テストの結果が微妙すぎるんだが!?
湊信者の目を恐れ、教室へと逃げ込んだ。しかし奴らの目は廊下だけにとどまらなかった。
息を切らしながら入っていった教室でも、何やら俺に視線が集中している。ざわざわと声を立てながら顔を見合わせている彼らに共通しているのは、手元にスマホを持っているということだ。
なるほど理解した。これはあれだ、『差別し・仲間外れにする・サービス』略してSNSだ。こいつらこれで情報共有してやがる。君たち探偵か何か?
「あいつ湊さんにタメ口聞いてたらしいよ」
「しかも噂だと一緒の部活どうだとか」
「まじ? あんな奴が?」
聞こえてくるコソコソなってない話はまぁひどいものだった。そもそもなんだよ同級生にタメ口はダメとか。お前らにとって湊は仏教における釈迦か?
「めんどくさ。そもそも探霊部ぜんぜん浸透してないじゃねえかよ。あいつらなんでそんなことの情報は流さないんだ?」
探偵たちの凄いんだか凄くないんだかよくわからん情報網は、少し遅れてやってきた剱が切り裂いてくれた。さすがは学園の指揮者、一瞬で探偵たちは散っていった。
「さすがだなあいつ。もうここまでいくとあいつは主犯なんかないかって思えてきたんだが」
「うん、流石に私も同感になってきた」
剱のあまりの統率力に八重洲すら引いたところで、その統率者さんがこちらにやってきた。
「やぁ黒薙君! 災難だったな、ただ同級生と喋ってただけだってのに」
「あ、そうですね。とりあえず、ありがとうございます」
情けなく苦笑いをしながら答えてしまう。湊にはタメ口でいけるが、こいつにはまだ無理だ。何回か話したが未だに敬語が溶けそうにない。
「すごい硬いなぁ。同級生なんだからタメ口でいいと思うんだけど。僕にも、湊さんにも」
「そう、ですね。すぐには無理でしょうけどいずれは、はい」
「そっか。まぁすぐじゃなくていいよ。そうだ、探霊部だっけ? 頑張れよ」
その後手を振り返っていった剱は最後まで剱だった。確かにまぁいい奴だわな。女子が惚れるのも男子に敵がいないのも納得せざるを得ない。だがあえて欠点を言うとするならば、隠キャの考え方をいまいち理解してないんだろうなとは思う。まぁそんなもん理解してなくても困らないんだがな。
というか、あいつなんで探霊部のこと知ってんだ? 他の連中は知らなかったってのに。
こうして統率者様が納めてくれたことでその日1日は心穏やかに過ごす事ができた。最後のHRでテストが返却されるまでは。
点数は事前に知っていた。最初からその点数だとわかっていればダメージなどない。そう思っていたのだが、いざ返却され赤く記された点数を見るとやはり落ち込む。背後で八重洲が『あ〜うん、こんな感じだよねぇ』と言っていたのもダイレクトアタックだ。
「黒薙、君ちゃんと確認をしたのか?」
テスト中八重洲の声を聞いていた城端先生はテストを返却する際このように告げてきた。
「まぁその、『これでいいよね!』っていう自分自身への確認は完璧でしたよ」
「1人だけ赤点以外の理由で補修にするぞ」
城端先生はものすごく冷めた目つきで俺を一瞥した。一瞬俺の周りだけ氷河期が訪れたのでは? と思うほどの冷たさ。もしかして先生能力者?
「何か馬鹿なことを考えていそうだが、いいから早く退がれ。次が詰まってる」
「あ、はい。すいません」
真っ当にあしらわれ、俺は自席についた。そして今一度点数を確認し、1人苦笑いを浮かべる。
「これは……もう少しは取れたな」
「だから確認すればって言ったのに」
テスト返却とは、過去の自分と向き合う時間だととあるぼっちさんは言った。過去の俺はテストの瞬間目の前の問題に向き合えていなかったのだと理解する。そして苦い顔を浮かべながら俺はテスト用紙を裏返し、カバンに詰めながら過去の反省を1言で収めた。
今日の教訓──人の助言は素直に聞こう。以上!




