表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

165/304

第六章35 復活のワケ、帰ってきた白髪の少女!?

「て、テレサさん!? 生きていたんですか!」

「ええ。もちろんですわ……と言っても、つい先刻まで生死の縁を彷徨ほうこうしておりましたけれど」

「じゃあ、どうして復活できたんです?」

「それは――」


 テレサはバツが悪そうに目を伏せる。

 だがすぐに、半ば強引に話を切り替えた。


「――とにかく今は、レイシア様の救出を優先してくださいな。ワタクシの魔術も、そう長くは持ちませんわ」

「そ、そうですね! わかりました!」


 私は懐からエメラルドを取り出し、呪文を叫ぶ。


「《珠玉法シュムック翠玉エメラルド暴風ストーム》!」


 次の瞬間。

 渦巻く風を纏った私は、猛速度で走り出した。


 目指すは、ネイルのすぐ近くで倒れているレイシアのところ。

 

『させん!』


 それを見て取ったネイルは、右手をこちらに向けて魔術を放とうとする。

 ――が。


「それはこちらの台詞ですわ!」


 すかさずテレサの援護が入る。

 空から降り注ぐ炎の流星群がより一層赤い輝きを増し、ネイルだけをピンポイントで襲う。


『ぬぉおおおおおッ!?』


 頭上からの猛威に、ネイルは発動しかけていた魔術をキャンセルする。

 それから慌てたように、頭上に展開した障壁を強化し始めた。


「チャンスッ!」


 テレサが頑張ってくれている今が好機だ。

 駆ける速度を殊更ことさらに速め、レイシアの元へ。


「細い腕を枕にするのは、ちょっと辛いかもしれませんが……我慢してください!」


 気絶しているレイシアに小声で告げ、横抱きに抱え上げる。

 男の状態よりも筋力が落ちているが故に、両腕にずっしりと重さを感じた。


「《珠玉法シュムック翠玉エメラルド暴風ストーム》」


 再び風の魔術を起動し、ネイルの側から全速力で離脱した。


「お待たせしました!」


 テレサのところまで戻った私は、そっとその場にレイシアを横たえた。


「どうやら救出はうまく行ったようですわね」

「はい。お陰様で」

「ふふふ。例を言われる筋合いはなくってよ」


 テレサは満足げに微笑んで、炎の魔術を解除キャンセルした。


『クソッタレが』


 攻撃がピタリと止み、防御結界を解除した後でネイルは忌々しそうに舌打ちした。


『まさか、貴様が生きていたとはな、テレサよ』

「目論見が外れましたか?」

『ああ』


 やけにあっさりと、ネイルは首肯した。


『貴様を吹き飛ばしてやったとき、確かに手応えを感じた。致命傷のはずだ。なのに何故、全く傷を負っていない!?』


 ネイルの言葉を聞いて、私もテレサの身体を見る。

 確かに。

 彼の言うとおり、テレサの全身にはかすり傷一つ無い。一体何故?


「それは……ワタクシ達の背後に、頼もしい治癒魔術師ヒーラーがいるからですわ」


 テレサは後ろを振り向き、数メートル先のしげみを見据える。

 つられて私もそちらを振り向いて――見つけた。


 茂みの中に身を潜める、白い長髪を持った少女の姿を。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] セルフィス様ーーーー!!!! やっぱり優秀なヒーラーがいるといくらでも戦況立て直せますね!!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