第十七話 研究
自創作【エンジェルアトリエR】のストーリー小説です。
数百年後の日本が舞台。天使vs堕天使、果たして敵は堕天使だけなのか。
堕天使はそもそも何が目的なのか。
主人公であるフューエル・レインフォースは命をかけて戦地に赴く。
《…それで、条件を呑んだんだね。》
《はい、悪条件ではなかった為にそうしました。》
《まぁ、今回は確かにリターンも大きいけど、次からはそういう場面のことも予め決めておこうね。…にしても、紅煩ちゃんだっけ。どうやって堕天使の事を知ってるのか、妖怪を使役してるのは彼女の能力だろうけど…。ミステリアスな子だね。》
《能力持ちであることは確定です。しかし天使ではないので亜人、もしくは異世界からの来訪者かと思われます。》
先日、妖炎屋で起こった出来事をフューエルがエデンに報告し、その後渡された瓶と研究許可証を持ち研究班の居るラボに向かう。
三重ほどに重なった自動ドアに、消毒液のミストが出ている廊下を通る。
《今日は3人か。》
《お、フューエルじゃん。》
研究班のリーダーであるサイエンスが気さくな雰囲気でフューエルに話しかけてくる。
《色々厳重なのは分かるが、いつもびしゃびしゃになるんだがあの廊下はなんとかならないのか?》
《いやー…それは無理かな。保管してる数少ない細胞が外気のせいで溶けたことあるし。…で、今日は何の用だい?君が用も無くここには来ないだろ?》
《これだ。》
そう言って瓶の入った箱を取り出し、箱の蓋を外した。
《それは…なんだ…?》
《恐らくだが、鱗粉だ。だが確証は無い。それを調べて欲しくて持ってきた。エデンにはもう話してある。》
《…それ、黒い渦みたいなのができてる。前倒した反天使の能力核の一部じゃないかな》
寝起きのような雰囲気のメディックがそう言う。
《ここまで綺麗に細胞が残ってるのは珍しいね、今までの中で一番かも。ほら、ガジェットもそろそろ起きて。》
メディックがそう言って少年に体を揺する。《うーー…》と文句言いたげな声でガジェットが起き上がる。
《研究なら皆でやれよ……俺は整備専門だっての…》
《反天使……ウイルスの事か。》
ガジェットを宥めるメディックをよそにフューエルはサイエンスと話を続ける。
《まぁまず間違いなくそいつだろうな。…にしても、紅煩はこれを一部って言ったんだな?》
《あぁ、蝶形の堕天使の跡から取ったらしい。…まさか》
《…多分考えてる事は同じだな。既に広範囲にこれが撒かれてるなら…大勢死ぬぞ。》
《だが、過去の反天使の能力を保持してるのはどういう事だ?やつは完全に消えたはずだろ?》
《ウイルスの能力を記憶してコピーした、または保管してるやつがいた、としか…。》
《…何かが絡んでる可能性が高いな。大災害予告をしたルシファーと違ってこいつは隠密タイプだ。ルシファーよりも厄介な可能性はある。早急に対処しないとな。…じゃあ、私はそろそろエデンにとこに戻る。進展があったら連絡してくれ。》
《任せな、急いで進める。ほらガジェット、培養ポッド調節してくれ》
ガジェットの不服そうな声を背に、フューエルはラボを出ていった。
十七話です〜。紅煩、ミステリアスですねぇ。




