プロローグ『予期せぬ始まり』
「たっ、 大変だ!!」
とある城内に、 切羽詰まった声が響き渡った。
発信源は玉座の扉前。 一人の兵士が駆け込んできたのだ。
「うるさい! 何事だ! 今は王のご友人方が来ておられるのだぞ!! 声が聞こえたらどうするんじゃ!」
その城の王の側近らしき白髭の老人が、 外見に似合わぬ大きな怒声をあげる。
玉座に入る前の扉近くなため、 その老人の声も充分うるさく、 玉間に丸聞こえなはずだがそんなことを言える兵士や従者はおらず、 駆け込んできた兵士が『すみません!』とだけ謝る。
「しかし、 これをご覧ください」
そう言って、 差し出してきたものは、 一枚の小さな紙だった。
よくみると綺麗に折り畳んである、 おそらく手紙かなにかだろう。 そう結論づけ、 老人がその手紙を手に取る。
そして、 中身を確認して……驚愕した。
それは日本語どころか、 地上に存在しない言葉で、こう書かれている。
『ガッコーせいふくしてくるからちじょうにいってくる!』
わけのわからない内容だったが、一番問題なのは中身ではない。
それを書いた人物が重要だったのだ。
右下に、 こう書き記されていた。
【リル=リヴァイアサンより】
その名前の主は、 海の奥底、 深海にある王国の姫。
これは、 深海の姫と少し不良な男子の物語である。
新作になります。
今回は結構長くなるかもしれません。
小説家になろうではあまり好かれないタイプの話かも知れませんが、 少しでも目を通して楽しんでいただけたら幸いです。