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一章八話

001-008.


模擬戦も終えて、自分達の幻体が形になった頃、私達の幻体闘技デビューが決まった。


デビュー戦とは言っても同期に召喚された人同士でマッチメイクされるので、それ程の焦りはないが決まった相手が問題だった。


天才との呼び名が高いシドウ君と、ミナコさんの弟子である私とミナコのペアの変則戦、ギルドは敢えて高カードを組んで人気の無い新人戦で収益を狙ったようだが、ここで待ったを掛けた人間がいたのだ。


その人物とは負けず嫌いのトウコさん、幻体師としては既にDランクに昇格を果たしていてパーティを組む冒険者も直ぐに決まっているらしいが、シドウ君と闘える最後の機会かも知れないのでギルドに再考を迫ったのだ。


ギルド側は両者の納得が得られたなら承諾すると決めた、私達に返答を求めて来たが私達はトウコさんに譲ると即答した、トウコさんに変に怨みを買うのは嫌だったし、シドウ君の実力も見てみたい、そして、シドウ君にも異論は無いようで初戦の対戦相手は変更された。


代わりに組まれたのが、例のアニオタ三人組でこの頃にはエロい三連性との通り名が出来ていた、自らの変態性を惜しげも無く披露し、周囲からの嘲りを物ともしない彼らの連帯は強く、シドウ君とは別の意味で闘いたく無い相手だが初戦の勝利を望むならば前よりは明らかに条件の良い相手だ。


幻体闘技の会場は午前と午後との入れ替え制で、それぞれの多く賭けた人達が闘技場で観戦出来る仕様になっている、この時自分の掛けた幻体師がよく見える対面に掛け金の額に応じて割り振られていき正面には自分に掛けた人達が配置される事になる、また、カードの掛け金によって出場順も決まり最も人気のあるカードが最終戦になる、つまり、最終戦の出場者は自分に賭けた人の前で闘う事になり、知名度の低い新人はヤジの対象になって大概辛い思いする。


大会の前日までに賭けは締め切られており、引き換えの札で観覧位置は決められるのだが、今回の新人戦は今までに無い事が起こっていたのだ。


ミナコさんが出場していないとはいえ、メインである午後よりも午前の方が掛け金が多く、その上賭けに勝っても赤字になってしまう、なのに観客は特定のカードの片方にやたらと掛けているのだ、そう、まるで試合を見る事が目的の様に、そして、もっとも注目を浴びている新人が私とマナミのペアだったのだ。


隣の観覧席にいるトウコさんの機嫌が悪い、原因は自分達の闘いが前座に配置されてしまった事だろうが、こればっかりは私達を睨むよりも観客達に文句を言って欲しい物だが彼女がそういうタイプで無い事はこれまでの付き合いで重々承知している。


緊張と隣からの威圧で息が詰まりそうだが、セコンドに付いてくれているミナコさんが和ませてくれるのでなんとかなっている。


腐ったウミちゃんが、見た目だけで中身の伴っていない巨人を打ち倒した後にようやく、場が落ち着いた、殺気に近い物を放っていたトウコさんが試合の為に席を離れたのだ。


「辛かったです」


マナミが口を開く。


「まぁ、彼女にしたら自分達が一番人気で無い事が悔しいんだろうね」


「けど、ミナコさんって凄いですよね、ミナコさんの弟子ってだけで私達にこんなに人気が出るんですから、掛け金の何割かは私達の報酬になるので、正直負けても結構貰えます」


「それでも勝った時の方が三倍ぐらい貰える筈です、もし、ここで貴女達が負けたら一番徳するのは三連性になってしまいます」


「それはかなり嫌ですね、日頃の鬱憤ばらしも兼ねて三連性は容赦無く、殺っちゃいましょう」


「ちゃんと魅せないとダメですよ、せっかくファンが付きかけているのに」


「でも、彼奴ら相手じゃ役者不足ですよ」


「そうでも無いですよ、むしろ観客が望む最高の相手かも知れません」


ミナコさんが意味有りげに微笑んでいる、奴ら相手に魅せるという事はああいう事だろうなぁと思っていると、ちゃんと理解出来ていないマナミがぽかんとしている。


そして、ドワっと観客達が騒めくと私達の出番がやってくる。


彼等は自分達が三連性と呼ばれている事を知っているのだろう、同じメカ美少女の幻体を三体並べた姿一見すると均整が取れて手強そうだが、よく見るとバストサイズが結構違う、恐らく各々の好みが反映された結果なのだろうが、二人は巨乳好きで一人が貧乳好きと一目で解る程だ、基本的には黒と紫で配色されておりバズーカを持っているのでアレがモチーフなのは間違いない、そしてバストの上に小さな三角の頭が載っておりちゃんと十字の真ん中にピンクの丸が輝いているが、よく見ると十ではなく土で、バストには夢とマーキングされている、くそぉ、この世界はこんな奴ばっかりだなと思っていると。


