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第6話:解析に三日!? スマホ断食とかマジ無理なんですけどぉ!

「……うーわ、ここが魔導区? ガチでスチームパンクじゃん!」


チュンペーに案内されて辿り着いた東の職人街・魔導区。


至る所の煙突から七色の蒸気が上がり、空飛ぶ歯車が忙しなく動き回る光景に、凛愛は目を輝かせた。


「ねえねえねえ!あれなに〜?歯車空飛んでる❤︎え〜なにぃ〜あそこ煙の色っ!ヤバ……え、あっちの人、魔法の防具?光ってるよ!!」


ふらふらと露店の方へ吸い寄せられる凛愛を、チュンペーが頭をつついて引き戻す。


「いててっ!はいはい、でも、あれだけ!」


『スマホとやらが先だろうが、バカ人間』


「……あれだけ!あれだけ見たい〜っ!」


魔道具の露店に張り付いて、ガラス瓶に入った光る液体を「ヤーバッ!きれ〜だねぇ〜❤︎」とまじまじ眺めること五分。


チュンペーに三回頭を突かれてようやく動いた。


「ねえチュンペー、あそこ? あの今にも爆発しそうなボロ屋、あたしのスマホ直せるわけ?」 


『さぁな、あの変人なら、その謎の板にも興味を示すだろう……』


ロールス魔導工房。


凛愛が扉を開けると、そこは魔導パーツが山積みのカオス空間だった。ガラクタの中から、銀髪のエルフが這い出してくる。


(いぃー?!なんか出てきたーーー!!)


「あ、あの……これ、動くように……できます……?」


凛愛が恐る恐る差し出した、沈黙したままのスマホ。それを見た瞬間、瞳がギラリと光った。


「んん〜?な……っ!? なんだい?この継ぎ目のない完璧な外装は! この材質は…?お嬢さん!これを分解させろ! 中身を、中身を暴かせてくれぇ!」


「ぶんかいぃぃ!?ダメダメ!絶対ムリ! 壊れたらあたしガチで詰むんですけどぉ!」


逃げ回る凛愛と、工具を手に追いかけるエルフ。 

その騒ぎを、肩の上でチュンペーが冷めた目で眺めていた。


『……おい、バカ人間。その板に「魔力」を供給して動力に変換できないか、その変人に聞いてみろ』


凛愛はチュンペーの指示を、必死に「通訳」する。


「ギャ〜ッ!!そ、その……これに魔力流して、動力、変換……?おねがーい!!」


「動力変換……? ほう……」


エルフの変人はピタリと動きを止め、スマホを手に取って観察し始めた。

指先から微かな魔力を流し込み、反応を確かめる。


「……面白い!内部に極小の魔導回路に似た、未知の術式がギッシリと詰まっているね。だが、私の魔力は出力が強すぎて、この繊細な構造は一瞬で焼き切れるかもしれないな…この板が求める『極微細な振動魔力』へ減衰・変換する術式を組まなければならない……中身は非常にデリケートな代物と見たね、吾輩」


「え、じゃあ…できますか!?」


「……フン、吾輩を誰だと思っているんだい?

天才魔導工のロールス・エルドリンだよぉ?

……だが、この密度だ。適合する変換陣を固定するまで、そうだねぇ…三日は解析させてもらうよ?」


「えぇー! 三日も!? スマホ無しで三日とか、あたし干からびちゃうんですけどぉ!」


『我慢しろ、バカ人間。三日で済むなら御の字だ』


「うぅ……りょ……じゃあ、これ、預けるけど……ガチで大事に扱ってくださいね?」


不承不承、凛愛はスマホをエルドリンに託した。


相棒スマホを失い、魂が抜けたような顔で工房を後にする凛愛。

彼女の本当の受難は、ここから始まるのだった。


「疲れたぁ…」

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