ゴッドシック
俺は今日も適当なことを言って家を出た。確か母親が悲鳴を上げていた気もするが、
どうでもいい。慣れない手つきで財布を見る。父親が慌てて持たせた諭吉が三人ほどいた。
━━━これだけあればだいじょうぶかな?━━━
そんなことを思いながら俺はドラッグストアに入った。
ことの発端は俺が神殿についた時まで遡る。
そこには暖房器具の前で布団を被りながら呻いているものがあった。
「どうしましたぁー」
「あのね、朝起きたらね、頭がボーっとしてね、お熱を測ったの、そしたら39℃もあったの、おにぃちゃんつらいよ、たすけておにぃちゃん」
なっ!!今日は
風邪をひいて寝込んでいる妹が高熱のあまりいつも冷たく接している兄に甘えてしまい
後でその話を聞いて恥ずかしくなって赤くなっちゃう(筆者の願望)
という設定か!!キラキラした目でこちらを見てくる。
まてまて、見てくれは何も変わっていないじゃないか。頭を激しく振り現実に帰る。
「その面してそんな声でそんなことを言うな!あとそんな目でこっちを見るな!気持ち悪い」
するとやつは通常?の口調になって
「なんじゃ、こーゆうのに萌えたりはしないのか。ちっ、つまらんのー」
まったくこんな芝居のためにここまで準備したのかこいつは…。うんざりしながらも幼い頃の記憶をたどる。妹が風邪をひいたとき俺はどうしていただろうか?ちゃんと兄らしく
接することができていただろうか…
「まぁ、そんな下らないことはいいので今日はどうすれば?」
下らないといったところで何か言いたげだったがやつは辛そうに言う
「薬を買ってきてくれ、風邪薬どれが効くのかわからんからできるだけたくさん」
「は?熱があるのはほんとなのか?」
「本当じゃが…え?ワシのこと信じてなかったのか?あーもう怒った。末代まで呪ってやる」
「別に問題ないね、ニートだしどうせ俺は結婚できないし関係ないぁー」
自分で言っていて恥かしくない。これこそニートの能力である。
「あっ、そうだった。こいつはこのまま一生親のすねをかじり続ける運命だった」
神から一生ニート宣言を受けたが気にしない。これも本気ニートの能力である。
「適当に買ってくればいいですね?」
そういうと俺は地上に戻った。その時神が少し悲しそうな顔をしていたが気づくわけがなかった。
俺は適当に風邪薬を買った。店員から奇異な目で見られた気がするが気にしない。
これもニートの…
なりたくてなったわけではない。社会が悪いのか適応できない俺が悪いのか…
今の俺を見て昔の、幼いころの俺はどう思うだろうか?そんなことを思いながらトイレに入る。こんなことを考えるのも何回目かわからない。ただいつも考えるのを途中で放棄する。
受け入れたくないから?いや違うもう俺の人生はこういうものだと諦めたから。もしかしたら打破できるかもしれないそう思いながら俺はやつのもとに飛ぶ。
神殿につくとやつはもう風邪は良くなったという。いつもならかみつくがそんな気分ではないじゃあ帰りますねと言い俺は帰る。現実へ受け入れ越えなくてはいけない壁の多い世界へ
神木が帰ってから少しして私は執務に戻る。この地球の監視である。私はこの星が滅びると
消えてしまう。しかし特に何かできるわけではない。少し奇跡を起こしたりできるぐらい
戦争を止めたりはできない。あとは…神木のような青年の手助けぐらいである。
そんなこと思いながら病気の子供を救うのだった。一人だけ大量には救えない。そこまでの力はない。そしてまたうなされる、救われなかった人間の声に…




