すべての始まり
私はこの星が生まれたときから存在している。私はその時からすべてを知り、すべてが可能だった。
この星は海があった。そして草木もあった。海は流れ、草木は風に揺れる。それらは日々移ろい私に飽きさせなかった。その後この星に生物が生まれた。それらは私に新しい刺激を与えた。楽しかった。このまま私はこの星が滅びるまでこの景色を変わらず見ていくと思っていた。
ある時コミュニケーションをとるものが現れた。彼らは次第に新たなるものを見せた。感情、言葉、音楽。彼らには個性があった。私は彼ら同様にそれを得た。しかし得られないものがあった。私には相手がいなかった。そこで私は人間を私の住まいに招くことにした。今思えば、この時から私は信仰の対象になり、神の在り方を悩むようになった。
人間を招くようになってから季節のサイクルが何周したときだろうか、私のところに来ていた男の子に親の病を治してほしいと頼まれた。私は万能薬を彼に与え病を治してあげた。
それがいけなかった。
その話は瞬く間に広まった。彼らは私にあらゆることを求めるようになった。私はひどく後悔した。あるときは豊作を、あるときは人を殺してくれと…
私は人々の願いを叶えることをやめてしまった。すべての人の願いを叶えたい。しかしそれはすべての人にとっての幸せではない。私は悩み苦しんだ。私に祈りを捧げる人を憎いと思った。無責任だと祈られる身にもなってみろと。
それでも私は天の上から彼らを見続けた。いつしか彼らに複雑な感情が生まれるようになった。彼らは苦しみの中から希望を見いだそうとするようになった。苦難を神からの試練と捉え乗り越えようとした。私には彼らが不幸には見えず、もはや幸せのように見えてきた。そして私とこの苦しみは神とあるための試練だと捉えるようになった。
それから私はある特定の人間とのみ関わるようになった。その人の良き理解者となり、良き友人になろうとした。神としてではなく友人として力を使うことにした。
しばらくまた練る作業に入ります




