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第15話:無限インベントリへの道、錬金術師さんに会いに行くんですけど!?

あれから数日が経った。


朝はエルドリン工房でバイト、昼過ぎは図書館で暗記、夕方は翠霧の森でウルフ狩り。

そんなルーティンを回し続けた結果。


「……チュンペー、今日のウルフ、ワンパンで仕留めたのさぁ、マジ天才すぎん?」


『……ふん』


「ワンパンだよ!? 初日とか八回目でやっとカスったレベルだったのに! あたし、もしかして才能の塊だったりする?」


『……練習の成果だ』


「練習の成果を天才って呼ぶのがギャル界の常識なんですけどぉ!」


『……しらん』


凛愛はぷくっと頬を膨らませたが、すぐにまたニヤついた。

木漏れ日亭に戻って、ひっそり稼いだバイト代をベッドに並べる。

銀貨が地味に増えてて、テンションぶち上げ案件だった。


「えーっと……今の所持金、金貨1枚、銀貨14枚、銅貨63枚……バイト代、ガチで貯まってきてる! !」


『……まあ、及第点だな』


「及第点! チュンペー今日二回目の及第点! 記念日すぎてエモい!」


『……うるさい』


「でもさ、チュンペー?あたし最近ずっと思ってることがあって。このバッグ、そろそろ限界突破してない? ウルフのドロップ品とか、羊皮紙とか、ポーション瓶とか……もうパンパンでチャックが悲鳴あげてるんですけどぉ。重すぎて肩こるし!」


『……インベントリ無限化せねばな』


「そう! エルドリンさんに相談したら「錬金術の領域だから吾輩には無理だ! アルメリアに頼むしかないね!」とか言われて。あの人、丸投げする時までテンション高すぎ」


『……そうか。ではアルメリアのところへ行くしかないな。有能な研究者だ。姉御肌で話しやすいと聞いている』


「チュンペー知ってんだ?話しやすい!? それ、人見知りのあたしに一番大事な情報じゃん! 神!」


翌朝、バイトを終えた凛愛は、エルドリン工房の隣の路地を入った先にある錬金工房へ向かった。

扉には「アルメリア錬金工房 研究中につき静かに入れ」という不穏な文字。


「……静かに、ね。おk、了解」


凛愛は恐る恐るドアをノックした。


「……どうぞ」


低めだが柔らかい、落ち着いた女性の声。

扉を開けると、そこはエルドリン工房のゴミ屋敷っぷりとは正反対の、超整然とした空間だった。


白衣のような服を着た、銀髪のエルフの女性が、フラスコを振りながらこちらを見た。切れ長の目が、凛愛をさっとスキャンする。


「ん、キミ………初めて見る顔だね。エルドリンの工房の子?」


「あ……ぇっと、はい……バ、バイトで……お世話になってます……凛愛、です……」


人見知りスイッチが秒で全開になり、声が消え入る。

アルメリアは少し目を細めて、口の端を上げた。


「そんなに縮こまらなくていいよ?私はアルメリア。エルドリンから話は聞いてるよ。あの面白い板を持った子だって」


「あ……面白い板って…これ、スマホ、です……」


「スマホ? そう呼ぶのか。一度見せてもらえるかい?」


凛愛は少しだけ警戒を解いて、スマホを取り出した。アルメリアは受け取ると、しばらく無言でそれを眺めた。


「へぇ……面白い。魔力の流れが、生きてるみたいだ。術式が自己更新してる……エルドリンの言ってたことは本当だったか」


「あの……アルメリアさん、お願いがあって。このバッグ……インベントリを、無限化、できますか……?」


アルメリアはスマホを凛愛に返して、スクールバッグをまじまじと見た。


「……変わった素材だね。この世界のものじゃない……まあ、やってみよう。料金は後払いでいいよ」


「え……マジですか? 神すぎ……」


「エルドリンの紹介だからね。あの変人の知り合いなら、信用してあげる。もし、逃げても、あいつから取るさ」


「変人って、本人に言ってあげてください……」


「あいつの名前みたいな、もんだからね、変人の相手は疲れるだろう?」


二人の間に、小さな笑いが流れた。


「二日後にまたおいで。素材の解析に少し時間がかかるから。それと、もし良ければ……たまに顔出してくれないか? そのスマホ、私も興味がある……あと、キミにも、ね」


凛愛は目を丸くした。


「えっ……もちろんです!」


「キミみたいに面白いものを持ち歩いてる子、そうそういないからね」


アルメリアは静かに微笑んだ。凛愛は少しだけ頬を赤くして、俯いた。


「……よろしく、おねがいします……」


工房を出た後、凛愛はしばらく無言で歩いた。


「……なんか、アルメリアさん、すごく良い人だった。こわくなかった。お姉さんって感じで、ガチで話しやすかった……めっちゃ美人だった!」


『……そうだな』


「エルドリンさんと大違い! あの人のテンション、異次元すぎるんだよね……アルメリアさんなら、あたし頑張れるかも」


チュンペーは少し黙った。

『……良い出会いだったな』


「うん……チュンペー、あたし少しずつ、この世界に居場所ができてる気がする」


チュンペーはまた黙った。少し長い沈黙の後。


『……悪く無い』


凛愛はそれを聞いて、小さく笑った。


現在のステータス

• 名前: 星凛愛ホシ・リア

• ウルフ討伐: ワンパン(命中率爆上がり中)

• 新たな出会い: 錬金術師アルメリア(お姉様キャラ)

• 次の目標: 二日後に「無限バッグ」完成予定

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