を向いた後止まる。
《(クソ…このままじゃジリ貧だな…。こいつ、相当鍛えてやがる…。)》
フォーエバーが四つある腕を内側に向ける。次第に血管の様に模様が浮かび上がり始め腕が裂ける。
《何だ…何をする気だ…?》
刀を構え直しいつでも動き出せる様にする。フォーエバーの裂けた腕からは赤いエネルギーが漏れ出し顔の部分に集まっていく。そして顔の模様がどんどん赤く染まって光を放ち始める。
《…なるほど、フューエルん時に撃ってたレーザーね…。》
ストライクは必死に思考を回す。
《(後ろには避難所がある…こいつのレーザーがどんくらいかはしらねぇけどリスクは取れない…。受けるしかない!)》
ストライクが水の剣を解き大きな盾にする。数秒してチャージが終わったのか顔の光が一点に集まり、レーザーを放つ直前に黄色く光るレーザーがフォーエバーを襲う。倒せはせずとも、レーザーを阻止し一時的なダウンに成功した。
《フューエル!》
《やばくなったら呼べって言っただろ!!》
レーザーを撃った後のクールダウンでヴァルキリーから煙が上がっている。すぐにフューエルは両手剣を取り出し、ヴァルキリーはフューエルの両肩にガトリングを展開する。フューエルはストライクが立ち直る時間を稼ぐように複雑に飛びながらフォーエバーにガトリングを撃ち続ける。直ぐにフューエルの元にストライクが飛んでくる。
《フューエル、あいつは元のフォーエバーと同じ型だが性能が段違いだ!大きい傷を与えてもすぐに治しちまう!》
《再生能力が上がってる…というより、多分あの時の巨体に流すエネルギーがなくなった影響か…。能力の核を潰せてなかったせいで具現化しやがったな…。》
《あん時と同じように一撃で消し飛ばさないと多分倒せないぞ。しかも的が前より小せぇ…。》
《さっきの様子を見るに遠距離攻撃も持ってるだろ、私が吹き飛ばすから時間稼ぎ頼むぞ!》
オーバーヒート状態になったガトリングを収納しながらフューエルはストライクから離散する。それに続くようにストライクがフォーエバーに向かい、短剣を作り替え両手にガントレットを作り出し肉弾戦を仕掛けにいった。
《(こいつに打撃じゃまともに削れないのは分かってるが…時間稼ぎなら十分だろ!)》
《オラオラオラオラァ!!》
剣の時よりもダメージ自体は少ないが、明らかに対等にやりあえている。
激しく戦いあった後、フォーエバーの背後に何者かの影が映り、フォーエバーに襲いかかった。
四十四話です。
まさかの再登場。




