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薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ  作者: 柚木 潤
第1章 洞窟出現編
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12話 異世界での生活 Ⅱ

 私はカクの家に滞在することになった。

あの、古めかしい書物について、ヨクから色々と教わることにしたのだ。

 もちろんカクも一緒にである。

 

 自由に使ってくれと言われた部屋は、とても広く、

寝心地がよさそうなベッドが置いてあった。窓からは来る時に見た、薬草畑が見えるのである。

やはり大きなお屋敷のようで、周辺の家に比べるととても立派なものであった。


 食事は口に合う物ばかりで、カップ麺の登場はなさそうであった。

 ただ、電気というものは存在しておらず、テレビのような娯楽になるものはなかった。

また、不満と言えば、お風呂は存在せず、お湯で身体を洗うくらいしか出来なかったのだ。

 しかし、とても疲れていたので、ベッドに横になったとたん、持ってきたスマホなども触る事なく深い眠りについたのである。



 次の日からカクと一緒に勉強が始まった。

 私は自分の世界にない鉱石についてヨクに教わったのだ。

 古めかしい本にも書いてあったように、

 水・火・風・光・闇を意味する鉱石が存在した。


 やはり私が考えたように、光は効果を何倍にも増加させ、闇は逆の効果へと転じる作用があるようだ。

 ただ、これらはどちらもかなり貴重なもので、なかなか手に入れる事は出来ず、カクの家でも厳重に保存されているのだった。


 他の鉱石は意外に手に入りやすいようで、水の鉱石は造船などに欠かせないもので、水の流れを操作する事が出来、絶対に沈まない船などを作る事が出来るようだ。

 火の鉱石はその名の通り、ガスのような火力が必要なものに使われ、燃料や家庭の調理器具にも使われているのだ。

 そして、風の鉱石は飛行船のようなものに必須で、何かを浮かせたり運ぶことに必要なものであった。

 

 そして、自分の世界にある生薬をどう使うのかと言うと、粉末化した鉱石に混ぜるだけのようだった。

 それだけ?と、逆に驚いてしまった。


 ヨクの話によると、本来これらの鉱石を人体に用いる事は無かったようだ。

もちろん、無理矢理飲んだとしても、何の効果も無いらしい。

 ところが私の世界の生薬と調合することで、人体に対して不思議な効果が得られると言うのだ。


 ほとんどは、人間の体調を改善させるために使用するのが目的であった。

 特に戦いなどの負傷者の治癒目的であったが、闇の鉱石を混ぜることで攻撃的な効果もできる事もわかったのだ。

 しかし、これらの鉱石を使った武器を作る事ができるので、あまり攻撃で使用される事はなかったようだ。


 また、飲まなくても、振りかけたりするだけで効果は得られると言うので、負傷している人に使うには、とても効果的な物であった。


 私は赤いスーツケースから、漢方薬などを色々取り出しヨクに見せた。

 製品化されている漢方薬を並べた時、ヨクが驚いて言った。


「これは、以前、マサユキが持ってきたものと全く違うものですな。」

 

 古めかしい本を読んでいると、そこに書かれている生薬の配合が、それぞれ、ある漢方薬を示している事が分かったのだ。


 そうであるなら、生薬を何種類も持っていくより、すでに製品化されている漢方薬を持っていく方が効率的であり、スーツケースのスペースも取らないと考えたのだ。


 ヨクにとっては初めて見るものだった。50年前のマサユキは何種類もの生薬を持参してきたのだ。


「ほう、これは持ち運びにも良いですし、鉱石の砂と調合も素早く出来ますな。さすが、マサユキのお孫さんじゃのう。」


 ヨクは満足そうに頷いていた。


 カクは私が持ってきたものに興味津々であった。


 漢方薬が綺麗にパッキングされている事も驚きだったが、持ってきたガーゼや絆創膏、消毒薬、目薬、軟膏類など初めて見るものばかりだったのだ。


 カクはどう使うのかを目を輝かせて聞いてきたのだ。


「舞のいる世界はすごいんだね。病気や怪我を治す薬が色々あるんだね。」


「はは・・・」


 カクの言葉に苦笑いをした。

私が持ってきたものは市販薬のたぐいで、誰でも購入して使えるものであるのだ。

 さすがに医療用医薬品を持ち出す事はまずいと思い最低限のものにしたのだ。それにも関わらず、こんなに驚いてくれるとは、ある意味不思議なのだ。


 私にとっては、自分の世界の医療はあたりまえなことであり、物を浮かせたり火や水を操作できる物質があるほうが、何十倍も不思議であったのだ。

 

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