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第三十二話 亜人

自創作【エンジェルアトリエR】のストーリー小説です。

近未来の日本にて人々を守る天使。滅ぼそうとする堕天使。勝敗の軍配はいかに。

先の戦闘から数日後、フューエルは会議用ファイルをいくつも用意しその全てに目を通している。

《(度々証言のある人影…それらしい資料をかき集めてみたが…まだ分からない事ばかりだな。)》

資料を高速で次々流すように見ているフューエルの元に新たな通信が入る。

《ガジェットか、どうした?》

《例の物そろそろ出来そうだよ。》

《了解、今日中には取りに行く。だが今調べてる件で不審点が多い。もう少し、何か一つでも手掛かりを見つけ次第になる。》

《ちらっと聞いてるよ僕も。けどまだ被害出てないんでしょー?まだそんなに焦んなくていいんじゃないの?》

《アホ言うな、被害が出てからでは遅い。それに今回の対象は恐らく能力持ち、それに反天使か未確認の上級堕天使か何なのか分かってないんだ。》

通話越しにガジェットが小さく舌打ちするも、フューエルはがっつり無視して通話を切る。

《くそ……これだけじゃ能力持ちと言うことしかわからん…。仕方ない、さっさと行くか…。》

フューエルはそう言い残しファイルを片し始め、足早に会議部屋を出て行った。


《ーーーで、これが使い方間違えると暴発するから気をつけて。これで大体の説明は終わり。物凄い強力だけどその分反動とかも強いから確実に勝てる時に使いなよ。》

《了解。ヴァルキリー。》

合図のように受け取ったのかヴァルキリーが展開し、フューエルの手元にあった装置を分解して取り込んだ。

《じゃあ、私はこれで。いつも無茶言ってすまんね。》

《いーよ。これも仕事だからね。》

そのまま何気ない会話を終え、ラボを出た直後にフューエルに緊急時専用の通信が鳴る。

《ヴァルキリー、読み上げて。》

[先刻二十一時四十七分にて東京都港区付近にて2体の堕天使の出現を確認、予測階級:中〜上級。以前の出現も確認された個体と推測。至急、戦闘が可能な隊員は戦闘を、団員は人民の避難を。]

その音声を聞いてからフューエルが全体マイクをオンにする。

《一番隊、フューエル。即刻向かいます。》

そのまま通信を切りラボの出口から直接現場へと急行した。


フューエルが出発してから数分後、現場に着いたフューエルはかつてフォーエバーが出現する直前に現れていた二体が現れていた。

《何であいつらが今…!》

すぐにバイザーと剣を装着して、そしてフルオートのライフルをヴァルキリーにセットする。

その音に気付いたLet_Downが叫び声を上げ始める。

《(こいつの声は響きすぎる…!)ヴァルキリー!》

すぐにヴァルキリーの一部が変形しバイザーに合わさるように耳当てを作り出した。

フューエルのガトリングがまずDead_IZを狙い撃ち始めるも以前よりも素早く回避している。

《(こいつの能力の発動条件は目を合わせる事…動かし続けてれば…!)》

フォーエバー戦の時と違いすんなりとLet_Downに近付くことに成功する。しかし、Let_Down自身も成長しているのかフューエルの剣を受け止めていた。

《かった…防御力メインとは思ってたがここまでとは…!》

Let_Downが自由になっている右手部分を使い力を貯め始める。それに呼応する様にフューエルの剣が光と共に形を変え拳型のフィストギアへ切り替わり堕天使の一撃を受け止める。ヴァルキリーの援護を元にDead_IZを近付けさせず、フューエルはLet_Downとの殴り合いに集中出来ている。

《(これが続くなら持たないのはこっちだ…なら!)》

《ヴァルキリー!ライトニングコ》

「死屍累々•束」

フューエルが言い切る前に何者かの声が上から降ってくる。次の瞬間、Let_Downとフューエルの足元が円形状に黒く染まる。そこから無数の手が現れ始め、フューエルの足を掴んでくる。フューエルはすかさずフィストギアの片方を剣に変え足を掴む手を切り裂き、飛んで脱出する。Let_Downは大量の腕に掴まれながらも以前の様にDead_IZの協力で共にその場から消えた。

《なんだこれは…あいつらの能力じゃないはず…まさか例の!》

「おー……やるねぇ…。すぐに逃げたあいつらと違って君は楽しめそうだ。」

フューエルが声のした方に視線を送ると、そこには大きなハンマーを携えた少年の様な見目の人物が立っていた。

《(紅煩と同じ異世界から来た亜人か…しかしあいつと違ってこいつは……)》

「ぼーっとしてる暇あんのかなぁ!」

その発言の直後にしゃがみ込みそのまま大きく飛び跳ねフューエルのいる高度まで一気に登ってくる。そしてフューエル目掛け札のついたハンマーを振り下ろす。フューエルはフィストギアで受け止めるも、土台のない空中では支えきれずそのまま叩き落とされる。

すぐに彼も降りてきてハンマーの追撃をするも、ギリギリで回避される。しかしフューエルは連撃までは避けきれず再びフィストギアで受け止める事となる。今度は地面という土台がある為先程とは違い耐えられている。するとハンマーについた札が次第に光り始める。

《(なんだこの光は…?)》

フューエルが反撃の狼煙をいつあげるか考えている最中、突如光が消える。それと同時に、フューエルのフィストギアが消え元に戻っていた。

《何っ!?》

すかさずブースターを逆噴射し大きく後方へと身を翻す。フューエルは腕に巻き付いていた札を剥がす。その途端に札が消え、ハンマーから消えていた札が元に戻っていた。

《武装解除の札か…お前、何者だ》

「…ハァー…簡単に消されちゃ困るんだけどな。まぁいい。僕はナトラリック。最近随分僕の事調べ回ってるみたいじゃないか。」

《ナトラリック…聞かない名だな。》

「そりゃそうさ、詳しくは言わないけどね。けどまぁ、君はすぐに僕の力の一つを解除してみせた。十分厄介だ。作戦を練ってからまた来るよ。」

《そう易々と逃すとお思いで?》

ヴァルキリーがミサイルとガトリングを再度展開する。

「やめときなよ」

ナトラリックが掌印を結んでいる。その瞬間黒い渦が足元に展開され、そこから影の様に真っ暗なナトラリックそっくりのゾンビが現れる。

「死屍累々。僕の能力はゾンビを召喚出来るんだよ。数が多いとちょっと疲れるけどね。」

息切れをした様子のナトラリックをゾンビのうちの一体が背負い、そう言い残して跳ねてどこかへと姿をくらました。

《……チッ…。ヴァルキリー、薙刀》

フューエルが持っていた刃の柄が伸びて行き、大きな薙刀となる。そのまま、有象無象の様に召喚されフューエルに向かうゾンビを薙ぎ払う。全てのゾンビが消えた途端、渦も同時に消えた。

《(ナトラリック…私達の情報不足も知らないようだな…。ぽんぽん情報を与えてきた…。)》

フューエルは薙刀を仕舞い込み、ナトラリックの消えた空を見つめていた。

三十二話〜。

新キャラ登場の巻

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