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Sky  作者: ヤマト
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懐疑




会議室。


暗く中央の立体スクリーンの照らす光が、


重苦しい空気の中、彼女達を照らす。


「あり得ません!あんな子どもがどうやって!?」


栂野明子は大声を上げる。


今し方、自分が面倒を見ている子どもが、国の誇る最新最高の防衛設備で迎撃できなかった化け物を1人で撃退したなど、そんなあり得ない話、誰が信じるものだろうか。しかし、目の前の映像には鮮明にその苛烈な戦闘の記録が映し出されていた。


「だから、上の指示で回収したあの片方の子どもはただの人間では無い。映像の通り、襲来した化け物と何ら変わりは……」


バンッ!と、栂野さんは机を強く叩く。


「口を慎んでください。我々の保護下にある子どもは何人たりとも、どんな理由があろうとも、その権利を侵害することは許されません!謝りなさい。」


「も、申し訳ない。」


「………それでは、今後も警戒体制のまま経過状態の観察の後、判断を上層部に委ねるという形で。」


そうして、会議は終了した、

しかし、私は彼に何ら態度を変えるつもりはない。

だって、ただの子ども。ただの人だ。

私は、もう間違えない。

必ずあの子を守り抜く。


「……………………」


栂野は胸にしまったペンダントを取り出す。

眉を顰め、ぎゅっとそれを握りしめる。


そして、覚悟した表情で再び前を歩き始めた。

















俺は家で黙々と目の前に映る番組、『将棋seven』と下の将棋盤を見来きしながら、思案していた。


「たっだいま〜!!」


「わぁっ!?」


俺は突然後ろから現れた栂野さんに、


びっくりして飛び退く。


「あらぁ、そんなにびっくりしなくても、いいじゃない。」


「ご、ごめんなさい。ちょっと集中してて。」


栂野さんはテレビに目を映す。


「あ、将棋seven。ひびきくん勉強熱心ね。あたしもすぐに追いつかれちゃうかも。」


「い、いや、そんな………」


『緊急速報です。』


途端テレビの画面が移り変わって、ニュースの報道が始まった。


「今日未明、イギリス、ロンドン。時計塔の上空で謎の黒いゲートが出現しました。未だかつてない現象に、有識者は予言の前触れだと………」


「な、なんか物騒ね。」


「ですね。なんか怖い。」


一体何が始まると言うのだろうか。すると、フェンリルの声が聞こえる。


「悪魔の軍勢が来るぞ。」


フェルリンは言う。


「あ、悪魔の軍勢?」


俺は唾を飲み込む。嫌な予感がする。

一体何が起こるって言うんだ。














『えー、ただいま情報が入りました。イギリス、ロンドン上空に現れました、謎の黒いゲートについての続報です。えー、映像が入っております。こちらをご覧ください。』



俺と栂野さんは食い入るようにテレビの画面を眺める。そこには、黒いゲートの中から、現れる黒い羽の生えた天使の集団、あの襲撃してきたものにそっくりな化け物が見ただけでも数十体、現れていた。


「そ、そんな市街地にあれが………!?」


栂野さんは冷や汗を浮かべ、顔は酷く青ざめている。俺も、一体どうなるかわからないこの現状に、今から起こるであろう惨状に、息もできないくらい、動悸が止まらなくなった。


