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第一話 出現

東京の大学に通う大学生、吉田と翔。第一話は彼らが巻き込まれた出来事を描きます。

【天雲隠れ】と人々の間で呼ばれる噂話。突如現れるフードを被った少女。昨日話したはずの彼は数日前から行方不明?どうやら被害者があまりに多い為天使まで動き始めたらしい…。

ある家庭で、親が子にこんな話をしていた。【この世界には、堕天使という人を殺してしまう化け物と、それを退治する天使達がいる】と。

天使の存在は人々に知れ渡っている。何故なら、天使達の目的は人類との〈共存〉だから。一部の天使は人に紛れ、また一部の天使は一般にも姿を見せ、また姿を見せない天使もいる。その天使達の力を借りて、人々は二度の大戦争を乗り越えて平和を手に入れた。

それがいつまでも続く完全な平和でないと、誰もが分かっていたはずだった。


            第ー章 ー怪奇の始まりー


 ガヤガヤと騒騒しいある大学の食堂。今は丁度お昼時だから、生徒達でごった返している。

そんな中、目を輝かせながらカレーを貪る大学生、耀哉翔(カガヤ カケル)がある噂話を聞いたと友人の吉田に話していた。

【なぁ、知ってるか?最近変な事件が起きてるらしいぜ。】

【はぁ……多分天雲隠れの事だろ?もう何度も色んな人から聞いてるよ。】

ため息混じりに言う彼はその友人。いつまでも無邪気な彼と違い、常にクールで成績も優秀な秀才。

【何だよ知ってんのかよォ……。つまんね。】

【もう有名な話だろ、何人ニュースになったと思ってるんだ。】

【へーへー。そんでよ、俺がお前にこの話しようと思ったのは訳があんだよ】

ほう……と珍しく話す内容に理由があると聞いた彼はその訳を聞いてみる事にした。

【色々調べたんだけどよ、そのアマグモガクレ……?はこの辺でも多いらしいんだよ。】

【まさかお前……】

【お、察しがいいな。行ってみようぜ!最後の目撃が多いとこへ!】

案の定、と言った顔をした後、こうなった彼はもう止められないのを分かってる彼は渋々ついて行く事にした。

【じゃあ、明日の授業終わりに玄関集合なー!】

彼は笑顔で去っていった。


            第二章 ー様子のおかしい日々ー


 翌朝、彼がいつも通り登校すると、いつもの頭の悪い声の大きさをした呼び声がない事に気付く。

寝坊でもしたんだろうと、その時は気にも留めていなかった。

ふと、校内掲示板の前に人が群がっている事に気付く。そこには大々的に、そして非常に残酷なニュースが載っていた。

【男子大学生……行方不明の後に……遺体で発見……?】

行方不明になっていた日は数日前。遺体で発見されたのが昨日。だが、彼は昨日も一昨日も翔と話していたはず。

しかし死亡したのは翔と大学はこうして発表した。ありえない。ならあの時話していた翔は誰だったのだろうか?