「おっぱいに夢って書くなんてマニアですよね、胸への攻撃に気をつけないと」


とマナミはよく理解出来ていないようだ。


幻体師達の評判を覆して、その幻体は見る限りでは良く作りこまれていて、それだけでなかなか手強そうな気がする、まともに闘っても結構苦戦しそうな気がするが、私とマナミはそれぞれの幻体を出現させる、観客が若干騒めいているが最初から本気を出す気は無い、むしろハサミで奴らのアーマーを剥ぎ取って逆に晒してやるつもりだ。


ザリガニとキツツキが現れて三体のメカ美少女と対峙する、そして試合開始の号令が下されると一気に攻めかかる、天高く飛び上がったキツツキの羽が旋風と共に三体を襲う、羽だ。はカッターになっていてメカ少女達は徐々に傷を増やしていくが致命傷にはなっていないようだ。


次にこちらが斬り込もうとしたが、相手の動きに出端を挫かれる、彼等の幻体は滑るようなホバー走行を再現させ高い機動力で私のザリガニを囲むと一斉に砲撃してくる、幸い初速の遅い無反動砲の様で、得意のバックステップで容易に回避出来たが、長くは避けきれないだろう。


そんな状況にマナミがスパイラルアタックを開始する、するとその攻撃に連帯が乱れたので、私もチェーンシザーズで反撃を開始する。


状況は善戦していると言えるが、数の差の不利は否定出来ない、おまけに機動力の無い私は敵のアウトレンジ攻撃に対して圧倒的に不利で、射程に限りのあるチェーンシザーズも余り効果を上げていない、一度チェーントラップで転倒させる事は出来たが攻撃を直撃させた事は無かった。


そろそろ頃合いかと思った頃にそれは起こった、マナミのスパイラルアタックがバズーカの砲口で受けられたのだ、ちゃんとしたイメージが出来ればそういう芸当も可能だとはミナコさんからは聞いていたが、私達は少々対戦相手を舐め過ぎていたようだ。


「チャームビーストセットアップ!」


最早、躊躇している暇は無かった、私はマントを脱ぎ捨て変身ワードを叫ぶと、観客から喝采があがる、そうして例の恥ずかしい変身シーンが始まる訳だが、闘技場には巨大なオーロラビジョンも設置されており、自らの変身シーンを脇目で見ながらの変身になった、最も見れる事で魅せる演出もちゃんと意識できよりエロティックに変身出来た、その威力は効果を発揮し、三連性の二人を前屈みにさせる事に成功したが、貧乳好きの奴にだけは効果が無かった、多分アイツは貧乳好きというより幼女好きなのだろう。


そして、単独で行った変身は予想以上に効果が有った、変身シーンに相手が見惚れている間にマナミもかなり回復出来たのだ、そして、私に続いて変身を開始する。


場内がマナミに夢中になっている隙に私は闘技場細工を施す、ハサミからチェーンを外してザリ足パーツを杭にして打ち付けておくのだ、これなら先ほどより有利にトラップを展開出来相手の意表をつけるだろう、そして、そんな私の策略には誰も気付かずみんなマナミの変身に夢中になっている。


マナミの変身が終わった後に私は意図していない敗北感に襲われる、なんとあのロリコン野郎が前屈みになっているのだ、奴はロリコンでは無かったのかと思いつつも隙を見せたロリコン野郎の幻体に対して一撃を加える。


「シザーズハンマー!」


ただ単にハサミを振り下ろすだけの技だが、技名叫ぶと破壊力が段違いに上がるのは実証済みだ。


ハサミの一撃が貧乳の胸に炸裂する、当然、ワザと狙ってやったのだが、弾力に乏しい貧乳の胸部装甲は衝撃を逃す事が出来ずに砕け散る、ふっ、貧乳の夢を粉砕してやったぜ。


そうして貧乳は地面に倒れ込み、貧しい胸が露わになる、観客からは歓声が上がるがそれはロリコンの妄想の産物だ。


貧乳を取り敢えず撃退した私は、次に三人のリーダー格の幻体と対峙するが、どこか変だ、この幻体も何故か前屈みになっているのだ、まさか、私の頭に醜悪な想像がよぎるが、その想像は現実となって私に襲い掛かる、何と、このメカ美少女幻体にはアレが生えているのだ、隊長機に生えているのはお約束かも知れないが、生えるのは頭であってけして股間では無い筈だ。


