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第六章17 第2ラウンド

『ぬんッ!』


 ネイルが気合いを込めた瞬間、猛烈な風がネイルを中心に渦巻く。


「散れッ!」

「は、はい!」

「了解ですわ!」


 レイシアの一括で、僕達は三方向に散開する。


「喰らえッ! 《珠玉法シュムック紫水晶アメジスト霹靂ブリッツ三重奏トリオ》ッ!」


 レイシアはすかさず、雷閃を三連射する。

 渦巻く風をものともせずに直進し、ネイルへと肉薄する電撃。


『ちぃ』


 ネイルは舌打ちしつつ飛び下がり、レイシアから距離を取る――が。


「逃がしはしませんわ!」


 既に、ネイルの逃げた方向にまわっていたテレサが、矢継ぎ早に呪文を唱える。


「《削命法レーベン・ラオベン火炎フレイム》ですわ」


 右腕を大きく振るうテレサ。

 それに応じて、橙赤色とうせきしょくの炎が生じ、燃えさかりながらネイルに迫る。


『今度は後ろか!』


 忌々しげに表情を歪め、ネイルは水の魔術を起動。

 煌々と燃える火炎に、水の玉が衝突する。

 炎の熱によって、水は一瞬で沸騰ふっとう・蒸発し、周囲に白い煙が立ちこめる。


(チャンスッ!)


 これを好機と、僕はすかさず白い世界に飛び込んだ。


「やぁあああああああああッ!」


 カッコよく雄叫びを上げ、一息にネイルの元へ飛び込む。

 ネイルの目前まで迫ると、跳躍ちょうやくして腕を振り上げ、ネイルを斜め下に斬り下ろす姿勢を取った。


 


『視界を奪ってからの近接攻撃を仕掛けて来るとは、舐めた真似を!』


 眼下に映るネイルが、怒りも露わに叫ぶ。

 しかして、いちいちその怒りを勝ってやる義理はない。

 地面に落ちる重力も利用して、思いっきり剣を振り下ろす。


『やらせん!』


 ネイルは重心を下げ、引き絞った拳を上にいる僕めがけて放つ。

 渾身こんしんのアッパーカットだ。

 振り下ろされた刃と、振り上げられた拳が真っ向から激突――


「えぇいッ!」


 いな、激突する直前、僕は振り下げる勢いはそのままに、剣を逆手さかてに持ち替える。

 刃と拳が激突する直前に剣の向きを変えたことで、ネイルのアッパーカットは虚空を叩く。


『なん……だと!?』


 拳を天に振り上げた格好で、驚愕きょうがくするネイル。

 逆手に持った剣を振るい、ガラ空きとなった胴体を切りつける。


 が、ネイルもさるもの。

 おそらく脊髄反射せきずいはんしゃで後ろに飛び、距離を取る。

 剣の切っ先は、ネイルの腹の皮を一枚切るのみに留まった。


『ちっ……このクソガキどもが!』


 ネイルは、周囲を見回しつつ舌打ちする。

 

『死角から攻撃してくるとはな。虫唾むしずが走る。……だが、連携技ごときが、いつまでも我に通用すると思うなよ?』


 ネイルは不気味に笑い、天高く飛び上がる。

 それから、両手を空に掲げた。

 その掌の上に炎が集い、巨大な火球が形成される。

 

(さっきと同じ攻撃か……!)


 範囲攻撃を仕掛けて、連携をできなくする魂胆こんたんなのだろう。


『逝ねッ!』


 ネイルはそう叫んで、巨大な火球をこちらに向かって放とうとする。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 実に第二ラウンドって感じの戦闘ぶりだぁ!!! この男、まだ体力が尽きないとでもいうのカッ!?
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