まさか、噂にあった天雲隠れ……?様々な思考が彼の頭を駆け巡り、呆然とニュースの前に立っていた時に誰かに肩を叩かれた。

《君、ちょっと私と一緒に来てくれるか》

声質は低めで、深くフードを被って顔は見えない。おそらく女性だろうという事しか分からず驚いてる中、彼は強引に腕を掴まれて彼女に連れ去られた。

大学の裏まで来た時、ようやく思考がちゃんと回るようになった彼は壁に腕を組んで寄りかかっている彼女に質問する。

【お、お前は誰なんだ、いきなりこんな人攫いみたいなことして!ま、まさか今噂のあの事件の犯人なんじゃ……。】

《……心外だな、私はむしろその逆。君の友人の敵をとってやろうと言うのに。》

【……え】

彼女はフードを取り、天界警備団の一人、「フューエル・レインフォース」と名乗った。

どうやら、最近起きている天雲隠れという事件、堕天使が関わっている可能性が高く、最近になって危険度が跳ね上がったらしく、

例え堕天使の仕業でなくとも被害者の数がとても多い為、人での対処は不可能と判断し彼女が来た。そう彼女は気怠そうに説明した。

彼は彼女の説明、普通の人とは違う気配を感じ、信頼できると判断してここ数日会話していたはずの翔の事を話た。

そうすると彼女は《なるほど、次のターゲットは君というわけか。》とぼそっと言った。彼女は守ってやるからと半ば強引に小型のスイッチを彼に渡し、去っていった。


            第三章 ー次は僕の番?ー


 週末、学校からの帰り道の住宅街。彼は「次は君か」の発言が忘れられない上に、いつもよりも霧の濃い住宅街に警戒しながら帰っている。しかし、家が見えた所まで来て安心し、家まで駆けていく。その時、背後に何かの気配を感じた。その一瞬で、ただ確実に、自分の背中ピッタリまで迫っているような圧迫感を感じた。

【うわあああああ!!!】

閑静な夕方の住宅街に悲鳴が響く。そこには、大きくて黒い、ドロドロしたような化け物がいた。

彼は急いで立ち上がり、全力でダッシュする。化け物は呻き声を上げながら追ってくる。

彼はギリギリで茂みに隠れることに成功した。だが、化け物はすぐ近くを歩き回って探しているようだ。

そこで彼は、息を潜めながらも受け取っていたスイッチをバッグに入れっぱなしなのを思い出した。

スイッチを取り出しすかさず押した。ビーーーッというけたたましい音が鳴り響く。化け物が音に気付いてこちらに向かってくる。

茂みは柵で囲われている為、もう逃げ道がない。【殺される】そう思い、上を見上げると、大きな口がもうすぐそこに迫っていた。

こうなるのは分かっていたのに、いざその立場になると恐怖心が抑えられない。それが故に、彼は目を開けておくことさえ叶わなかった。

飲み込まれる瞬間、ザンッと何かを深く切り付ける音が聞こえた。彼の上半身を覆おうとしていた口がドシャッという音と共に輪切りになって地面に落ちた。化け物が黒い液体を流しながら悲鳴を上げている。そして、刹那の如き時間で化け物は一瞬で切り刻まれ、灰のようにボロボロになっていく。完全に灰化して消えるころ、その中心には、剣を持っている彼女がいた。

《ふぅ、ギリギリ間に合った……最もスピードあげないとダメだな。》

黒い液体を拭った彼女は、彼に無事を確認し、あの化け物について説明を始めた。

彼女曰く、あの化け物は「低級堕天使」という存在で、堕天使の中で最も弱い部類らしい。

ただし、つい先ほど倒した個体は人をたくさん食っていたので低級の中でも上位くらいには強化されていたらしい。

そして、横柄な態度で《スイッチ返せ》と言い、彼は素直に従った。そのまま彼女は飛んでいってしまった。

彼は置いてけぼりにされたが、唯一天雲隠れを逃れ、生還した者となった。

フューエルが飛んでいった頃にはもう、霧は晴れていた。



            エピローグ ー忘れ物ー


《ただいま。》

ここは天界。フューエルはここに相棒と共に暮らしている。

《おーうおかえりぃ〜》

腑抜けた声で返事が返ってくる。

《お前はいい加減部屋を片付けろ》

《いでっ……叩かなくてもいいだろが》

《お前みたいな脳筋は痛みがないと分からんだろ》

《冷たっ流石見た目通りの氷のじょおウグェッ》

パァンと叩く音が響く。うだうだとした会話の後、フューエルは事件解決終わりの報告書を書くために自室に戻る。

数時間後、報告書を持って部屋を出て、天界の長の元へ行く。

家を出る直前、相棒がフューエルに声をかける。

《なー、俺が頼んだ買い出しのもんどこー?見当たんないんだけどー。》

《あ……》

彼女の家には、その後しばらくの沈黙が続いた。

自創作、エンジェルアトリエRのストーリー第一話でした。ここから低頻度にはなりますが、初心者なりに頑張って組んだストーリーを熱中して読んでいただけるような作品にしていこうと思います。少しでも興味を持っていただき、読んでいただけると幸いです。

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