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「この間はごめんなさい」

「あたしもどうかしていたわ」


 スザンヌとレアが謝るのを冷たい目で睨むトレイトにそれをみせつけられるあたし。えっと、これってあたしが許さないといけない奴?


 今日はあの双子はスザンヌの両親に預けてきたから静かだ。


 この間ここで乱闘をしていた女性たち全員からお詫びにとわざわざ作ってくれた料理にお下がりだけとわりと綺麗な服に果物の山にあたしの好みが分からなかったからと本にお菓子に手芸道具一式。あと画材とお酒はシスにと持ってこられてしまった。


 こんなに貰っても使い切れないと断ろうとしたのに、全員が頑として譲らなかったのでありがたくちょうだいする。


「えっと、とりあえずこの間の続きしませんか?」

「そうだね」

「さんせートレイトもう座っていい? 疲れちゃった」

「あんた全然反省してないでしょ……いいわよ」

「やったー!」


 スザンヌはあたしより子どもっぽい。いや、あたしはよく子どもらしくないと言われてたからあたし基準じゃダメだ。他の……多分あの双子とそう差はないような気がする。


「ごめんねアリシアちゃん」

「いえ」


 対してトレイトはこの中のお姉さんみたいな役割だ。


 この3人幼なじみで実際スザンヌがとんでもないことをやらかしてレアがスザンヌを怒り、トレイトがスザンヌがやらかさないか見張る役割だったとあとでこっそりマルサに教えてもらった。


「それで、アリシアちゃん。これ持って来たはいいものの、ちょっと邪魔よね。仕舞ってしまっていい?」

「はい」


 持って帰ってもいいんですよと言う前にさくさくと料理と果物はキッチンに運ばれ本はリビングにある本棚に手芸の道具はあたしの部屋にと言われて案内する。


「この部屋に入るのも久しぶりね」

「そうなんですか?」


 一階の間取りを知ってるかのようなトレイトの動きにもしかしてこの家に来たことあってシスとは恋人だったとか?


「ええ、レイチェルもあたしたちの幼なじみでね。馬鹿の子スザンヌ、破天荒のレイチェルに皮肉屋のレア、姉御肌のトレイトって言われてエペンス通りじゃちょっとした有名人だったんだから」

「へぇ~じゃあ、シスの小さかった頃から知ってたんですか?」

「あー、ごめんね。あたし何年かここ出てたからあんまり知らないの」

「そうなんですか。あ、机の上にお願いします」


 母さんの幼なじみだったのか。じゃあ、母さんのこともいっぱい聞けるかも。


「じゃあ、戻ろっか」

「あ、はい」


 トレイトに促されて一階に降りる。シス用にと買った画材はシスにあとで運ばせればいいとなりその場に放置された。


 今日シスは風景画を描くって出掛けてしまった。


 シスにも参加して欲しかったけど、あの人たちにはいつも圧倒されてしまうからと言ってそそくさと逃げられてしまった。


 リビングに戻るとみんなソファーに座ってたからあたしたちもソファーに座った。


「んじゃ、ライアにいつもありがとう会をするに当たって必要なのは料理と」

「ありがとう会ってダサくない?」

「ない。名目はあとでちゃんと決めればいいでしょ。それともレアは何かあるの?」

「……ないわ」

「なら、いいでしょ」

「お酒はなしにしない? アリシアちゃんも居るし、飲んじゃうとハメ外しちゃう人居るでしょ。そうなったらライアに労いをじゃなくなって、気付いたらライア介抱に回っちゃうだろうし」

「あー、そうね。スザンヌにしてはいい案ね。文句言ってくる人も居るでしょうが、何とかしましょう。アリシアちゃんは何かある?」

「えっと……」


 さくさくと進む話に着いてくのがやっとで何を言えばいいのか分からない。


「アリシアちゃんえっと、食べたい料理とかお菓子ある? したいことでもいいけど」

「えっと」


 ここに来てから食べたこっちの料理でもいいのかな?


「あの、えっと……ケーキ、ケーキが食べたいです」


 そういえば昔使用人の人たちが誕生日のお祝いをしてくれた時にケーキを出してくれたのが嬉しかった。


 父さんはそういうの興味ない人だったし、その内あたしも興味なくなってしまってたから。そういえば誕生日別にいいって言った時の使用人たちの顔が寂しそうにしてたような。


 今度使用人たちに手紙でも書いてあの時のこと謝ろう。


「そうね。そうしましょうか」

「果物乗っけるならあたしんところの使いなよ!」

「いいわね。色んな種類の乗っけましょ」

「それは旦那に聞かないと分かんないけど、ライアのためだもんきっといいって言ってくれるわよ」

「他に食べたい物はある? どうせならみんなの食べたい物にしましょう」

「あたしチーズ!」

「クラッカーもいいね。あれだったら何乗せてもあうし」

「あ、あとこの間シリウスにもらった鶏の香草焼き! あれおいしかったからもう1回食べたい」

「何、あんたそんなのもらったの? あたしたちにも分けなさいよ」

「いやー、あんまりにもおいしくてぺろりといっちゃった。また作ってってお願いしたから許して」

「それならいいわ。じゃあ、シリウスにもお願いしてくる?」

「シリウスもライアに世話になってるからシスが声掛けてるんじゃない?」

「……あの、シリウスって?」


 シスと名前が似てる。親戚か何かかな?


「あれ? アリシアちゃんは知らない? 通りの奥に居酒屋があってね」

「アリシアちゃんは子どもよ。そんなとこ行かないって」

「昨日シスがそこでシチューいただいてきたって言ってました!」


 あれおいしくてお代わりしてしまったんだよね。また食べたい。


「ほら、やっぱり誘ってるって」

「みたいね。後何するんだっけ?」

「えっと、飾り付け? 花屋のクリントンに頼んでくるよ」


 レアが立ち上がってすぐに行ってしまった。あたしも行きたかったのに止める間もなかった。


「あとは、何かいる?」

「ありがとう会の横断幕でも作る?」

「あ、あの! それあたしにさせてください!!」


 さくさく決まってくから何かしたい! 横断幕ぐらいならあたしにだって出来る!


「じゃあ、お任せする?」

「うん」

「じゃあ、お願いするわ」

「時間が余ったら一緒にお菓子作ろうね!」

「はい!」


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