そんな、存在に対して私の憎悪は燃え上がる、女体はそれだけで美しく完成された存在なのに事もあろうに男の最も醜い物を付けるなんて我慢出来ない、言葉通りのチョン切る為の一撃を繰り出すが、敵も必死だ、ワザと腕を挟ませて股間をガードしたのだ。


腕よりもそんな醜悪な物が大事なのか、怒りの増した私は容赦無く腕を切断すると次の一撃を繰り出すが、突然相手の右胸が眩い光を放つ、ちゃんとアレも用意していたのか、怒りに任せて油断した私に対してフタナリの反撃が襲い掛かる。


背中に刺したサーベルを引き抜くと強烈な突きを胸部装甲に放ったのだ、その気迫の篭った一撃に後方に吹き飛ばされ尻餅をつく、その上胸部装甲は破壊され自慢の美乳が晒されてしまう、そして巻き起こる大歓声。


逃げ場の無い私にフタナリが迫る、その股間は先程より更に雄々しくいきり勃っており最早隠す気など無いようだ。


犯られる、一瞬、最悪の想像が脳裏を掠めるが、すぐさま勝機を見出す。


すぐさま立ち上がると腕を振り上げてフタナリに突撃する、そんな攻撃はたいした事は無いと笑みを浮かべながらガード体制を取るフタナリだが、私の目標はボディでは無い、あくまで醜悪な男の部分なのだ。


勝ち誇った表情で攻撃を受け止めたフタナリの表情が直ぐ様苦悶を浮かべる、予め仕込んであったチェーンが下から股間を直撃したのだ、その予期せぬ一撃に弱点を襲われたフタナリは余りの痛みの為に地面を転げ回っているが股間のアレはいきり勃ったままだ。


そして、私は容赦無くハサミで挟むと躊躇無く切断する、これには会場から悲鳴にも似た声も上がるが変態に情けは無用なのだ。


その効果は的面だった、元フタナリはのたうちながら徐々に姿が薄れて消滅する。


激戦を制しマナミに目を向けると、かなりの窮地に追い込まれている、聖獣装甲の殆どが砕け散っており満身創痍の状態だ、対するメカ美少女は殆どダメージが無いようで高速で移動しながら一定の距離を保っている。


一体何が、直ぐ様マナミに駆け寄り彼女を庇うが、襲い掛かる敵の攻撃で苦戦の理由が判明する。


散弾攻撃、広範囲にばら撒かられた小さな銃弾は防御の弱いマナミを捉え、成獣装甲を消滅寸前まで削っていったのだ、この攻撃には流石の私も恐怖を覚える、何故なら私の胸は先程の戦闘によって防御を喪失させているからだ。


「まずは動きを止めないと」


率直な感想をマナミに告げてみる。


「一つだけ策が有ります、けどこれを行うと私は暫く戦闘不能になって後を託す事になりますけど」


「あの技か、やるしか無いようね、このままでは二人とも削り殺されてしまうから」


「恥ずかしい、余りやりたく無いんですけど、あんな奴らに負けるなんて嫌ですからね」


「そうね、色々してくれたミナコさんの為にも勝たないと」


「行きます、ペッカークエイク!」


マナミが手に持ったキツツキ頭の槍で地面を突き始める、その余りに間抜けな状況に会場から笑いが起こるが、その効果は徐々に現れていく、私達の周り以外の闘技場の地面がグラグラと揺れ出し、隆起や亀裂が生じているのだ、極限定的な大地震がこの技の正体で地面を滑るメカ美少女の足を止めるには有効的なのだ。


「チェーンシザーズ!」


先程使ったチェーンを繋ぎ直していたので、再使用が可能になったハサミで動きの止まった敵の胴体を掴む、そしてそのままチェーンを巻き取ると、逆転のハサミに必殺技を繰り出す。


「シザーズハンマー!」


引き寄せられる加速に振り下ろされる加速が加わった一撃がメカ美少女に炸裂する、その一撃はメカ美少女の装甲を木っ端微塵に粉砕し、何故か全裸になってしまうが操る幻体師のイメージがそうさせているので私達にはどうしようもない、ただ、彼が敗北を悟った事は確かなようで、全裸の美少女はだんだんと薄くなって、消滅してしまった。


そして例のロリコンだけが残された、ダメージ自体は私達よりも軽いようだが、既に心が折れている、背中を見せて逃げ出そうとしているが放置する程、私は甘くない、まず、チェーンシザーズでスカートを剥ぎ取ってやると、その後ハサミを使って全裸にひん剥いてやった、この裁断ショーは意外と好評で熱い声援が送られたが行っている私にはこれ程の声援の意味が全くわからなかった。




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