表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

いじめはいけないことです6

2度目の集会があった日の放課後、部活に入っていない女子生徒たちが教室で雑談をしていた。

「これ、誰が持っていく?」

「こういうの先生が持って行ってくれると助かるんだけどな」

「ねぇ栄下(サカモト)さん、持って行ってくれない?仲よかったでしょ」

1人離れて携帯を見つめる別の女子生徒、栄下千夏(サカモトチカ)に声をかける。

「いいよ、どうせ行くつもりだったし。ノート?プリント?」

「ファイル、色々入ってる。よろしく頼んだ」

「頼まれた。誰も行かないの?」

視線をかわすが言葉はない。

「いいよ、1人で行く。そんな気はしてた」

また明日、と言い残して教室を去り、停学になった生徒、小谷叶(コタニカナ)の家へと足を向ける。


道中、今回の事件について色々と考えていた。

 正直あれはやりすぎてたよな。止めるのもわからんでもない。私は絶対止めないけど。


小谷叶と仲の良かった彼女は事件の当日、担任の教師と話をした。

「あの子そんなに悪くないと思うんですよね」

「何か聞いてるか?どんな様子だった?」

事情聴取が始まったので、わかってはいたが少し呆れた。

「本人からはなにも聞いてないです。いじめはいつもよりかなりハードでした。多分それで。ちょっと引いてる子もいたし」

「なるほど。具体的にどんないじめだったか聞いても大丈夫?」

「いいですよ、まず服を剥がされてました。ビンタまでは良かったんですけどお腹とか殴り始めちゃって。あ、動画撮ってる子もいたな」

「それ見せてもらったほうがはやいかな、まあいいや。それで?」

「多分何発かみぞおちに入ったところだと思うんですけど、そこで止めに行ってました」

「ふむ」

教師はあごをさすり、ため息をついた。

「昔のいじめはもっと酷かったんだぞ。なんせいじめられてるやつが自殺を選ぶぐらいだ。世界全部が敵にみえるらしい」

「はあ、そうですか」

こんな話をしても仕方ないな、と教師は謝った。


そんな会話を思い出しながら歩き続ける。

 私がもうちょっとうまく弁解できてたら停学はなかったのかな。


考えたが、すぐに諦めた。1年の3学期にいじめられてから、色々とこだわらなくなった。1人でいるとどうしても思考が消極的になっていくことに気付いた。


「視線をあげると気分も上がるらしいよ」


自宅で暇をしているであろう親友の言葉を思い出し、歩調を早めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