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薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ  作者: 柚木 潤
第3章 翼国編

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76話 黒翼人の事情

 黒翼人のブロムは、妹のリオの部屋で悩んでいた。


 リオはまた眠っている状態だが、さっきはお腹が空いたと訴え、食事をお願いしてあるのだ。

 ここ数ヶ月、自分からお腹が空いて食べたいと言った事が無かったのだ。

 舞さんの薬を使ってからリオの顔色が良くなった事で、回復の兆しが見えたと思ったのだ。


 そんな矢先にあの者が来て、舞さんを拘束したのだ。

 父上さえも手玉に取っているアルゴンが余計なことをしてくれたのだ。

 多分、奴の手下が告げ口をしたのだろう。

 アルゴンは側近として祖父の代から仕えているのだが、あっという間に自分の勢力を広げ、今や王である父上もほとんど言いなりなのだ。

 もちろん、ある意味賢者とも言えるが、見る人によっては愚者とも言えるのだ。


 国民を管理、操作し、今は停戦状態ではある白翼人の国との戦いに備え、軍備を強化しているのだ。

 その為に、国民の貧富は広がり、軍に属する者は裕福であるが、そうでない者達は貧困に陥っているのだ。

 それを知っても軍備に力を注ぎ、救済などを考える事をしようとはしないのだ。

 アルゴンに反発する幹部達もいたが、不慮の事故や行方不明になる者が相次ぎ、みんな口を閉ざすようになってしまったのだ。


 私は今のこの国はあるべき姿ではないと思い、どうしてもアルゴンにはその立場を退く方向にさせたかった。

 表立って糾弾したところで、父を取り込んでいるアルゴンには勝ち目が無いのだ。

 だから、どうにか言い訳ができないような裏の顔を明らかにしたかったのだ。

 我ら兄弟はアルゴンの周辺を探っていたが、失脚につながる決定的な証拠を掴む事は出来なかったのだ。

 

 そんな中、妹のリオが体調を崩したのだ。

 何代か前から王家の女子は早く亡くなると言われていたが、リオは生まれた時からとても元気で、そんな気配は少しもなかったのだ。

 それが、年頃になってからおかしくなったのだ。

 今回、舞さんの薬でリオの身体にあった異物が分離された事で、リオを陥れる何らかの意図を感じたのだ。

 我らの種族は老衰はあっても病気にかかる事はないのだ。

 魔法や呪いでもないとしたら・・・。


 それを舞さんと相談しようと思った時に、舞さんが連れて行かれたのだ。

 有無を言わさず連れて行ってしまったが、私は情けない事に何も出来なかったのだ。

 舞さんを強行して助ける事は可能だったが、それではあいつに弱みを握られる事となる。

 私は動けなかったのだ。

 しかし、どうにか舞さんを助けなければ・・・

 

 そう考えていた時、ふと気配を感じたのだ。

 窓の外を見ると太い植物の蔓が上から降りてきたのだ。

 その蔓は人のように窓をトントンと叩いてきたのだ。

 そんな怪しい植物ではあったが、不思議と危険とは感じなかったのだ。

 何故なら、その蔓はとても綺麗で優しい光で輝いていたのだ。

 私は外のバルコニーにでた。

 見上げると、その蔓はかなり上の方から降りてきていたのだ。

 そして、私が近づくとその植物は大きな花を一つだけ咲かせたのだ。

 その時、頭の中に話しかけてくる者がいた。


『舞が伝えたい事があるみたいですよ。』


 蔓の動きが止まったかと思うと、驚くことにその花から私を呼ぶ声が聞こえたのだ。


「ブロム、聞こえますか?」


 それは舞さんの声に他ならなかった。


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