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3話 兄さんはシスコン

「ジェラルド様……その、流石に勉強する時までもシャーロット様と一緒でなくても……」

「私の妹は可愛すぎるので誰かに盗られないか心配です。なのでこうやって四六時中、一緒に居ないと気が気ではありません。それにもしもシャーロットが誘拐されたら貴方はどうやって責任を取るつもりなんですかそれこそ職を失うだけではありませんよ」

「ジェ、ジェラルド様ぁ……」



 おいこら馬鹿兄貴、なに家庭教師困らせてんだ。


 それにしても何故、何故こうなったんだ。兄さんはあれから事あるごとに私と一緒に居たがる、ていうか居る、引き離そうとすれば、かなりの圧で睨み怯えさせ、優しく諭すように話せば(たく)みな手練手管で相手を黙らせる。

 そして私は気がついた。


 あっ、此奴はかなりのシスコンだ……!


 と、ていうか気づかない奴なんていない。こんなにも妹ラブの人、前世を含めて私は初めて見た。どうしよう、兄さんの将来がかなり心配だ。


 それより、学校はどうした学校は。確か兄さんは家から学校に通ってたんじゃなくて学生寮から学校に通ってた筈。兄さんと私が出会った日は、最近産まれた妹、つまり私に会う為に1日だけ家に帰ったそうだ。それがお喋り好きなメイドさん達の話によると、どうやら学校に行くのをやめて家で勉強するようになったらしい。

 (おそ)らく、そうなった原因は私だ。


 この国、ロミリア王国には貴族だけしか通えない学校がある。ごく(まれ)に魔法の才能がある平民が特待生として入る事もあるが、とにかく貴族だけしか通えない学校「ロミリア魔法学院」。十六歳になるまでは来ても来なくてもいい。だけど勉強熱心で真面目な兄さんは魔法の研究やら実践練習をする為に学生寮に入っていた。

 それが今はなんだ。こうして家で家庭教師、そして私と共に勉強している。



「シャーロット、僕の名前はジェラルドですよ? ジェ・ラ・ル・ド」



 私を()(かご)の中に入れて、その隣で授業を受ける美少年、プルプル震えながら美少年に勉強を教える大人の図って、かなりカオスじゃありません?

 私がもう少し成長して自分の意志を伝えられるようになったら、なんとかして兄さんにヒロインを押し付けてやろう……いやその前になんとか妹離れさせよう、そうしよう。


 じゃなきゃ下手するとヒロインと兄さんだけじゃなく、私もセットで共にハッピーエンドに入る可能性も捨てきれなくなる。

 やだよ! 新婚夫婦の家で一緒に住む私とか居心地悪いじゃん!



「こ、これで授業は終了です……」

「ありがとうございました先生」



 にこやかな笑顔で部屋を出る兄さん、と私。

 しばらく兄さんが歩くと庭に出た。庭に生えてる大きな木の下に座り込む。


 ……ま、まさか。



「あぁ、こんなにも私の妹が可愛い……‼︎」



 はい出ましたー、聞かされてるこっちが小っ恥ずかしくなるぐらい褒めまくる奴

ー。

 思わず真顔になってしまったが、私は悪くない。褒めるあっちが悪い。



「このきめ細やかな美しい白い肌に少し気怠げそうにこちらを見る鮮緑色の瞳、全てが可愛い、こんなにも可愛すぎて最早これは罪なのではあぁそんな瞳で私だけを映す瞳が物凄く(たま)らないね」



 もう兄さん頭の病院に行こう? それと眼の病院も行こうか。

 ゲームではこんな感じじゃなかった、断言できる、こんなにヤバい人みたいな感じじゃなくてもっと普通だった、まともだった。あぁ、あの兄さんは何処に。


 兄さんがヤバいのはこれだけじゃない。


 同じ部屋で、同じベッドで寝るのだ……いや、まぁ兄妹が一緒に寝るのは良いと思うよ? でも、起きた時が本当にアレだ。



「はぁ……はぁ……! 今日も私の妹が可愛すぎる……!」



 朝起きると何故か鼻息を荒くした、抑えきれない変態性が滲み出ている美少年の筈なのに美少年とは言いにくい顔が直ぐ側にあった。

 そう、直ぐ側に。



「おぎゃああああああああああああッ!!」



 思わず涙と鼻水、悲鳴という名の泣き声が出た。アレはヤバい。トラウマレベル、でも何故だろう、慣れてしまった。慣れって恐ろしい。

 そしてこんな兄さんを見てると思うのだ。

 ジェラルドファンの皆さん本当にごめんなさい。


 なんか私という名のイレギュラーが来てしまったせいか、本来なら初対面の時は冷たかったけど仲良くなると徐々に優しい笑みを見せる兄さんがシスコン(変態)になってしまいました。しかも、もう治りようのない域までに……。


 そして、まだまだ兄さんのヤバい所がある。


 過保護すぎる。なにかしようとすると絶対に先回りしてやっちゃう。それヤバくなくない? って思ってるそこの貴方、私の兄さん舐めんなよ。


 例えばトイレしたいなーって考えてる時……。



「そろそろトイレだね?」



 おい、何故に私がトイレしたいって考えてる事が分かった?


 他にも私が食べたい物を思い浮かべると直ぐに用意したり、かなりの数がある花畑である1本の花を見ていると何故かその花を見ているんだねと言ったり、それ以外にも色々あるがあげると本当に切りが無い。


 だからもう兄さんは超能力を持っていて、その力で私の考えを読んでるんだって考える事にした。

 それ以上深く考えると何か触れてはいけない物に触れる気がしたんだ……。


 

「シャーロットが大きくなったら今も可愛らしいけどもっと可愛くなるのでしょうね、そしたらドレスはこの私が選んであげましょう」



 はいアウトォっ‼︎


 何故か私の第六感が兄さんを危ない奴だと判断した。

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