しかし、目を凝らしてみると、時計塔の上に、1人の人影らしきものが見える。


そして、その人影の前に紫の霧が出現したかと思うと、それは瞬く間に上空に広がり、化け物と黒いゲートを覆い、しばらくの後、ゲートと化け物は人影と共に消失していた。


「な、何が起こったの!?」


分からない。分からないが、あの時計塔の上の人影が何かをしたのは確かだ。


フェンリルの声が脳に響く。


『ヘル………?』


そう呟いたフェンリルの真意を聞く余裕もなく、ただ起こるはずだった惨状を回避できた安堵に、俺と栂野さんはソファーに崩れ落ちた。











暗く地下に広大に広がる空間。

培養液の満たされたガラスの円柱に浮かぶ脳が、無数にそこにはあり、彼らは話し始める。


『何故、こうも上手くいかん。』


『本来味方であるはずの者たちが寝返っておる。』


『信じられん。世が滅ぼうと関係ないと言うのか。神の意向は変えられまいか。」


『仕方ない。次のフェーズに移ろう。多少強引ではあるが、やむなしだ。』


















「暇だぁー。」


学校に行く事もない、やる事も将棋くらい。

栂野さんは仕事に出掛けて、俺は家でゴロゴロしているだけ。一応家事は一通りやってるけど。


そんな時、ピンポーンとチャイムが鳴り、俺は「はーい。」と返事をして、玄関を出る。


すると、そこには見た事もないくらい全身黒ずくめの女性がいた。


「あのー、どちら様でしょうか?」


女性は、俺に向かって短剣を向けて突いた。


「えっ………?」


あまりに鋭いその動きに、俺は反応する事もできなかった。血がドボドボと腹から滴る。


「なんだこの程度か。」


俺は血の気が引き、視界は暗くなり、倒れる。

最後に見た、その女性の顔はあまりに冷たく、人のものではないようだった。



















「おい、起きろ。」


そこは、暗い空間。

目の前には、俺を刺した女性が椅子に足を組んで腰掛けていた。丸いメガネをかけ、黒髪の長髪で、黒いハットを被り、ロングコートで如何にも怖そうな女性だ。


「わたしが、何故お前を守らねばならん。」


意味のわからないことを言う。

俺を殺した人物が俺を守るとは、一体どう言うことだろうか?


「契約だ。わたしがお前に力をやる代わりに、悪魔との戦いに力を貸せ。」


契約?フェンリルとおなじ神の類だろうか。

何故、俺に………


「力を合わせなければ、勝てない相手が直に現れる。そいつを相手取るためには、お前が触媒として優秀なのだ。フェンリルも、お前と契約を交わしているだろう。」


やはり、そうか。

しかし、契約をする上であんな横暴を振るわなくてもよかったのでは?


「私の契約には、血が必要なのだ。お前ら人間は、血を恐れ、逃げ出す可能性があるだろう。ならば、恐怖を感じる間も無く、刺してやるのが最善というわけだ。」


「と、とんでもない奴………」


「あぁっ!!?」


睨まれる。とんでもない迫力で、俺は震えが止まらなくなる。額から冷や汗が流れる。


「お前は、私が来ていなければ死んでいた。」


「えっ?」


「ベリアル、ゴエディア、アスタロト。ここに来るまでに私が追い払った悪魔達だ。力を消耗しすぎた。早く契約を交わしてくれ。限界なんだ。」


よく見ると、震えている。

俺は立ち上がり、彼女の手を取る。


「ごめん、ありがとう。今度は俺があんたを守るよ。」


その言葉に、彼女は驚いた表情をして、それからフッと優しく笑い、問いかける。


「私は、必要とあればお前の命を奪うかもしれんぞ。それでもいいのか?」


「俺のこと守ってくれたんだろう?俺の命で、お前が助かるなら、それでいい。」


「………フッ、契約成立だ。少し疲れた。休ませてもらう。」


すると、辺りは紫の霧に包まれて、視界は消える。

気づけば、玄関の前で俺は尻餅をついていた。血は出ていない。


「あら?開いてる。」


栂野さんが帰ってきた。

尻餅をついている俺を見て、驚く。


「ひびきくん、どうしたの!?」


栂野さんは俺の手を取り、優しく肩を支える。


「………いや、そのちょっと貧血で。」


すると、栂野さんは俺をお姫様抱っこして、ソファーに優しく置いた。そして、腕を捲ってエプロンをつける。


「ちょっと待っててね!今、








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