表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ  作者: 柚木 潤
第1章 洞窟出現編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/181

33話 魔人移住の訳

 自分の城に戻ったブラックは心から思ったのだ。

 あのハナの面影のある娘と話せて良かった。

 今更ながら、ハナが自分の世界に戻れた事が分かって、本当に嬉しかったのだ。

 

 500年前、魔人討伐を掲げる集団にハナが捉えられた時、すぐに助けに向かったのだ。

 その頃、人間の世界に魔法道具は存在してはいたが、今以上にお粗末な物で、魔人にとっては難なく攻略出来るものばかりであった。

 ハナが捉えられている部屋にもあっという間に行く事が出来たのだ。


 ・・・しかしハナは自分がいなくなれば、王家やケイシ家の人たちが酷い目にあってしまうので、ここを出るわけにはいかないと言ったのだ。

 それに、人間を傷つけてほしくもないと。


 私は自分のことよりも他の者の事を考えるハナがわからなかった。


 人間は弱いから魔人を必要以上に脅威と考えていると。

 だから、何かされる前に排除しなくてはと思っているのだと。

 ここで魔人が人間を抑え込む事が簡単なのはわかっているが、そうしてしまうと、いずれまた同じ事が繰り返されると。


 ・・・それに、このまま闇の薬を作らされていたら、いずれ魔人にも被害が及んでしまうと。

 私や魔人の友人達も傷つけたくないとハナは泣きながら話したのだ。


 私はどうしていいかわからなかった。


 ・・・するとハナは私の事を優しい魔人と言ったのだ。


 私とハナで行ったいずれかの異世界への移住が出来ないかと懇願したのだ。

 もちろん、全ての魔人の能力を使えば新たな土地で城や街を作ることもそんなに大変な事では無いのかもしれない。

 王である私が指示すれば、魔人達は従うだろう。

 ただ、はたして王としての決断は正しいと言えるのか。

 それに、もし異世界に行けば、もうハナとは会えなくなるのは言われなくてもわかっていたのだ。


 どうしてそんな決断をしなくてはいけないのか。

 私が優しいのは、ハナにだけだったのに。


 結局は移住を決断したのだが、魔人の中にも納得できない者はいたのだ。

 私の指示に従わず、人間と断固戦うものもいたのだ。

 ハナには悪いと思ったが、それを止める事までは出来なかった。

 ただ、大部分は私の指示に従ったので、戦争自体はすぐに終結したのだ。

 人間達はハナの作った闇の薬を使い、従わなかった魔人達は、生命力が失われ消滅してしまったのだ。

 そして、人間達の勝利になったのである。

 もちろん、魔人討伐の上層部も無傷でいる事は出来ず、何名かの死傷者も出たのである。


 私は異世界に繋がる洞窟を出現させ、魔人達の移住を促した。

 最終段階になる時に、そっと捉えられているハナの部屋に忍び込んだのだ。

 ほとんどの魔人が異世界に移動した事を伝えると、ハナはホッとしたのだ。

 これで、もうこの薬を作らなくて済むからだ。


 ハナは私に最後のお願いをしたのだ。

 この闇の薬を作るために必要な草木をこの世界から消滅させてほしいと。

 そうすれば、今後私達魔人を苦しめる薬は出来ないはずだと。

 ハナによって魔法のような薬がたくさん作る事ができるはずだったのだが、魔人を追い出した事で、人間も少なからず、報いを受けるべきと話したのだ。


 そして、洞窟を出現させる魔法陣などは向こうに行ったら消去してほしいと。

 二度とこちらの世界と繋がりができないためなのだ。


 しかし、結果として私は封印という方法をとり、消去する事は出来なかった。

 自分の甘さが、今回の状況を作り出してしまったのだろう。

 ただ、ハナと一緒に作り出した物を簡単には無くす事が出来なかっただけなのだ。


 それにしても、あの娘と会っていた時に近くで感じた気配は、人間ではなく魔人と思われたのだ。

 しかし、洞窟は私が結界を作っていたので、魔人があちらの世界に行く事は出来ないはず。

 結界が破られた形跡も無かったのだ。


 だとすると、今回移動したのではなく、すでに存在していたという事になるのだ。

 もしかすると、500年前に移住せず、残っていた魔人なのか。

 人間に消滅させられたと思っていたが、生きながらえていた者がいたのかもしれない。

 何にせよ、人間やあの娘にとっては危険な存在となるのではと思った。


 もしかすると、今回洞窟の封印が解けたことも関係があるのかもしれない。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