時はロキア記167年―――
世界の空は暗闇に包まれ、山々からは炎が飛び出し、大地は割れ、海は全てが凍るという現象が起きた。
人々はそれを、ただの異常現象だと思ったが、それから3年後・・・どこからか魔の者が現れ始めた。
その魔の者達は、それぞれ容姿が違っており
獣のような者
爬虫類のような者
人間のような者
植物のような者
姿を自由自在に操れる者
姿を持たない声だけの者
が居た。
この姿の違う魔の者達は、皆、気まぐれで人を助けたり・・・人を殺したりした。
人間達は恐怖した。魔の者達の機嫌を損ねれば、待っているのは『死』のみだ。
人間達は、魔の者達に従った。生け贄を捧げろと言われれば、捧げた。その生け贄が、その国の王だとしても・・・従い、捧げたのだ。
王を無くした国は、争いが多くなった。
皆、生きるのが必死で、犯罪に手を染める者さえ居た。
まだ幼い子供に、大人達は武器を持たせ、『殺す』事を覚えさせた。
段々と衰えた国は、人々は飢えに苦しんだ。
中には、先日産まれたばかりの赤子を・・・殺し、食べた者も居た。
それが段々と広がり、力を持たぬ幼子や老人達は、殺され、力を持つ者達に喰らわれた。
それを見た、魔の者達は悦び、歓喜し、快感に震えた。
それを見た、魔の者達は哀しみ、嘆き、涙を流し震えた。
やがてその国の人々は、魔に染まり、魔物に朽ち果てた。
魔の者達と違い、魔物は理性が無く、皆が皆恐ろしく醜い姿をしていた。
そうして、一つの国が・・・潰れた。
そして、それから30年・・・
その国の中心に、魔の者達が崇拝すべき3人の主が産まれると同時に、それに対をなす各国で英雄となる3人の赤ん坊も産まれた。
魔の者達は、主を恐怖と尊敬を込めてこう呼んだ。
『魔王』
と。
そして、人々は英雄達を
『勇者』
と呼んだ。
これは、その一癖も二癖もある魔王と勇者達の物語である。