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薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ  作者: 柚木 潤
第1章 洞窟出現編
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09話 異世界転移

 舞は父に心配されないように、色々と転移計画を考えた。


 すぐに帰って来れないことを考えて準備をする事にしたのだ。

 最低限必要なものといえば、着替え、洗面道具、日持ちする食品などだが、舞にとってはまだまだ必須なものがあった。


 そこは、まだ20代の若い女性なのだ。


 スマホは連絡には意味はないけど、写真やメモを取るのにはあると便利だし、音楽も聴きたい。

 バッテリーをいくつか持って行くことにした。

 向こうで充電は無理だろう。


 あちらの世界から呼ばれているだけに、衣食住は問題ないのではと考え、娯楽になるものも色々準備する事にしたのだ。

 

 そもそも、呼ばれているのは自分ではないのだが、そこは行ってしまえば、何とかなるだろうと意外と楽天的であった。

 ただ、外国と同じで、食事が合わない、生活様式が違うなど、色々困る事が出てくるのではと考えた。


 海外に2週間くらい行く準備は必要だろう。

 カップ麺とかもあると便利か。

 それに、色んな薬も持っていかなくては。


 もちろん、何のために異世界に行くかを忘れているわけではなかった。


 古めかしい書物を参考に、そこに載っている漢方薬を片っぱしから準備した。


 それ以外に痛み止めやアレルギーの薬、下痢止め、吐き気止め、虫刺され、ケガの軟膏や絆創膏、ガーゼ・・・。


 舞は思いつくものを全て入れてみると、大きめな赤いスーツケースの半分くらいが薬で埋まってしまった。


 まあ、しょうがない。

 何があるかわからないから、万全の体制でいかないと。

 ・・・着替えを少し減らすしかない。

 

 すでに父には、海外に住んでいる友人に観光がてら会ってくると、話はしておいたのだ。

 仕事も今後について、他の従業員に指示を出し、自分がいない間も問題がないように申し送りをしっかりとしたのである。


 そして、計画を練り始めて1週間後の今日、出発することに決めたのである。


 舞はお気に入りの薄水色の白衣を身につけた。

少し短めのシングルボタンの白衣で、バックにベルトがあるタイプなのだ。


 病院で働いていた時は、支給された白衣だったため、一般的な白のダブルボタンのもので、舞はあまり好きでは無かった。

 実家に戻ってからは好きな白衣を着ていたので、それだけは、良い点であったのだ。


 長い黒髪を一つに縛り、いつも仕事をしている服装にしたのだ。

白衣には仕事と同じようにペンやメモ帳、ハサミが入っていたけれど、何か役に立つことがあるだろうと、そのまま持っていく事にした。

 流石に靴はスニーカーにし、歩くのも負担にならないようにした。


 やっぱり、この格好が一番落ち着くのだ。

 遊びに行くのではないのだ。

 仕事みたいなものなのだ。

 

 そして、書物を見直してみた。


 転移の横の絵をみると、魔法陣の中心に人が立っているのだ。

そして、頭上には光の記号が書いてあるのだ。

 送られてきた綺麗な粉が、光の記号を意味する物に間違いないと思った。


 ただ、どう使うのか?


 舞は自分の部屋の片隅に魔法陣が書かれている古びた布を広げた。

画びょうで四隅を止めて固定し、少しの風などでは動かないようにした。

知らない人が見れば、小さな絨毯がひいてあるくらいにしか見えないだろう。


 まあいいや。

 よくわからないけど、絵の通り、頭から振りかけてみよう!


 舞はスニーカーを履き、赤いスーツケースを片手に魔法陣の中心に立った。

 そして、古めかしい布袋に入っていた綺麗な粉を手に取り、頭上に投げたのである。

 

 その綺麗な粉は部屋中に舞い散るかと思いきや、魔法陣の中心へと引き寄せられ、舞を包むように集まり、魔法陣の中のものは全て消え去ったのである。


 もちろん、舞も一緒に・・・



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