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第十五話 交渉

自創作【エンジェルアトリエR】のストーリー小説です。

初心者ながら、キャラクターの背景や物語を頑張って組んでいるので読んでいただけると作者が歓喜の渦に呑まれます。

舞台は日本、ストーリー内では主に東京近辺で起きた事にフォーカスを当てています。

ヴァルキリーの整備が終わり、追加の目的である買い出しを済ませる為にフューエルは再び人間界に降りてきた。

《(ついでに妖炎屋の情報も集めるか…。その方が効率的だろうな。)》

なんて考え事をしつつも、趣味のスイーツ巡りをしながら買い出しを順調に進めていく。


《おおよそ済んできたな…あとは…》

独り言を呟いた時、背後からチリンと鈴の音が鳴る。

フューエルはすぐに背後を振り向く。そこにはちょこんと座る尻尾が二又に分かれた猫が居た。

「ンミャア」と一回鳴いた後、まるでついて来いとでも言わんばかりに路地裏へ入って行った。

《………二又…確か妖怪の一種だったか。名前は覚えてないが》

今日は比較的暇だったので興味本位で着いて行くことにした。

そこまで大きな裏通でもないのにも関わらず、進むにつれてどんどん廃れていく。

周りを見渡すも、もう遠くの風景になってしまった商店街がどんどん歪んでいっている。

明らかな異常にヴァルキリーを展開し武器に手をかけて警戒する。その時、声が聞こえた。

「周りは気にしないで。魂を歪められてしまうにゃ。あたしに着いてくれば安全にゃ。」

その声を発したのは他でもない、フューエルが今着いていっている猫だった。

「ほら、もうすぐにゃ。」

猫がそう言うと、ぼやけていた背景が少しずつ元に戻っていき、【妖炎屋】と書かれた看板のある店が現れた。

「開けて欲しいにゃ。」

《……君なら開けられそうだけどな》

「にゃあ」

都合の良い時だけ猫面する猫に少々呆れつつ、片手に持った武器は離さずに扉を開ける。

開けた瞬間、猫が少女に姿を変え店内に走って入っていく。

「ご主人様ー!!久々のお客さんだにゃー!!」

尻尾の消えていない少女はそのまま、一本道の狭い店の奥に座って煙管を吸っている人物に駆け寄っていった。

「久々は余計やで猫又。」

再び猫の姿に戻り店主と思わしき人物にすり寄っている。

「さて…えらい珍しいお客さんですなぁ。どうです?ウチ自慢の店、妖炎屋は。気にってもらえると嬉しいんやけどなぁ。」

吊り目気味の目で中国風の服に上着、煙管に店の場所。あからさまに怪しさ満点。

《何者だ、ここに来るまでの異常に長い道もあんたの力か?》

「そんな警戒しなさんな、ウチ悲しくなってまうわ」

上着の裾で口元を隠し嘘泣きをしている。少しした後すぐに切り替えまた話し始めた。

「それはそれとしてお客さんえらいめんこいなぁ。まさかノーメイクなん?そんなんもったいないわぁ。せや、この口紅とかどうや?ウチが使てるのと同じなんやけどな、めっちゃ発色綺麗に出るしあんさんウチと肌の色似てるからいけると思うで!知らんけど。あ、ほんでこれ使うならアイシャドウとかも用意せなあかんな、ウチのおすすめはな〜」

とマシンガントークが一瞬落ち着いたのを見てからフューエルが口を挟む。

《メイクはどうでもいい。ここが何なのか、お前がなんなのか、敵なのか、噂に聞く薬の売買は本当なのか。聞きたいことは山ほどあるんだ。》

「なんや、ちょっとくらい話聞いてくれたってええやろ。そやなぁ…ウチの店は来るお客さんの一番「欲しい」と思ってるものを提供してるさかい、何売ってるかは全部個人情報やから答えられんなぁ。」

《…そう、なら今私が何を欲してるのか当ててみな。》

「そやなぁ、買い出しの残りの刺身に大葉、後は…あんさんらが目の敵にしてるやつらの情報やろか?」

《知ってるのか!?》

「おぉ食いついたなぁ。そやなぁ、お客さんべっぴんさんやし、今ならどれか一つ、タダでかまへんで。さぁ、どないする?」

ついでと言わんばかりに紅煩(べにわずらい)と名乗った彼女は、フューエルにそう尋ねた。

十五話です〜

サクサク進んでこうね

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― 新着の感想 ―
[良い点] 紅煩可愛いッッ口調が!!!!(感想がks) あと猫又も可愛い...( ˆ̑‵̮ˆ̑ )ニヤ
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